よしーの世界

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仏陀のいいたかったこと   田上太秀

2021-04-22 06:43:34 | 
仏教はインドから中国を経て日本に伝わって来たものである、ということを誰もが学ぶ。そして日本に

おいてはインドの言葉ではなく、中国で解釈された言葉をそのまま使っているということ。つまりイン

ドから中国に伝わった時に中国の背景が強く出されていて、元々の意味がズイブン違っているかもしれ

ない事は昔から言われていた。例えば本文中にあるのがインド原語の仏教文献で「母父」という順番の

表記で、これが中国では儒教の影響で「父母」という訳がされているという。


一番心に響いたのが、釈尊の中道の生活が教育の目的だという言葉で、欲を貪り執着することはいけな

いとしながら、体を痛めつけるような苦行もいけないとしていること。釈尊はあらゆる欲を完全に否定

していない。そして自ら古代インドの修行者が行った苦行を6年間実践し、それが永遠の安らぎを得る

方法ではないと悟る。肉体が衰えれば精神も鈍ってしまうという結論に至る。


さらに出家と在家に対する考え方で、中国や日本では出家というと山奥深く分け入り世間との交流を絶

ち修行をするイメージがあるが、釈尊のいう出家は世間と交流し托鉢し修行を続けることで、ここでも

修行の違いが浮き彫りにされる。今や仏教家と世間の人々との距離は余りにもありすぎ、それが仏教を

世間から遠ざける一因になっている。


宗教は人生に必要だとずっと思っている。無宗教と言われる日本に暮らしている私たちも宗教を身近に

感じることはある。それでも宗教には近寄りがたいものを常に感じている。これはまだ宗教の知識が乏

しいことにもあると思う。知ることでより安寧を得ることが出来る。


仏陀のいいたかったこと          田上太秀       講談社学術文庫

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