「逆引き辞典的な」 広島友好
先日、妻の職場で送別会があった。定年退職のお別れ。
「退職記念に何をあげるん?」
聞くと、ン千円の図書カードだという。「女性なら、花束添えるとこじゃけど、ね」
図書カードも悪くない。だけど、思い出には残りにくいかも。
「じゃったら、あなたは、何がほしい?」
「はて……?」改めて聞かれると、困るのぅ。
そういえば、何年か前に、妻に辞書を買ってもらって、えらい調法した。
なかでも、「逆引き辞典」が優れもの。言葉のシッポから、言葉を探す辞典。
例えば、「○○とり」という言葉なら、辞典で「とり」の項目を引くと、出てくるわ出てくるわ。
「青い鳥」「相撲取り」「見劣り」「おっとり」……という具合。
台詞を書くのに困ったり、度忘れしたり、ダジャレを考えたりするときは、大変助かる。
ところで、後ろから考えて何かを探すっていうのが、今回の演目選びに似ている。
「わしももう52じゃし、あと何年バリバリ動き回れるやら。体力的に逆算して……」
と、年齢を「逆引き」して、今できるギリギリの演目を考える。
動き回り、しゃべり続けるメロンパン伯爵のこの芝居、大好きで思い入れもたっぷりあるけれど、5年後にはもう無理でしょう。10年前も息ゼェゼェだったのだから。
とすると今がラストチャンス?!
てな、「逆引き辞典的な」発想で、この芝居に決めました。
それからは、公演日までを「逆引き」して、きょうはここまで、明日はここまでと、稽古の日々。
「ところで」……と話題は元の退職記念に。「あんたじゃったら、何がほしい?」と、少ぉし先のことだけど、妻の望みも聞いておく。
「モチロンわたしは、世界平和!」
「ゲゲッ、まさか?」
「じゃったら、現金」
「飛躍しすぎ!」
「あははっ、大皿に山盛りのメロンパンでガマンしたげるわ」と妻の軽口。
よし、愛する妻のため、その時までに……なんて、「逆引き辞典的な」発想で、メロンパンの作り方を覚える気でいる。
【メロンパン伯爵のアラビアンナイト 2017.6/24・25】