つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

中学生のスマホ

2015-07-28 21:50:25 | 子育て

今や、53.2%の中学生が自分専用のスマホかタブレットを持っているそうだ。

(ベネッセ調べ↓)

http://www.benesse.co.jp/sp_life/trend/15062301.html

 

1.親が子供と連絡をとるのに便利(子供の行動を監視できて便利)

2.友達との待ち合わせの連絡なんかに利用できて便利

3.LINEとかフェイスブックとか、友達とコミュニケーションをとるのに便利(逆に、スマホを持ってないと仲間に入れない)

4.勉強に関する調べ物をするのに便利

5.ゲームアプリも充実しているので娯楽ツールとしても便利

中学生がスマホを欲しがる理由(あるいは親が中学生の我が子にスマホを買い与える理由)は、だいたいこんなところだ。

 

我が家の長男も同じような理由でスマホを欲しがっている。

だけどなぁ。

※以下は、私の長男というより、「ウチのバカ親、スマホも買ってくれねー! 超ムカツク!!」と憤慨しながら、親(もしくは兄貴か姉貴)のパソコンをこっそり立ち上げて、「こういうムカムカした気分の時はエッチなサイトに限るぜ」とアダルトサイトをネットサーフィン(死語)してたら、どこをどう間違ったかこのブログに立ち寄ってしまったそこの「君」(中学生)に贈る駄文だ。

 

「スマホがあれば親と連絡が取りやすい。親も子供がどこにいるか把握できて安心」って、なんだか気持ち悪くないか?

中学生とか高校生とか、思春期に入った子供っていうのは必然的に親の理解から離れていくもんだし、親が知らない世界を広げていくもんだろ。

だからこそ中学生活とか高校生活って楽しいんじゃないのか? 少なくとも私はそうだったぞ。

親は、子供がルールを踏み外したら叱り飛ばすし、どうしようもなくヤバいときは身体を張ってでも我が子を助ける。でも、普段は何してるのか、どこにいるのか、さっぱりわからない我が子のことを心配しながら、それでもギリギリのところで子供を信じてる。

子供は、親との最低限の約束を守りながら、親の目をかいくぐって友達と遊んで、彼女(あるいは彼氏)とデートして。両親が出かけた彼女の家に上がりこんで、リビングのソファーの上で初チュー。エロ本で仕入れた知識で頭がいっぱいだから、初チューでいきなり舌を入れて、彼女から「平岩くん、初めてじゃないんだ」と泣かれてオタオタ(←中学時代の俺だ)。

・・・そういうんじゃダメなのか?

 

適当な約束をして、

「会えなかったらスマホで連絡取りあえばいいじゃ~ん」

なんて小手先の対応を覚えるより、

「確実に会える場所。万一、相手が遅れても、自分が遅れても、待ってる方が雨に濡れたり、立ちっぱなしで疲れたりしない場所。そういう待ち合わせ場所を考える。

約束した時間には遅れない。

人との約束は絶対守る。

そのために自分の予定は自分で管理する。

そういうルールというか生き方を身に付けた方が遥かに役に立つと思うぞ。

 

「LINEとかフェイスブック」って、そんなに大切か?

常に誰かとつながってないと不安で不安で仕方ないのか?

今どこにいる。今誰といる。今日何をした。お昼に何を食べた。今日は誰々の誕生日、お祝いのメッセージを送りましょう・・・。

そんなことにいつも注意を払わなきゃならない毎日って鬱陶(うっとう)しくないか?

「LINEをしてない奴、フェイスブックをしてない奴は仲間にしない」なんていう狭量(きょうりょう)なバカと友達になる必要なんかないだろ?

てか、そういうのって、そもそも「友達」か?

そういう奴らは結局、LINEとかフェイスブックの「仲間」内で、さらに派閥を作って「仲間外れ」を作ろうとする。

誰かとつるんで、誰かをスケープゴードにすることでしか自分の立ち位置を確認できない人生は寂しくないか?

