松阪いさおと中央区を元気にする会

中央区民をはじめ広く大阪市民の皆様の意見をお聞きして大阪市政に提言する政治団体です

「二重行政」が大阪経済低迷の原因ではなかった

2021年06月01日 | 市民の方々との対話
 「大阪維新の会」は「二重行政」が原因で「企業は大阪からどんどん逃げていく」と主張されておられます。
(「大阪維新の会」HP「都構想まるごとスッキリBOOK」 P12)
 しかし、この主張には何ら根拠がないことが大阪府の調査で明らかになっていたのです。
 2019年の大阪府商工労働部の調査によれば、大阪にある企業本社の件数は横ばいで推移していることが分かったのです。(グラフ図表3―2参照)


ただ資本金の100億円以上の大企業の移転は1999年以降進んでいるとしています。しかし大阪から本社を移転した理由は「大きなマーケットの存在、インフラ整備、効率化、新たな市場開拓などが挙げられる」と報告しており、「二重行政」が理由だとは一言も触れられていませんでした。
(グラフ図表3−1参照)

(「大阪における本社移転の要因に関する調査」 大阪府商工労働部2019年)

 このグラフによれば1999年までは本社企業数は増加しています。「二重行政」は1999年以降に始まったわけではないですから、このグラフを見ただけでも企業の大阪からの転出は「二重行政」のあるなしとは全く関係なく増減していることがわかります。

 この調査では、中小企業も含めた企業の東京への移転理由として、
①首都圏への本社移転は、自社内での拠点集約やM&Aなどが背景にある。
②首都圏の優秀な人材、マーケット、良好なアクセス、情報への魅力
をあげています。

 逆に関西の他県からも同様の理由で大阪に本社を移転する傾向があるとしていました。
 つまり、大阪には依然として大都市としての魅力は存在しており、首都圏への転出はあるものの関西圏からの転入もあり、本社企業の件数が現象しているわけではないことがわかりました。
 
 この調査から、「二重行政」が原因で関西経済の低迷をまねき「企業が逃げていった」とは言えないことを大阪府自らが証明していたのです。
 「二重行政」が関西経済の低迷を招いたとする「大阪維新の会」の主張が、根拠のないものであることが大阪府の調査からも明らかとなりました。

 また、この調査では、企業が本社を置くための条件として
「大都市部特有の優秀な人材やマーケットの存在、情報の入手機会、良好なアクセス、対ビジネスサービス産業などを重視している」ことをあげており、この点において大阪には企業を惹きつける魅力がたくさん存在し、特に大阪は「東京と比べて立地コストが低いことが魅力」があると報告していました。

首都圏では企業の東京脱出が始まっていた
2021年5月30日の日経新聞に、
「企業、コロナで都心脱出」
とあり、大企業、中小企業問わず、コロナの影響で本社を東京から地方へと移転する企業が増えていると報じていました。
企業が本社を移転する場合、どのような条件でその移転先を選ぶのでしょうか?
その条件について考えてみました。
日経新聞記事URL https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72415670Q1A530C2MM8000/

企業本社移転にみる3つの要素
 同記事によると、本社を移転させたほとんどが売上高10億円未満の中小企業だそうですが、移転の際の選択の要素として幾つか挙げています。

 都心への距離が適度な郊外であること、通勤などのアクセスが良いことなどです。
 また、移転先の多い都市から順に上げると、横浜市、川崎市、さいたま市、川口市となっており、宇都宮市や軽井沢町といった少し遠い都市もありました。
 この調査結果からいくつかの傾向性が見えてきます。
 以下3点にまとめてみました。

1 東京の都心から移動時間が1時間程度以内で行くことのできる範囲であること
2 優秀な人材が獲得できる環境であること
3 地価やオフィス使用料が安いこと


「都構想」ではない大阪に企業を誘致する方法
日経新聞の記事と大阪府の調査の結果を考え合わせてみると、
今後大阪に企業を誘致するために取り組むべき課題として次の3点が挙げられます。

1 交通インフラの整備によりアクセスの向上をはかる
 リニア新幹線の整備を中心とした整備新幹線網の建設により大阪が西日本の中心的なハブ都市になるべくインフラを整備することが必要です。
 日経新聞の記事にあった東京都心部からの本社移転先の条件としてアクセスの良さがありましたが、大阪が東京と1時間ほどで結ばれるリニア新幹線を整備できれば東京からのアクセスが格段に向上し、企業を誘致することが期待できます。

2 首都圏よりオフイス立地コストが安く抑えられること
 首都圏にはない大阪の魅力の一つである立地コストの低減に向けてしっかりと取り組むことが大事です。
 特区などの活用で建築基準法の制限を緩和して、建物の容積率や高さ制限を緩和するこでよりいっそうオフィス立地コストを抑えることが可能となり、他都市との競争力も高まります。

3 優秀な人材が雇用できること
  関西3府県には優秀な人材を輩出できる大学など高等教育機関がたくさん存在しており、首都圏と比べても劣らない優秀な人材を確保できる環境にあります。
 関西の強みとして大学との連携により即戦力となる優秀な人材育成にこれからも取り組むべきでしょう。
  
「制度いじり」では発展は不可能
 「大阪維新の会」の進める「大阪都構想」をはじめとした「広域行政一元化」や「総合区設置」のような「制度いじり」をすることで大阪の経済が発展するなどということはこの二つの調査からはまったく読み取れませんでした。
 まして大阪から企業が逃げていった理由が「二重行政」にあるなどとすることなど根拠のないデタラメであることがわかりました。
 「大阪維新の会」の皆さんにはこのような調査結果をしっかり受け止めて、本当に大阪が発展するようための政策を考えてほしいと思います。

リニア新幹線の大阪への開通を急げ
 2つの調査からも、企業にとって大阪は、マーケットの規模や優秀な人材、オフィスの立地コストの安さなど、たくさんの魅力があることがわかりましたが、
 にもかかわらず企業誘致が進まないのは、首都圏や西日本各地の主要都市から2〜3時間以上かかっているアクセスの弱さにあると思います。
 
 このために、リニア新幹線を早期に大阪まで開通させて、整備新幹線の計画を進め、北陸新幹線だけでなく、山陰新幹線も整備して鳥取市や松江市からのアクセスも向上させることや、リニア新幹線も新大阪が終点ではなく、うめきたをターミナルとすることで大阪の都心へのアクセスを短縮させることが必要です。

リニアは西へ
 さらに言えばリニア新幹線を大阪から関西空港まで伸ばし、国際空港へのアクセスを向上させることや、和歌山市を経由して徳島市、高松市、松山市、佐多岬を経由して福岡市まで伸ばせば、四国各都市はおろか福岡市までが大阪への通勤圏内になります。
まさに東京都と並ぶ副首都が実現できます。
 
 巨額の費用が必要となるこのようなインフラ整備ですが、知恵を絞れば実現可能だと思います。
 次回以降、大阪のインフラ整備のための資金調達についてその方法を考えてまいります。ご期待ください。

 最後までお読みくださり本当にありがとうございました。


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