北風がピューピューと吹き寄せ
カタカタと重い鉄枠の窓を揺らした
三畳一間の部屋はスースーと隙間風が入って
万年床で膝を抱えて震える夜を過ごした
おっとり起きると窓側の便所の手洗いほどの小さな台所の水道が凍っていた
固まった窓をコジ開けると割れた塩ビのトタンの雨除けの隙間から
隣の広い空き地の向こうに鉄橋を渡る茶色い電車が見えた
ゴーとまるでこちらに向かってくるかのように
右に行くのは梅田行き
左に行くのは京都四条河原町行き
(お客さんは学校に行くのか会社に行くのか)
(皆、目的があって電車に乗ってるんやもんな)
(俺は毎日何の目的も無いから電車に乗られへんな)
とか思っていた時期が昔々あった
ふっ!