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米欧の政府や中央銀行が株主還元に厳しい目を向けている。新型コロナウイルスによる資金繰りの悪化で政府支援を受けた企業の配当を禁止するほか、銀行には融資のために資本を厚く保つよう株主還元の停止を要請している。各国のコロナ対策費が株主に流れるのを防ぐ狙いがある。従業員の給与や手元資金より還元を重視する株主至上主義からの転換をコロナが強める側面があり、増加してきた世界の配当は今年度に2~3割減少する見通しだ。
米連邦準備理事会(FRB)は、準備中の中堅企業向けの資金支援策に厳しい条件を入れた。支援を受けた企業は、借りている期間だけでなく、返済から1年後まで配当と自社株買いが制限される。支援金の海外子会社などへの送金も禁止されるなど財務活動の縛りが多い。欧州でも政府支援を申請した企業に配当制限を課す動きがある。英財務省は19日、大企業向け融資の政府保証制度を改めた。融資の上限を2億ポンド(約260億円)と4倍にする半面、利用企業には融資期間中の配当や自社株買いを禁じた。25日にドイツ政府が独航空大手ルフトハンザと合意した90億ユーロ(約1兆円)の支援策にも配当停止の条件が盛り込まれた。
政府や当局が配当制限に動くのは、国民の目を意識したものだ。米国では08年の金融危機時に銀行や投資家、大企業を税金で助けたと受け止められ、批判を浴びた。コロナ危機で資金繰り難に陥った一部の大企業は、積極的な株主還元で財務体質が脆弱だった。株主が政府支援によって投資先の「破綻」を免れ、配当も受け取るとなれば、再び批判を招きかねない。当局の目は銀行にも向かっている。欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行は、利益を留保して資本を厚めに保ち、企業や家計の緊急融資に対応するよう求めた。米国ではミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が英紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿で「銀行は配当停止で経済を支えるべきだ」と主張した。銀行も世論を意識せざるをえない。英HSBCホールディングスなど欧州銀大手は金融監督当局の要請を受けて、相次ぎ配当停止に踏み切った。米銀大手は自発的に自社株買いを止め、家計・中小への支援に資金を回すと宣言した。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は新型コロナ危機が格差を是正する契機になると主張し、顧客支援の重要性を強調する。(*日経 記事より、表も)
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