歩きながらふと見上げると、
木漏れ日がきらきら眩しい。
立ち止まって、カメラを構えた。
撮り終えて再び歩き出そうとすると、
子供たちは、黙って、そこらの石垣に腰掛けて待っていた。
またか、というような、
しょうがないなぁ、というような
顔をして。
三人で歩いていると、
私が写真を撮るためにしょっちゅう立ち止まるので
子供ばかり先へ先へと行ってしまう。
だいたい、
兄がずっと先の方まで走っていってしまって、
妹が、
「おかあさん、お兄ちゃんもうあんなとこまで行っちゃったよ」
と心配そうに戻ってきて、
母は、
「あぁ、ええって。ほっとき。」
と、被写体から目を離そうともしない。
撮り終えて顔を上げ、
遠くでふざけあっている子供たちの姿をようやく目にすると、
いつも、中城ふみ子のこの歌が浮かぶ。
どんぐりの落つる音にも惑(ひ)かれ易き母は遅れて林を出でつ
わたしだけじゃ、ないもん。
心の中でつぶやいたら、
カメラを右手にぶら下げて、ゆっくりと、
子供たちの方に向かって歩き出す。