 

「勉強の調べもの」をするなら、図書館があるじゃん。

スマホやパソコンでの調べものが上手い学生は、

「特定のテーマに関するレポート(とか作文とか)を短時間で作る能力」

には長(た)けているけど、

「いろんな情報を整理して、大きな視点や一歩引いた視点から物事を俯瞰(ふかん)的に捉えて、独自の発想で何かを生み出す能力」

には欠けてるんだそうだ(某N●K特集)。

学生時代に役立つ能力、学校の成績で評価される能力は前者の能力だけど、生きていく上で価値がある能力、君たちの人生を楽しくする能力は後者の能力だ。

後者の能力は、一見、無駄に見える本を読み込んで、一見、無駄に見える経験や失敗を積み重ねて、時間をたっぷりかけて、自分の頭でウンウン考え続ける努力をしないと身につかない。

スマホやパソコンから得られるのは知識だ。

でも、君たちが生きていく上で本当に大切なのは「知識を使いこなす知恵」、「たとえ知識がなくても困難を乗り越えられる知恵」だ。

「知識はコンピューターに任せておけばよい。

ジェダイに必要なのは知識ではなく知恵なのだ。」

ってスター・ウォーズでも言ってたろ?

残念ながら「知恵」はネットの世界にはない。


「スマホでゲーム」をしてる時間があったら、街に出て、自分の足で世界を見てみよう。

映画がある。演劇がある。コンサートがある。落語も歌舞伎も文楽もある。図書館に行けば一生かかっても読み切れないほどの本がある。

野球でもサッカーでもスキーでもスノボでも卓球でもサーフィンでもジョギングでも駅伝でもマラソンでもいい。自分の五感と身体を使って遊ぼう。

無限に見えるかもしれないけど、スマホやパソコンを通じて覗き見るインターネットの世界は、所詮、「電子の箱の中のヴァーチャル」に過ぎない。ちっとも無限じゃないし、永遠でもないくせに、瞬間の輝きもない。

 

世界は自分が思ってるより広い。

生身の人間は自分が想像しているより面白い。

スマホを捨てて、パソコンの電源を切って、街に出よう。

世界を肌で感じて、人と直接交わって、自分自身をワクワクさせる心を育てよう。

賭けてもいい。その心は、絶対に君の人生をもっと深く、もっと楽しく変えてくれる。


腸(はらわた)は腐っていたか?

2015-07-26 21:04:44 | 俺のポリープ

一昨日の金曜日(7月24日)に大腸内視鏡検査を受けてきた(@おなかの富士見台クリニック)。

6月に受けた弁護士会の定期健康検診で検便に潜血反応が出たからだ。

胃の内視鏡検査以来の体内撮影。

検査当日は朝から下剤を服用せねばならぬ。

何が嫌と言ってこれがすごく嫌。

腹を壊して下痢下痢、というあの不快な状態を人工的に作り出すのだから、一部のスカ●ロファンの方以外、ほとんどの方は下剤服用を嫌悪すると想像するがいかがか。

 

口(または鼻)から内視鏡を入れる胃と違って、大腸の場合は●シリの穴から内視鏡を入れる。これも超絶に嫌。

オ●リの穴は私の一番のウィークポイントだ。

見られるのも、触られるのも、息を吹きかけられるのも嫌。自分の性癖がホ●セクシャルじゃなくて本当に良かったと思う。

なのに、何の因果で大腸内視鏡・・・。

だいたい、潜血反応ってゆーけど、1日目は50ng/ml以下(正常範囲は130ng/ml以下)。2日目に140ng/mlだっただけだぞ(便潜血反応検査は2日分のウン●を提出するのだ)。

2回検査して、わずか10ng/mlのオーバー。

これって誤差の範囲じゃね?

そういえば1日目の夜、キムチをたくさん食べたような気が。いやいや、2日目にベンの野郎(※アメリカ人の友達ではない)がなかなか出てこなかったもんだから、東京地裁8階(北側)の個室で少し無理してリキんだので切れたか?

とにかく、2日目の潜血には思い当たる節(ふし)大有りだ。

「自分的に思い当たる節が(病気以外に)いくつもあるんだから内視鏡検査は次の機会でいいんじゃないか」

と姑息な小役人のように先送り計画を立案したりしてみる。

しかし、検査結果の通知書には「速やかに大腸の精密検査を受けろ」と書いてあるし、秘書からは「すぐ病院に行け」と怒られるしで、しぶしぶ検査の予約を入れた次第だ。

 

検査自体は(朝の下剤服用~2時間のトイレ往復を除けば)不快でもなく、恥ずかしくもなく、痛くもなかった。

「鎮痛剤」(たぶん麻酔)を点滴されて、ほとんど瞬殺で眠りこけたからだ。

 

