あすにゃん日記

500字程度のエッセイを書きます。

避難場所に思うこと

2019-09-04 14:44:46 | 日記

 合唱サークルの話です。
 Nさんの孫が、この季節なのにインフルエンザにかかってしまいました。きょうだいにうつすことを懸念した両親は、Nさんにその孫を預けたのでした。
「うちを避難場所にしてる」
 Nさんはちょっと不満そうですが、義母は、「避難場所があってよかった」
 
 避難場所と言えば、西日本豪雨災害で家を失ったAさんも、子どもを頼ってうちの近所に引っ越してきました。
「いままで仲良くしていた人たちとわかれてしまって、さびしい」
 とAさんは訴えています。
 すでに七十を越えている彼女にとっては、新しい環境はなじみが薄く、見慣れないものばかりありますよね。持参できるものも限られているでしょう。
 そんなAさんも、大切なものを持って逃げていました。それは、預金通帳でもなければ、身分証明書でもありませんでした。
「配給手帖を、うちに置いてるの」
 Aさんは、真顔で言います。
「いつ、また配給がはじまるかわかりませんから」
 戦争で苦労していると、考えることがちょっと違うらしい。たしかに食糧難が危惧される近未来の状況ですから、配給手帖を持ち出すのはひとつのアイデアでしょう。
 お金があればなんでも買えるわけじゃないのです。一寸先は闇。明日も同じ日が続くとは思わない方がいいかもと思ったサークル日記でした。


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