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きっかけは3月にニュージーランド(NZ)で起きた銃乱射事件だ。同国の公的年金基金が「不快なコンテンツの中継と配信の阻止に向け」フェイスブック、ツイッター、動画共有サイト「ユーチューブ」を傘下に持つアルファベットの米3社に行動を促すべく、各国の投資家に呼びかけたのだ。今のところ、成果は必ずしもはかばかしくない。総運用資産が13兆ドル(約1400兆円)にも上る約100社がこの呼びかけに加わり、当該3社は申し入れへの対処を約束した。しかしNZの銃乱射事件を含め、過激な動画はSNS上で拡散し続けている。それでも潮目は変わったといえる。ESG(環境・社会・企業統治)を重視する投資家が石油・ガス業界などへと同様、IT(情報技術)大手にも改革を迫る活動を始めたからだ。IT企業へのこうした働きかけが20年に加速するのはほぼ間違いない。(中略)個人情報保護の取り組みや、IT企業の技術やノウハウが監視社会の構築に利用されることに対してだ。アップルは次の株主総会で表現の自由を巡り、株主と対峙することになる。同社の地図アプリが香港デモの参加者に悪用されていると中国政府から批判され、配信を止めたことで「物言う株主」がこれを問題視する議案を提出したのだ。IT企業の国際的なサプライチェーンも俎上(そじょう)に載っている。ある人権団体は先ごろ、アップルやグーグル、マイクロソフトなど米5社を提訴した。IT機器には欠かせないコバルトを採掘するアフリカの鉱山で、児童労働をほう助した容疑だ。ESG投資家も人権や環境に絡む問題で株主代表訴訟を検討している。(中略)目先、変化は当該企業の従業員から起こるかもしれない。1500人超の米アマゾン・ドット・コム社員は9月、30年までに同社の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすることを求めてストライキをした。グーグルでも性差別や中国での検索事業への再参入を巡り、社員が抗議活動をしている。これはESG投資家が望む改革とはいえないし、IT大手の市場支配力や個人情報保護に関する懸念を和らげるわけでもない。とはいえ重要な動きだ。20年こそ、あまりに長く放置されてきた問題から各社の経営陣が逃れられなくなることを期待したい。(日経 FT 記事より)
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