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生物のいなかった宇宙でどのようにして生命が誕生したのかは、現代科学の難問の一つだ。真正面から取り組む研究者が少ないテーマだが、日本の天文学者が最近、生命誕生の可能性を理論的に示す論文を発表し注目を集めている。広大な宇宙なら少なくとも一つの天体で生命が誕生する化学反応が起きるという。その希少な惑星が地球だ。この論文は2月3日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。投稿した東京大学の戸谷友則教授は、宇宙の成り立ちを考える宇宙論が専門だ。分野の全く異なる、生命の起源に関する論文や研究書を読み始めたのは数年前のことだ。戸谷教授には強い思いがあった。地球以外の天体に生命を探し求める研究熱が最近盛り上がり、取り組んでいる人たちは「宇宙で生命は珍しいものではない」と説いている。一方で「生命はめったに生まれるはずがない」と考える科学者も多い。ただしこの議論の前提は、私たちが観測できる範囲の宇宙に限っている。現代宇宙論に基づくと、ごく一部の宇宙しか見ていない。「多くの宇宙論研究者が支持するインフレーション理論によれば、宇宙は観測される範囲よりもはるかに広い」(戸谷教授)戸谷教授はインフレーション理論と、生命起源で有力な説とされる「RNA(リボ核酸)ワールド」を組み合わせるアイデアをひらめいた。融合させた理論のもとで、最も原始的な生命が化学反応によって偶然に誕生する可能性があるのかないのか、興味を抱いた。インフレーション理論は約138億年前に宇宙が誕生した直後、急膨張したとする学説だ。佐藤勝彦東京大学名誉教授らが1980年代に提唱した。その膨張スピードは想像を絶し、原子1個に満たない空間が1000兆分の1秒よりはるかに短い時間で太陽系を超える大きさになったと考えている。もう一つのRNAワールドは、原始の生命はRNAが簡単な膜に包まれたような存在で、地球に現存するDNAとRNA、たんぱく質をもつ生物とは異なっていたとする仮説だ。RNAは4種類の分子(ヌクレオチド)が鎖状につながった高分子。ヌクレオチドが少なくとも40個、あるいはざっと100個以上が特定の配列でつながると、自然と複製する機能を備え、生物が誕生したというシナリオを想定している。(* 日経 記事より)
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