分綴法(2)
なぜ分綴法を知っておいたほうがいいか?
それは単に改行するのに便利なだけでなく
e を [ エ ] と読むか [ ウ ] なのか、あるいは無音か
にかかわって来るからです.
アクセント記号がのっかていれば、[ エ ] で
いいのですが、のっかていない e も、
しばしば [ エ ] と読むからです.
では 先日の続きからです.前回は3つ
覚えておいででしょょうか?
分綴法① 音節は子音の前で切る.
分綴法② 子音が2つ連続するばあいは2つの間で切る.
分綴法③ 母音の連続は間で切ってはいけない.
ではつづき行きますね.
分綴法⓸ 子音字 + l 、または子音字 + r
この場合は分綴法②と異なり、間で切らない.
ただし、rl、lr、ll、rr は分綴法②に従う.
————— ta-bleau [タブロ] 板
————— cen-tral [サントラル] 中央の
分綴法⑤ ch、 ph、 th、 gn も、2つの間で切らない.
————— chè-vre [シェーヴル] 山羊
————— i-gno-rant [イニョラ] 無知な
分綴法⑥ 3字以上の子音字が続く場合は、原則として
2つ目と3つ目との間で切る.ただしこの場
合も、分綴法④、及び分綴法⑤の指示は優先
する.
————— comp-ter [コンテ] 数える
————— es-clave [エスクラーヴ] 奴隷
* es-clave [エスクラーヴ] は第1音節のe は s という子音
がうしろに着ているので[エ]、いっぽう第2音節の e
はうしろに子音字がないので[ウ]の発音になります.
それから、いよいよ「音節」と「分綴」の違い目について
書きます.
分綴法⑦ 語尾に無音の e 、もしくは「無音のe + s 」
がある場合は、発音上は1つの音節をなさな
いが、綴り字の上では独立した音節となる.
————— Nî-mes [ニーム] ニーム(都会名)
* Nîmes ではmes は分綴法上は音節扱いですが、
発音上ではe に音価がないので音節ではありません.
発音上の音節の定義では、「必ず1つの母音を含む」
ことになっていますから.
前々回の定義をもう一度書きますと、
❶ 1母音のみの音節: à, et, ou など
❷ < 子音字 + 母音 > : si, mes, tout など
❸ < 母音 + 子音 > : or, air, halle
❹ < 子音 + 母音 + 子音 > :lac [ラック], soupe [スプ]
❸のair はai の部分は切れません.(連続する母音)
そして最後に
分綴法⑧ 冠詞その他の語の綴りの1部が省略され、
アポストロフ(’)をつけて次の語と
合体した場合は、それを1語とみなし、
2つの間では切らない.
————— l'hom-me [ロム] 人
————— s'il [スィル] もし彼が
以上です.これで改行も、e の読み方も一度にマスター
したことになります.
【卒業試験1】
次の語を分綴法に従い各音節を分けよ.
1: docteur 博士
2: artiste 芸術家
3: sacrifice 犠牲
4: journal 新聞
5: uniforme 制服
6: Afrique アフリカ
7: ambassadeur 大使
8: synonyme 類義語
9: excellence 優秀
10: passion 情念
11: l'aiguille 針
12: Versailles ベルサイユ
————————————————————————————
【解答】
1: doc-teur 博士
2: ar-tis-te 芸術家 発音上の音節は ar-tiste
3: sa-cri-fi-ce 犠牲 発音上の音節は asa-cri-fice
4: jour-nal 新聞
5: u-ni-for-me 制服 発音上の音節は u-ni-forme
6: A-fri-que アフリカ 発音上の音節は A-frique
7: am-bas-sa-deur 大使
8: sy-no-ny-me 類義語 発音上の音節は sy-no-nyme
9: ex-cel-len-ce 優秀 発音上の音節は ex-cel-lence
10: pas-sion 情念
11: l'ai-guil-le 針 発音上の音節は l'ai-guille
12: Ver-sail-les ベルサイユ 発音上の音節は Ver-sailles
* ex-cel-len-ce は第1音節のe は子音字x を従えるので
「エ」と読む.第2音節のe も子音字l を従えるので
「エ」と読む.第3音節のe も子音字n を従えるので
「エ」と読むといいたいのですが e のあとに n
という子音が来る場合「エ」を「ア」に変えて読みます.
第4音節のe は子音字がつかないので
「無音」(語末のe は音価ゼロになります)(例外あり)
(その直前にnn と重なっていたらエンヌとなって
「ウ」が復活して鼻母音ではなくしっかりnを発音
させる)
【卒業試験2】
次の単語に含まれる e の音価が「エ」であるものを言い
ましょう.
1:descendit
2:en
3:effet
4:se
5:figure
6:cuvette.
7:encore
8:espoir
9:apprendre
————————————————————————————
【解答】
分綴して読めば次の通り
1:des-cen-dit デサンディ :「エ」、「ア」
2:en アン:「ア」
3:ef-fet エフェ:「エ」、「エ」
4:se ス:「無音」
5:fi-gu-re フィギュール:「無音」
6:cu-vet-te キュヴェット:「エ」、「無音」
7:en-co-re アンコール:「ア」、「無音」
8:es-poir エスポワール:「エ」
9:ap-pren-dre アプランドル 「ア」、「無音」
e が「ア」になる話は一度もしてこなかったのですが
すみませんでした. en は「アン」となります.
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