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公演パンフの文章です。

2017-06-30 16:43:58 | 日記

「逆引き辞典的な」                    広島友好

 

  先日、妻の職場で送別会があった。定年退職のお別れ。

「退職記念に何をあげるん?」

 聞くと、ン千円の図書カードだという。「女性なら、花束添えるとこじゃけど、ね」

 図書カードも悪くない。だけど、思い出には残りにくいかも。

「じゃったら、あなたは、何がほしい?」

「はて……?」改めて聞かれると、困るのぅ。

 そういえば、何年か前に、妻に辞書を買ってもらって、えらい調法した。

 なかでも、「逆引き辞典」が優れもの。言葉のシッポから、言葉を探す辞典。

 例えば、「○○とり」という言葉なら、辞典で「とり」の項目を引くと、出てくるわ出てくるわ。

「青い鳥」「相撲取り」「見劣り」「おっとり」……という具合。

 台詞を書くのに困ったり、度忘れしたり、ダジャレを考えたりするときは、大変助かる。

 ところで、後ろから考えて何かを探すっていうのが、今回の演目選びに似ている。

「わしももう52じゃし、あと何年バリバリ動き回れるやら。体力的に逆算して……」

 と、年齢を「逆引き」して、今できるギリギリの演目を考える。

 動き回り、しゃべり続けるメロンパン伯爵のこの芝居、大好きで思い入れもたっぷりあるけれど、5年後にはもう無理でしょう。10年前も息ゼェゼェだったのだから。

 とすると今がラストチャンス?!

 てな、「逆引き辞典的な」発想で、この芝居に決めました。

 それからは、公演日までを「逆引き」して、きょうはここまで、明日はここまでと、稽古の日々。

「ところで」……と話題は元の退職記念に。「あんたじゃったら、何がほしい?」と、少ぉし先のことだけど、妻の望みも聞いておく。

「モチロンわたしは、世界平和!」

「ゲゲッ、まさか?」

「じゃったら、現金」

「飛躍しすぎ!」

「あははっ、大皿に山盛りのメロンパンでガマンしたげるわ」と妻の軽口。

 よし、愛する妻のため、その時までに……なんて、「逆引き辞典的な」発想で、メロンパンの作り方を覚える気でいる。

          【メロンパン伯爵のアラビアンナイト 2017.6/24・25】

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