クリスマスローズは、
下を向いて咲く。
写真を撮る時の、
カメラを向ける角度に、いつも苦心する。
この、花びらのように見えるところは
実は花びらではなくて、萼(がく)なんだそうだ。
ほんとの花びらは、
雄しべの元のあたりにちょこちょこっとあるだけで、
しかもすぐ散ってしまうらしい。
でも、
こうしてつつましくうつむいて、
可憐に咲いている姿を見れば、
べつに萼でも花びらでもどっちでもいいじゃない、
という気持ちになる。
美しく大きな萼の中に、
ちいさな、ほんとうの自分を隠して、
誰かの訪れを、じっと待ち続けているのなら。
うつむいて咲く花なればうつむいたまま抱き締めよ強き腕(かいな)で