2016年6月24日(金)
監督:中村義洋
出演:阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、松田龍平
いい映画である。泣ける。中でも山﨑努さんと阿部サダヲさんと妻夫木聡さんの親子・兄弟ドラマに私の涙腺は決壊した。
阿部サダヲさんも妻夫木聡さんもいい役者さんだけれど、涙腺を決壊させたのはやはり山﨑努さんの圧倒的な存在感と演技力だと思う。
原作は磯田通史氏の「無私の日本人」に所収されている「穀田屋十三郎」。
実話だそうだ。
磯田氏がこの「穀田屋十三郎」を著(あら)わすに至った経緯もネットで公開されている。この経緯も泣けるので興味のある方は、是非。
脚本もいいし、役者もいい。演出も上手い。
惜しむらくは、なんだ、このおちゃらけたプロモーションは?
私は阿部サダヲさんや松田龍平さんのファンなので公開前から「観に行こうかなぁ」と思っていたが、あの「バカ丸出し」のポスターを見て一気にモチベーションだだ下がりになったぞ。
前の週にふらりと観に行った「二つ星の料理人」が久しぶりのヒットだったので、その勢いを借りて(まもなく上映終了の)「殿、利息でござる!」にも足を運ぶことにしたのだが、そうでもなければあの「アホ丸出し」のポスターのせいでスルーするところだったぞ。
松竹にはろくなプロモーターというか広報宣伝担当がいない、と思う。
少なくとも、あの「知性皆無」のポスターを作った人が、ちゃんと原作を読み、完成した映画を見たとはとても思えぬ(原作読んで、映画も見て、それでできたのがあのポスターだとしたら、広告センスのなさもここに極まれり、だ。)。
言うまでもなく映画(に限らず、演劇でもそうだけど)は監督と脚本家と役者だけでできているエンタメではない。
照明さんもいる。小道具さんもいる。大道具さんも、助監督も、エキストラもいる。(他にも様々なスタッフさんがいるが、キリがないから以下略。)
そして、出来上がった映画の素晴らしさを世の中に伝える宣伝担当もいる。
「殿、利息でござる!」の広報宣伝担当は、原作者の、監督の、役者の、その他大勢のスタッフが映画に注いだ想いやエネルギーを、たった1枚のポスター(とチラシで)踏みにじってしまった(と思う)。
松竹さん(と「殿、利息でござる!」の広報宣伝担当の方)、猛省されたい。