今回は、ちょっと長めです。
出典:https://novel.daysneo.com/works/episode/76c11df08fd455c37b8bbd433852ce3e.html
2015年の2月頃、IngressのFSという初心者講座を受講した。そこで運営会社ナイアンティックの社長ジョン・ハンケが、京都でIngressのアイデアを得た、という話があった。ハンケは日本びいきであるという。そして、このゲームは、定期的にイベントをするのだそうだ。
任天堂ゲームには、そういうことはなかったけど、最近ではこれが当たり前なのかー。
その時点では、ゲームでのイベントは珍しいことだったのだが、主婦のわたしにはわからなかったのである。
その一月後に世界大会(アノマリー)のため京都に赴き、石川チームと合流。アノマリーのルールを教えてくれる。わたしには、何を言っているのかサッパリわからなかった。ただ、金魚の糞みたいにチームのあとをおいかけて、京都の街をバスで走り回っていた。右頬にゲームのタトゥシールを貼って(無料で配られていたのである)。
午後三時頃。勝負もたけなわになってきた。
ある場所に、チームで降り立つ。
「おや、こんなところにお地蔵さんが」
歴史ある神社仏閣で有名な京都にも、お地蔵さんがいる。京都は、堅苦しいだけと思っていた。有名なお地蔵さんではないが、ここがゲームの決戦場になるという。
そのお地蔵さんを眺めていると、ひとりの老婦人が近づいてきた。品のある服装で、眉をひそめ、唇を噛んでいる。
わたしは、覚悟を決めた。
いくら京都が観光地だからといって、傍若無人にふるまう観光客は、我慢できないに決まってる。もし、広島の慰霊碑のまえで、気ままに世界ゲームをされたら。
わたしが、固唾を呑んで待ち構えていると、老婦人はわたしの右頬をさして言った。
「そのタトゥ、似合ってませんね」
そっちかい。
出典:https://novel.daysneo.com/works/episode/76c11df08fd455c37b8bbd433852ce3e.html
2015年の2月頃、IngressのFSという初心者講座を受講した。そこで運営会社ナイアンティックの社長ジョン・ハンケが、京都でIngressのアイデアを得た、という話があった。ハンケは日本びいきであるという。そして、このゲームは、定期的にイベントをするのだそうだ。
任天堂ゲームには、そういうことはなかったけど、最近ではこれが当たり前なのかー。
その時点では、ゲームでのイベントは珍しいことだったのだが、主婦のわたしにはわからなかったのである。
その一月後に世界大会(アノマリー)のため京都に赴き、石川チームと合流。アノマリーのルールを教えてくれる。わたしには、何を言っているのかサッパリわからなかった。ただ、金魚の糞みたいにチームのあとをおいかけて、京都の街をバスで走り回っていた。右頬にゲームのタトゥシールを貼って(無料で配られていたのである)。
午後三時頃。勝負もたけなわになってきた。
ある場所に、チームで降り立つ。
「おや、こんなところにお地蔵さんが」
歴史ある神社仏閣で有名な京都にも、お地蔵さんがいる。京都は、堅苦しいだけと思っていた。有名なお地蔵さんではないが、ここがゲームの決戦場になるという。
そのお地蔵さんを眺めていると、ひとりの老婦人が近づいてきた。品のある服装で、眉をひそめ、唇を噛んでいる。
わたしは、覚悟を決めた。
いくら京都が観光地だからといって、傍若無人にふるまう観光客は、我慢できないに決まってる。もし、広島の慰霊碑のまえで、気ままに世界ゲームをされたら。
わたしが、固唾を呑んで待ち構えていると、老婦人はわたしの右頬をさして言った。
「そのタトゥ、似合ってませんね」
そっちかい。