で、検査結果。

これまでの悪行三昧(ざんまい)からして、

「う~む。腸(はらわた)が腐りきってますな。」

と言われるのではないかとビクビクしていたが、幸い、(下剤のおかげもあって)我が腸内は腐敗の痕跡もなく綺麗であった。

オシ●の穴から70cmくらいのところ(横行結腸と下行結腸のコーナー付近?)に、6mm大のポリープが見つかった以外は。

 

私の(ケツの穴の)貞節を奪った忍者ハットリくん(今回、内視鏡検査をしてくれた先生。仮名。)の説明では、わがポーリー(※ポリープのこと。アメリカ人の愛称っぽく呼ぶと可愛い感じがするので以後、こう呼ぶことにする)には血管が凝集しており、組織検査のために一部を切り取っただけで出血が止まらなくなって大変だったそうだ。

おかげで我が腸(はらわた)内には止血用クリップが残されたままだ。

「止血用のクリップは●ンチと一緒に出てきちゃいますから心配いりませんよ。

ただ、組織検査には回しますが、6mmの大きさや血管が凝集してる状態を考えると、早期に手術で除去された方がいいですね。

今なら内視鏡で取れますし。」

と忍者ハットリくん(仮名)。

「またあの下剤(約1.5リットル)を飲むのか・・・」

とゲンナリするも、

「ま、半日で終わるなら」

と気を取り直したら、

「いや、出血の状態とか考えると、万全を期して2泊3日の入院コースですね。」

と言う。

勇気を鼓舞(こぶ)して真っ暗な森の一本道を歩き始めた途端、飛び出してきた忍者にマキビシばら撒(ま)かれたような気分だ。

 

これは聞かなかったことにすべきではないか?

幸い、この診察室には私と忍者ハットリくん(仮名)しかおらぬ。

忍びの世界の情報を表の世界に流してはならん。

NARUTOもきっとBORUTOにそう言うってばよ(←映画NARUTOをご存じない方には意味不明のネタ)

翌日、検査を心配したT社長からさっそく連絡を頂いた。

T社長の優しさに感激して、思わずぽろっと、

「いやぁ、6mm大のポーリーが見つかっちゃいまして。」

と自白したら、早々にお知り合いのお医者さんからセカンド・オピニオンを取ってくれた。

「6mmならまず心配は無いが、病理検査結果を待たずに取った方が良い。

 

なんと。

T社長、10Antsの会の名誉会長だとばかり思っていたら、その正体は忍びの里の長老であったか・・・

我が周りで正体を現し始めた忍びの者たちは、着々と「入院~下剤(約1.5リットル)~(我がオシリの穴の)セカンド・バージン」へと包囲網を狭めてきおる。

ええぃ。この忍びの者たちの相手をできるのは弥七(やしち)しかおらん。弥七を、風車の弥七を呼べい! ささ。ご老公は危ないですから助さんの陰に隠れいてください。

何を言うんじゃ、格さん。わしはまだまだ戦えますぞ。そんなことより、格さんは八兵衛を守ってやんなさい。

 

下剤も嫌。手術も嫌。入院も嫌。オシリの穴から内視鏡突っ込まれるのも嫌。

嫌々が高じて水戸黄門の世界に逃避した我が魂だ。

 

さて。

このブログでは親父の肺癌から私の歯のレントゲンまで、個人情報もクソもなく(身内と私の)情報を公開しているので、今回は私の腹の中の情報公開だ。

これだ↓

ちょっと見辛いが、上段右端が6mm大のマイ・ポーリー。

下段はマイ・ポーリーをちょっと切ってみたらドバドバ出血しちゃったところだ。

検査&出血中は(麻酔も効いてるので)別に痛くもなかったのだが、忍者ハットリくんからこうやって写真を見せられると、途端に下腹部が痛いような気がしてくるから不思議だ。どんだけ暗示に弱いんだ、俺。

 

マイ・ポーリーの一部の検査結果は8月上旬に出る。

大腸ポリープは10mmを超えるとガンの可能性が大きくなってくるというから、微妙なところだ。

こりゃ、親父より先に私が大腸ガンで逝くかもしれんな。ガンだったら、(親父より)若い分、進行も早そうだし。

というわけで、「親父の肺癌」と並行して、新たに「俺のポリープ」というカテゴリーも作ってみた。

マイ・ポーリーの今後は「俺のポリープ」で随時ご報告だ(誰に?)。


腫瘍マーカーの数値(28)

