に対する回答です。
1.なぜ弁護士になったのですか? きっかけは何ですか?
【回答】いつかこのブログでも詳しく書こうと思っていますが、慶應義塾大学法学部の通信教育課程の卒論の指導教授K先生(憲法)に、
「平岩、お前、司法試験受けろよ。うちの法学部の通信教育課程を4年で卒業する率は3%で司法試験の合格率と同じだからお前、受かるよ」
と言われたから。
「少数者の人権擁護」とか「社会的弱者の救済」とか、崇高な理由じゃなくてごめんね。
2.弁護士になるためにどのような勉強をしましたか?
【回答】司法試験のための勉強。皆さんが高校受験するときは高校受験のための勉強(模擬試験とか過去問演習とか)をするでしょ? それと同じ。「受験する試験のための勉強をしました」としか言えないです。
ごめん、内容のない回答で。
3.国家試験はどれくらい難しいのですか? 司法試験にはどのような問題が出るのですか?
【回答】国家試験と一口に言ってもいろんな種類の試験があるから、「どれくらい難しい?」と言われても答えられません。簡単な試験もあるだろうし、一生かかっても受からない人もいる試験だってあるだろうし。
司法試験に限って言えば、私が受験したときの最終合格率は3%くらいだったようです↓
https://reatips.info/bar-examination/
今はもっと合格率は高いけど、その分、合格者のレベルが(全員とは言わないけど)低下してる気がする。
4.法律を覚えるのは大変でしたか?
【回答】みんな勘違いしてるけど、司法試験の勉強は法律の「丸暗記」じゃないから。
そもそも論文試験の時は司法試験用の六法を参照可だし。
法律を丸暗記するより、「法律(という道具)を使って、現実に起こった『紛争』をどうやって論理的に解決するか」という方法論を覚えるのが大変だったです。
5.弁護士になる上で法律名や内容をすべて覚える必要はありますか?
【回答】上記4の回答参照。「こういう問題が起こったときは〇〇法の第〇条を使うんだよな。」程度は覚えますが、その条文を一言一句暗記してる人なんていないと思う(いたらごめん)。
6.今出ている弁護士や検察官を題材としたゲームや、ドラマを見て、どう思いますか?
【回答】ゲームは時間の無駄だからやらないし、ドラマは(たいてい)つまらないから見ないのでわかりません。
どう考えても現実の事件の方が面白いもん。
7.仕事をしていてつらいと思ったこと、一番大変だったときはありますか?
【回答】つらかったこと:一生懸命やっていた事件の依頼者に裏切られたこと。
一番大変だったこと:特になし。自分の好きな仕事をこんなに楽しくやらせてもらってお金まで貰っちゃってホントいいんだろうか、と思う。マヂで。
8.弁護士になってよかったと思ったときはどのような時ですか?
【回答】このブログの「刑事弁護~当番弁護編~」と「民事弁護~沖縄編~」を参照。
あと、平日にゴルフに行っても誰にも叱られないこと、休日とかが(ほかの仕事に比べて比較的)自由に取れること。
9.どのような人が弁護士に向いていますか?
【回答】コミュニケーション能力が高いのに、孤独に耐えられる人。
「人間てドジで、バカで、愚かだなぁ」と理解しつつ、人間が大好きな人。
困ったときにすぐに相談できる友人や知人がパッと10人以上思いつく人。
「敬天愛人」を実践できる人。
自分が正しいと思うことを躊躇(ためら)わずできる人。だけど、正しいと思う自分の心が正しいのかをいつも疑い続けられる人。
10.法廷で実際に「異議あり!」というようなシーンはあるのでしょうか?
【回答】あります。私は証人尋問でも必要な異議はよく出す方だと思いますし、法廷や弁論準備という手続の中でも裁判官にも意見はバンバンします。
そうでなかったら、依頼者からお金を貰う私たちの存在意義なんてなくね?
11.1年間でどれほどの事件を取り扱うのですか?
【回答】「事件」というのが「裁判」ということなら現在進行中の「事件」は5~6件です。
多いときは20件くらいでした。
懲戒処分を受けたり、いろいろと問題があるといわれている弁護士事務所では弁護士が1人で100件以上の「事件」を扱っているとも聞いたりしますが、常識的に考えてあり得ない(と思う)。
ちゃんと事件に向き合って、全精力を注ぎこんでるなら同時進行で20件が限界(私は)。
ま、世の中には私の想像を超えたスーパーマンもいらっしゃるから、「100件でも200件でもどんとこい」という弁護士もいるかもしれませんね。
私が依頼する立場なら絶対、そういう弁護士には頼まないけど。
12.裁判員になったときに必要なことはありますか?
【回答】あなたの中にあるすべての偏見を捨ててください。
あなたの中にあるすべての差別意識を捨ててください。
あなたの中にあるすべての先入観を捨ててください。
証拠を丁寧に見ましょう。
検察官の論告求刑も、弁護人の弁論も、しょせんは彼らの「一意見」に過ぎないことをもう一度思い出しましょう。
あなたの大切な人、彼氏だったり、彼女だったり、両親だったり、子供だったり、親友だったり、そういう人に胸を張れるくらい、考えて、悩んで、苦しんで、結論を出しましょう。
13.弁護するにも限界があるときはありますか?
【回答】ないと思ってます。私は。
「限界」というのは、勉強でもスポーツでもそうだけど、「限界だ」と叫んだ瞬間に、そこが自分の限界になるので。
14.弁護士になる前の弁護士の印象と弁護士になってからの印象で違う点はありましたか?
【回答】ないです。というより、上記1で答えた様な経緯で弁護士になったので、弁護士になる前、特に「弁護士」というものに過大な期待も、大きな理想も持ってなかったし。
強いて言うなら、「弁護士って、意外に儲からない仕事なんだな」ということかな。
15.裁判員制度を取り入れる前と取り入れた後で、裁判の実情は変化していますか?
http://www.saibanin.courts.go.jp/vcms_lf/hyousi_honbun.pdf
とか、
http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/09_12_05-10jissi_jyoukyou.html
とか、
https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2010_08/p26-27.pdf
とかをご参照。
私の個人的な感覚でいうと、「変化はしてない」と思います。
特に変化してないんだから、裁判員制度なんていらないんじゃないかな、とも思います。
名前は伏せますが、ある仲のいい裁判官と飲んだ時、「裁判員裁判は、そうじゃない(裁判官だけの)裁判の3倍疲れる。死にそう。」と言ってたのが笑え・・・もとい、印象的でした。
16.裁判の前に心がけていることは何ですか?
【回答】「こういう流れになったら、こう対応する。」「そうじゃない流れになったら、こう対応する。」という自分なりのシナリオと演出プランを徹底的に考えていくこと。
うちの事務所の若手の弁護士には、事前に彼らなりのシナリオを提出させて、シナリオの出来の悪い方は裁判所に連れて行かないことにしてます。
17.何度も登壇していると、被告人や証人が嘘をついているのを見分けられるようになりますか?
【回答】裁判を経験した回数と相関関係があるのかどうかは分からないけど、何度も裁判に真摯に取り組んでると、「嘘を見破る能力」は少しずつ磨かれていくと思う。
一番、見破りやすいのは、他の証拠と明らかに矛盾したことを言い出した時。
あとは態度、言動、話す内容の順序、等々。
これ以上は企業秘密だから内緒ね。