ひまわりてんびんへの道

会社は変われど、一貫して企業法務に携わってきました。思いつくまま、気の向くまま、気長に書き続けます。

債権回収~抵当権設定および公正証書

2005年09月12日 | 仕事
前回の続きです。

どうやら、相手方の銀行口座は、仮差押の時点では、そんなに入っていなくても、月末には客先からお金が入ってくる口座だったらしい。そして、その金が引き出せないとなると取引先に支払いができなくなる、だから、取り下げて欲しいとのことのようです。

こっちには払わないで、取引先には支払うんかい、とも思いましたが、業務が停止してしまっては、とるものもとることはできません。

仮差押された口座は、引き出しはできなくても入金はされるようです。

こちらとしては、本訴を起こす準備をしていたのですが、ある程度納得できる条件が出てくるのであれば、取り下げてもいい、という回答をしました。

つまり、
最初にある程度まとまった額の入金がなされ、できる限り短期に完済できること、担保として代表者個人が連帯保証し、その所有不動産に抵当権を設定すること。
そして、この債務承認、分割弁済契約書は、強制執行認諾約款付公正証書とすることが、その条件でした。

そして、相手方はこれらの条件を承諾したので、書面の準備に入りました。

契約の構成としては、
B社、C社は、あくまでA社の子会社で、別人格とはいえ一体で経営されていることから、A社に、B社およびC社の債務を、併存的に引き受けてもらうこととしました。

従って、結ぶ契約書は、

   契約当事者               契約
 当社と3社               債務引受契約
 当社とA社またはB社またはC社     債務弁済契約
 当社とA社の代表者           代物弁済予約付抵当権設定契約

なお、各社との債務弁済契約には、A社の代表者の連帯保証を付けました。

この契約の作成に当たっては、当方で案文を作成し、弁護士の確認を得ましたが、
公正証書や登記ができなくなっては困るので、公証人や司法書士にも確認してもらいました。

やはり確認してよかったのは、以前にも書きましたが、登記実務では、
債務弁済契約といわずに、債務承認契約ということ。

また、契約の当事者の甲乙について、お金を回収する当方が、つまり債権者が甲だと思っていたら、公正証書では、債務者が甲となること(なんで、金払わずに公正証書まで作らにゃならなくなった奴を先に立てなきゃいかんのかい。)

が、ちょっと思いもしていなかったので、要注意。

このほかにも、手続き上で文言の修正などちょっとしたことがいろいろありましたが、公正証書を作成し、無事、登記を申請することができました。

やはり、関係先には、面倒くさがらずに事前に照会することが時間と手間を掛けずに済むことになります。

まだ、公正証書の正本が送達されてきていませんが、債務者からは、約定どおり、
第1回目の弁済があり、営業ともどもまずは、ちょっぴり喜んでいるところです。





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