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つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

許されざる者

2013-09-16 19:11:55 | 映画

2013年9月13日(金)

監督:李相日

出演:渡辺謙、柄本明、佐藤浩市

 

面白かったです。

今年観た日本映画の中では今のところ1番かな。北海道の雪原風景や明治初期の開拓村の映像も非常に美しくて惹き込まれました。

80点。

クリント・イーストウッド監督・主演のハリウッド映画のリメイクということは知りませんでした(観終った後で知りました)。

予告編が面白そうだったということもあるのですが、女郎宿の主人役で出演している近藤芳正さんとは以前(私が弁護士になる前)にお仕事でご一緒させていただいたご縁があり、懐かしさも手伝って思わず映画館に足を運んでしまった次第です。

 

「ハリウッドの西部劇を彷彿とさせる設定だなぁ」とか、「(佐藤浩市さんのセリフが)ダーティ・ハリーのセリフのパロディだぁ」とか思って観ていたので、後になって「イーストウッド監督・主演の映画のリメイク」と分かって、妙に納得しました。

それにしても、近ちゃんはいい役者になった(と私がいうのも偉そうですが)と思います。

今、一番脂がのっている佐藤浩市さん、大御所の渡辺謙さん、大先輩の柄本明さんと共演しても一歩も引かないんだもん。

同じ愛知県人としてちょっぴり嬉しいっす。

 

作品は面白かったんですが、柄本明さん演じる金吾が相手を殺しきれず、自分の弱みを十兵衛に吐露するシーンだけはどうにもしっくりきませんでした。

唐突すぎるというか、流れが飛躍しているというか。

柄本明さんがいい役者だけに残念です。シナリオのリメイク時に削り落とされたエピソードでもあったのでしょうか・・・(イーストウッドの「許されざる者」を私は観ていないので何ともいえませんが・・・。)

 


ホワイトハウス・ダウン

2013-09-09 10:30:27 | 映画

2013年9月6日(金)

監督:ローランド・エメリッヒ

出演:チャニング・テイタム、ジェイミー・フォックス、ジョーイ・キング

 

あまり期待していなかったのですが、面白かったです。

75点。

ド派手なアクションシーンや分かりやすいテーマ(アメリカの正義とか、親子関係の再生とか)を描かせたらやはりハリウッド映画はピカイチだと思います。

対照的に、登場人物のしみじみとした心理描写、内面の深い葛藤を描かせたら、最近の日本映画は世界水準になっているのではないかと。

狩猟民族と農耕民族の違いでしょうか。

チャニング・テイタムとジェイミー・フォックスの掛け合いと、端々に挿入されるアメリカン・ジョーク(?)はローランド・エメリッヒの真骨頂ですな。

笑わせて貰いました。

「世界平和」とは「中東情勢」とか「クーデター」とか大風呂敷なテーマが盛りだくさんですが、物語の竜骨は「親子関係の再生」です。

チャニング・テイタム演じる父親が忙しさにかまけて見に行けなかったジョーイ・キング演じる娘の学校行事の晴れ舞台「旗振り役」が、物語の重要なキーになってくるあたり、「上手いなぁ」と思ってしまいました。

 

ちなみに、物語のクライマックス、必死に大統領旗を振るジョーイ・キングを見て空爆部隊がホワイト・ハウスの空爆を断念するシーンで、かわぐちかいじさんの「沈黙の艦隊」の1シーンを思い出してしまったのは私だけでしょうか。

 

 

 

 


宮崎駿さん引退

2013-09-02 16:09:46 | 映画

先日の「風立ちぬ」の感想が奇しくも当たってしまいました。

やはりどう考えても、あの作品はご本人の

「もう、俺は10年以上も走り続けたんだから、これで終わり」

というメッセージだったと思います。

作り手のメッセージをちゃんと理解できた、という意味で少し満足。

 


少年H

2013-08-26 11:32:04 | 映画

2013年8月22日(金)

監督:降旗康男

出演:水谷豊、伊藤蘭、吉岡竜輝、花田優里音

 

よかったです。

私以外の観客は全員70歳前後(あるいはもっと上?)の大先輩の方々でしたが。

大先輩の方々は、

「焼夷弾はあんなモンじゃない」

「空襲はあんなモンじゃない」

等々、辛口のご批判をされてました。

でも、俺は、上映中にあちこちで響く「鼻水をすする音」を聞き逃しませんでしたぜ、先輩!!

80点。


風立ちぬ

2013-08-20 11:38:21 | 映画

2013年8月9日(金)

原作・脚本・監督 宮崎駿

声の出演 庵野秀明、風間杜夫、竹下恵子、大竹しのぶ、野村萬斎

 

宮崎駿さんの作品は好きでも嫌いでもないのですが(あ、「アルプスの少女ハイジ」は好きです)、この作品は面白くありませんでした。

現実感がなくて。

制作者が作品に込めたメッセージも、結局、何が言いたいんだかよく分からなかったし。

画面は綺麗ですが嘘くさい。

たとえば空を流れる雲。

全く形を変えることなく、空を速いスピードで流れていく雲はありません。

雲はその動きに会わせて少しずつ少しずつ形を変えていくものです。

全く形を変えることなく流れていく雲のシーンを観ていると、

「あぁ、ちゃんと流れる雲を観たことがない人たちが作ったんだなぁ」

とか思ってしまいます。

あと、題材を堀辰雄と堀越二郎に求めているわけですが、両者の歴史的な存在感が大きすぎて、フィクション化しきれていないように思えました。

これくらいなら、堀越二郎の伝記(堀辰雄の伝記でももちろん可)を忠実に描いた方が良かったかも。

両者を一つにまとめた意図もよく分からないし。

 

カプローニが作中で、

「創造的人生の持ち時間は10年だ」

と言うのですが、この10年を遙かに超えて日本のアニメ界の巨星として君臨し続けている宮崎駿さんっていったい・・・。

あくまでもゲスの勘ぐりですが、宮崎さんは、

「創造的人生の持ち時間は10年だからさ。俺はもう、終わった人間だからさ。いつまでも俺を御輿に担いでわっしょいわっしょいしてるのは止めて、次の新しい10年を持った若手が出て来いよ。でないと、日本のアニメ、終わっちゃうぞ」

と伝えようとしているような気がしました。

あくまでも勘ぐりだけどね。

60点。