大輪のクレマチスが、
今年も、職場のベランダで咲きだした。
去年、
この花をとても気に入ってた人がいたのだけれど、
その人は、次の春を待たずに亡くなってしまった。
まだ若くて、
去年の今頃は、誰ひとりとしてその人が逝ってしまうなどとは
思いもしなかったのに。
おそらく、本人でさえも。
季節はめぐり、
花はまたこうして咲いているのに、
その人のかたちはもう、
この世のどこにもない。
人のいのちは、
時に、花よりも儚いのだろうか。
それでも、
誰かがその人のことを憶えている限り、
たとえかたちはなくなっても、
誰かの胸に、その人は生き続ける。