合唱サークルの話です。
Nさんの孫が、この季節なのにインフルエンザにかかってしまいました。きょうだいにうつすことを懸念した両親は、Nさんにその孫を預けたのでした。
「うちを避難場所にしてる」
Nさんはちょっと不満そうですが、義母は、「避難場所があってよかった」
避難場所と言えば、西日本豪雨災害で家を失ったAさんも、子どもを頼ってうちの近所に引っ越してきました。
「いままで仲良くしていた人たちとわかれてしまって、さびしい」
とAさんは訴えています。
すでに七十を越えている彼女にとっては、新しい環境はなじみが薄く、見慣れないものばかりありますよね。持参できるものも限られているでしょう。
そんなAさんも、大切なものを持って逃げていました。それは、預金通帳でもなければ、身分証明書でもありませんでした。
「配給手帖を、うちに置いてるの」
Aさんは、真顔で言います。
「いつ、また配給がはじまるかわかりませんから」
戦争で苦労していると、考えることがちょっと違うらしい。たしかに食糧難が危惧される近未来の状況ですから、配給手帖を持ち出すのはひとつのアイデアでしょう。
お金があればなんでも買えるわけじゃないのです。一寸先は闇。明日も同じ日が続くとは思わない方がいいかもと思ったサークル日記でした。
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