2015-07-11 09:42:40 | 親父の肺癌

2015年6月29日の腫瘍マーカーの値。(  )内は前回検査時(2015年5月29日)の検査結果。

CRP 3.67(0.36)※基準値0.3以下 0.4~0.9だと体内に軽い炎症が発生している可能性を示す

ProGRP 67(64)※基準値81以下 肺ガンに特有の腫瘍マーカー

CEA 8.4(9.1)※基準値5.0以下 胃・大腸・肝臓ガンに特有の腫瘍マーカー

NSE 18.6(18.6)※基準値16.3以下 小細胞肺ガン、神経芽細胞腫に特有の腫瘍マーカー。告知時(2012/10/11の数値は22.8)

CA19-9 39(38)※基準値37以下 膵臓・胆道・胃・大腸・肝臓ガンに特有の腫瘍マーカー

【免疫力の数値】

アルブミン 3.5(4.0)※基準値3.8~5.3

リンパ球 25.2(29.0)※基準値18.0~59.0

ガンの大きさは

上部 縦2.17cm(1/30のときは1.50cm)

    横2.34cm(1/30のときは2.30cm)

下部 縦7.17cm(6.60cm)

    横8.69cm(8.00cm)

 

ガンの大きさ、数値ともに少しずつ悪くなってきている。

悪くなってきてはいるが、親父より遥かに悪い腫瘍マーカーの数値でケロリと生活している人もたくさんいる。

ガンがあるのは動かしがたい事実なんだから、

「基準値を超えてきてしまった。もうだめだ。」

と思うか、

「ガンが見つかって3年近く。それでもまだ、こんなもんかい。」

と思うか、

つまるところ、気の持ちようだろう。

「数値」「基準値」「平均値」・・・

目に見えるわかりやすい「値」は何かと便利だが、しょせん、「数字」に過ぎぬ。

「数字」に一喜一憂して、「数字」に振り回されるのは本末転倒な気がする。

 

先月、親父が入院を希望しているホスピスに面接に行ってきたが、

「まだ、そこまでお元気なら入院はもっと先のことでしょう。」

と面接してくださった先生からやんわり諭されてしまった。当たり前か。

 

おふくろと離婚した親父は現在一人暮らしだが、近所(といっても車で20分位かかるのだが)に住んでいる親父の妹K夫婦(私から見ればN叔母さん・K叔父さん)がちょくちょく親父の身の回りの世話をしに来てくれている。

月一くらいで大きな仕事(庭木伐採したり、大掃除したり、フリーズしかけたパソコン直したり)をしに私も帰省するようにしてはいるのだが、さすがに親父の日々の生活の手助けにまでは手が回らない。大助かりである。

ただ、N叔母さん、K叔父さんも高齢で、車で親父の家に来てくれる途中で事故りゃしないか、親父の家を掃除してる最中に転んで骨折でもしないかと、そっちの方が心配でたまらん。くれぐれも無理はしないで欲しい。

 

ちなみに、N叔母さん、K叔父さんの長男M(つまり私の従兄弟)は、著名な鳥類学者だ。

年がら年中、鳥を追って日本全国を回っているらしい。その忙しい仕事の合間を縫って、親父の体調を親父宛に気遣ってメールを送ってくれたりしている。

すまん、M(先生)。お世話になっておる。

何か裁判やトラブルに巻き込まれたら遠慮なく連絡をくれい!格安受任じゃ。


ギリシャという国

2015-07-07 00:39:12 | 日記

一昨日、国民投票が終わったところだ。

圧倒的多数でEUの財政緊縮策を拒否した国だ。

 

このブログでは(面倒くさいので)極力、政治的な話題を記事にすることは避けてきたのだが、今回は少しだけ「ギリシャ・ショック」について書いてみようかと思ったりした。今回のギリシャ問題は少しだけ私のお財布事情にも関係したりしたからだ。

 

いや、あの、その。

ちょっと、久しぶりに株でも買ってみようかと思ってたら、ギリシャの皆さんが国民投票で「OXI」(=NO)って投票してくれちゃったもんだから。

週明けの東京市場ったら株価ダダ下がりで・・・。

いやぁ。思ってた以上に安く仕込めたざんす。うっしっし。

これからは俺のことを金の猛者(もうじゃ)・・・じゃなかった亡者(もうじゃ)と呼んでくれい。無理やりなオヤジギャグですまんm(__)m

ちなみに、先般、このブログのコメントで自分の本名を暴露してしまったおマヌケな(※バカっていうと怒るから)K女史も本日、安値で仕込み完了の模様だ。

いやぁ、お互いよかったな。ちょっとくらいバ〇でもマ〇ケでも運さえあればだいじょーぶだ、K女史!

