2週間、間が空いてしまいましたが、別にバイクに飽きたわけではありませぬ。
ところが最近、次男は誰に吹き込まれたんだか、ベロベロさせてくれなくなりやがった。
昔の競馬は、そのどうしようもない「賭博としての罪深さ」を、今よりはもう少しだけ正直に晒していたように思う。
前回の檜原村の後、我が家の次男と事務所の秘書ちゃんの息子(リンリン。仮名)を連れて苗場に↓
大きい方が我が家の次男(小5)。
小さい方がリンリン(小4)。
この二人、年齢差は1歳。
ウチのチビってば、俺に内緒で何食ってるとここまでデカくなるんだ?
その翌週。
今度は一人でスノボの練習に行ったところ、コブにボードを乗り上げて、思いっきり着地した勢いで右足ふくらはぎが肉離れに↓
全治2週間。
元陸自の依頼者曰く、こういう肉離れの仕方を「スタンプ」と言うらしい。
大地に「バンッ!」とスタンプ押すみたいに足を着くからだろう。
それにしても痛ぇ!
しかし来週金曜の夜からは再び、リンリンと、ウチの事務所で弁護修習していた鈴木君(仮名)と、その友達の藪木君(仮名)の4人で苗場入りだ。
藪木君(仮名)は勤務先の事務所に「所用あり」と言い訳(ウソとも言う)して早退してくるという。
リンリンは2回目の苗場をメチャメチャ楽しみにしてるらしい。
これは意地でも肉離れを治さねばならぬ。
全治2週間だが気合いで10日で治す。
治らなけりゃ治らないで、足の一本くらいどうとでもなろう。
俺の足の肉離れなんかより、楽しみにしていたスキーに行けなくなるリンリンの心の痛みの方が重傷だ。
で、スタンプからちょうど1週間目の昨日。
リハビリも兼ねて府中市に行って参りました。
調布市編で鈴木さん(実名)が教えてくれた、「1964年東京五輪の50km競歩の折り返し地点」はここ↓
この先の小金井街道を左折すれば東京競馬場だ。
競馬と麻雀三昧の日々だった20代前半。
JRAに吸い上げられた額も半端ではない。
この豪華な鉄扉の片方くらいは、おそらく私の金だ。いや、両扉くらいやられてるか。
痛む足を引きずりながらパドックと馬券売り場とゴール前を行ったり来たりするのは辛いので、今回は第5レースと第6レースだけ買ってみることに。
かれこれ30年ぶりなので、そもそも今、どういう馬が強いのかさっぱり分からん。
いや、それ以前に馬券の購入がほとんど自動化されていて、買いたい馬券すら満足に買えん。
発券機の前であたふたしていたら、後ろに並んでいたおっさんから、
「にいちゃん、慣れてないならおばさんの窓口で買った方がええ。当たる馬券も買えなきゃゴミじゃ」
と優しくアドバイスして頂いた。
おっしゃるとおりです。
ちなみに、わたくし、あなたと年齢、そんなに変わりません。たぶん。
てか、ちゃんと人間(のおばさん)が売ってくれる窓口も残ってたのか。
第5レースは3歳未勝利戦。
パドックで見て気に入った3頭を11-12、11-13、12-13でボックス買い。
1着は読み通り13番のネイジュだったが、2着に2番のフィオーレカフェが入った。
クビ差の3着で12番のデイトラインだ。
惜しかった。
ちなみにゴールの遥か向こうには、ユーミンが「中央フリーウェイ」で歌ったビール工場が見えてます。
次の第6レースは3番と7番と11番の複勝。
私事ですが、次男が小さかった頃は毎日、
「アルベルト・ベロベーロだよ〜ん」
と彼の顔をベロベロ舐めておりました。
変態?
まぁ、お好きに呼んでくだせい。
ところが最近、次男は誰に吹き込まれたんだか、ベロベロさせてくれなくなりやがった。
反抗期か?
父親が可愛い我が子の顔をベロベロ舐めるのは、親猫が子猫の毛繕いしてやるようなもんなのに。
冷たい奴だ。
で、第6レースの3番。
馬名は「アルベロベッロ」
俺の化身か?
馬体もいい感じだ。
同じく11番のタツオウカケンランもいい。
毛並みがしっとりと美しく、落ち着いていて、後ろ足の踏み込みも力強い。
ちなみに私は辰年。
タツオウカケンラン。
他人とは思えん。
買いだ。
で、最後に7番。マイネルロベルト。
いや、何が目を引いたって、
チンコ、めちゃでか!
俺の化身か?(※ミエはってます。すいません)
他人とは思えん(※うそです。ごめんなさい)
結果はタツオウカケンランが2着。
アルベロベッロは4着。
マイネルロベルト5着。
あぁ。
やっぱ、チンコでかいと走りにくいか。
うんうん、ロベルト。わかる、わかるぞ。その辛さ。
結局、600円使ってタツオウカケンランの複勝が270円に。
JRAのヤロー、まだ俺から金取るか?
今度は宮殿でも建てようってか?
たとえ330円でも負けた以上、オケラ街道を走らねばなりますまい。
東京競馬場のオケラ街道というと、普通は西門から府中本町駅までの道を指す。
ここ↓
道の脇には一杯飲み屋が軒を連ねている。
この上まだ、むしり取りますか! さすがです!
そういえば、あれはオークスの日だったか。
最終レースまで負けに負けて、ビール飲むどころか電車賃までなくなり、文字どおりオケラになって調布駅まで歩いたことがあったっけ。
そこから先はどうやって家まで帰ったのか、残念ながら記憶がない。
一緒に歩いたのはクリとサカイリとマメチャンと、あとはクボヤマだったかサエキだったかタツヒコだったか。
ところで。
バイクを停めていた駐輪場の脇には馬頭観音と、レースで故障し薬殺されていった馬たちの供養塔があった。
人気タレントたちをCMに使って、木村カエラさんにテーマソングを歌ってもらって、「本場英国では貴族のスポーツだ」なんだと言ったところで、競馬は所詮、ギャンブルである。
賢く、人間に従順な馬たちを命懸けで走らせて、それに金を賭けて熱狂する賭博だ。
私はギャンブル好きの、ドス黒い欲望にまみれた、どうしようもない人間だが、そういう自分を隠すことを是とはしない。
だから、ギャンブルとしての拭いがたいドス黒さを「健全」という薄っぺらなベールで覆い隠そうとするかのような今の競馬を好きにはなれない。
昔の競馬は、そのどうしようもない「賭博としての罪深さ」を、今よりはもう少しだけ正直に晒していたように思う。
馬たちの供養塔は、そういうどうしようもない人間たちの、せめてもの贖罪の形だ。
東京競馬場のゴール前にはたくさんの若者がいた。
高そうな一眼レフのカメラを構えて、ゴールに駆け込んでくる馬たちを狙っている「馬ガール」たちもいた。
けれど、死んでいった馬たちの供養塔を写真に納め、手を合わせる人の姿はついになかった。
サカイリたちと一文無しで笑いながら調布まで歩いたあの日から30年。
自分が競馬から距離を置いてしまった理由が、少しわかったような気がした。