よしーの世界

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無名でもすごい優良企業   田宮寛之

2021-04-18 07:17:40 | 
知って驚いた!日本にはすごい優良企業がこんなにあるのかと、本書に登場する企業は約240社で殆ど

が未上場なのだ。報道で取り上げられるのはほんの一部の大企業しかない。しかも業績の悪化とか不祥事

とか、いいイメージの湧かないモノが多い。しかし本書を読めば日本には大多数の人が知らない分野の、

ユニークで世界に進出出来る企業が沢山あることに感動できるだろう。


まずセルロースナノファイバー(CNF)の紹介から始まる。重さは鉄の5分の1、強度は鉄の5倍で材

料が樹木。日本は国土面積の7割が森林大国で材料には事欠かないという。想像しにくいがナノレベルま

で微細化したCNFは軽くて強く、樹脂やゴムに混ぜれば自動車や航空機のボディや部品を作ることが出

来るし、細い繊維なので表面積が大きく消臭シートにも使えるし、透明であるのでガラスの替わりにも使

え、他の用途もあるという。まだ製造コストが高いが量産化で下がる。このCNF関連だけで12社出て

くるが将来有望な素材なのは間違いない。


この後素材ではカーボンナノチューブ。そして防災関連、アフリカやインド、さらには宇宙ビジネス。世

界を食糧危機から救う企業、日本の味やマナー、言葉を輸出する企業や海洋資源、そして暮らしを豊かに

する企業まで幅広い分野で活躍する企業がドンドン出てくる。著者の経済記者としての緻密な取材力と情

報の確実性が本書の魅力だ。


日本の国土面積は世界で比べると60位である。それでも第二次世界大戦に敗れ、その後奇跡的な復興を

遂げ、今でも世界3位程度の経済力を誇る。そこには本書に登場するような世界に通用する中小企業群の

努力がある。政府与党は大企業寄りの政策を打ちたがるが、時代は大きく変化している。今の権力の中枢

にいる政治家を変え、柔軟でしっかりした能力を持つ政治家を選び直す時が来たように思う。


無名でもすごい優良企業       田宮寛之    講談社+α新書


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