 

というわけでギリシャだ。

ギリシャ問題の詳細については面倒くさいから省略。

新聞も読まない、ニュースも見ないっていうアンポン〇ンは適宜ググられたし!

 

ギリシャ擁護派の論調の多くは、「ドイツが悪い」という、その1点にほぼ集約可能である。

曰く、「そもそも経済力が全然違うギリシャをEUに引き込んだのは自国の競争力強化を狙ったドイツの策略だ」

とか

曰く、「ドイツが無理やりギリシャにお金を貸し付けて、メチャクチャな緊縮財政を押し付けたからギリシャ経済が悪化したんだ」

とか。

放っといたら、今に「メルケル(首相)はヒトラーの生まれ変わりだ」とでも言い出しそうな勢いだ。

今回の国民投票で「OXI」と投票したギリシャ国民の多くも、程度の差こそあれ、そう思っているフシがある。

あくまでN〇Kニュース経由での感想だから違ってたらすいません。

 

しかしなぁ。

ギリシャがEUに加盟するときも、ギリシャに経済支援をするときも、ギリシャが前回の緊縮財政策を受け入れた時も、ドイツは軍隊を繰り出したわけでも、ギリシャの首相を脅迫したわけでもないぞ。

EUに加盟したのも、経済支援を受け入れたのも、緊縮財政策を受け入れたのも、全部、ギリシャの自由意思だ。

正確に言えば、ギリシャの国民が選挙で選んだ政府の判断だ。

それは、つまりギリシャ国民の判断だ。

しかも、ギリシャはEUに加盟するために自国の財政赤字額を過少申告していた。会社でいえば粉飾決算だ。

フタを開けてびっくり。聞かされていた額の数倍の借金があると知ったドイツやフランス(や他のEU加盟国)が殺意を抱かなかっただけでもめっけもんだ、と私なんかは思うが。

 

その借金は世界に類を見ない「公務員天国」ギリシャの放漫財政によるものだ。

4人に1人は公務員。その年金は破格。観光以外にさしたる産業もないのに、金だけはバンバン使い続けてきた。選挙で有権者に媚を売るためだ。

これで国家財政が破綻しない方がおかしい。

金を好きなだけ使い続けて、金を借りるときは借金の総額を過少申告して、いざ、借りた金を返す段になったら、

「返す金なんかねーよ。

生活切り詰めるなんてムリ!

金返して欲しいんなら追加で金貸せ。」

と言っているのが今のギリシャだ。

ここまで借金まみれになったのも、金借りて開き直ってるのも、ぜ~んぶ、ギリシャ国民の判断だ。

 

うちの事務所には経済的に破綻(はたん)した人、あるいは破綻しかけている人が時々やって来る。「時々」というのは、私が積極的に破産事件や債務整理を手掛けてないからだ。しかし、そういう人たちだってここまでムチャは言わないぞ。

恐るべし、ギリシャ。

使っちゃったモン勝ち、借りたモン勝ち、返さないモン勝ち。

先進国の中で初めてデフォルトに(事実上)陥ってるのに、ある意味、めちゃめちゃ負け組なのに、意識の上では超勝ち組。

それがギリシャ。

 

さすが、古代民主主義発祥の国、だな。

歴史上、初めて「衆愚政治」と批判されたのは古代ギリシャの都市国家アテナイだった。

「衆愚政治」を批判したのもギリシャの哲学者プラトンだ。

 

美しいパルテノン神殿がある丘は、かつて緑豊かな森林だった。

古代ギリシャ人は、その森から切り出した木材を使って次々に神殿を建てた。

やがて森に木がなくなった。仕方なく神殿建設に木ではなく石を使い始めた。

だから今でもギリシャには木が少ない。

エーゲ海が青いのは、オリンポスの神々の祝福を受けて海に映る空が他の地より青いから、ではない。

森のない丘に降った雨水がそのまま海に流れ込むために海にプランクトンが繁殖しにくいからだ。

だからエーゲ海は透き通るように青い。そのかわり、海にプランクトンがいないからエーゲ海には魚も少ない。

 

ギリシャは、数千年を経て、プラトンの時代から何も変わっていない。

その変わらなさは(まだ見たことないけど)青いエーゲ海のようにいっそ清々しい。