ロサンゼルスで、着物暮らし

太陽燦燦のロサンゼルス近郊で接する和なあれこれ。
LAに帰って来ました。肌寒い日が続いています。

友人が企画した帯揚

2006年10月19日 | こもの
いしのすけさんやずっと以前にさくら子さんも興味を持っていてくれた帯揚です。
大学時代の友人が呉服卸問屋に就職し、しばらくしてから彼女のセンスで染めて商品化した帯揚は、いろいろな色の組み合わせがあったかと記憶しています。その中から、この色目を選んだのは彼女だったか私だったかよく覚えていませんが、プレゼントしていただき愛用しています。
金茶という色は落ち着いた中にも華やかさがあって、和物ならでは色合いだと私は思います。空気が秋めいてくるとこの帯揚を手に取ることが多いような気がするのは、木の葉の色の移り変わりを意識せずとも心に描いているからでしょうか。
当時二十代の友人が関わったこの帯揚を使うとき、「もっとEちゃんのセンスでたくさん作ってほしいわあ」と言ったらば、「いろいろあってそうもいかへんねん」と話してくれた事情など思い出します。「作らはるほうも大変やねんなあ」と思ったことです。その彼女も退職して、今は京都を離れちょうど結婚一周年の秋です。おめでとう。

バーチャルオフ会のために

2006年10月16日 | あわせ
「京都で、着物暮らし」のakeさま主催オフ会にバーチャルで参加するために取り合わせたのは、結婚を機に母が作ってくれたつけさげ、二十台に初めて自分で買った袋帯。この帯は、西陣織なのに江戸緞子と書いてあって一時頭を悩ませたものです。夫が今月初旬の一時帰国時に運んでくれましたので、早速使ってみました。それに、呉服問屋に勤めていた友人が企画した帯揚、これは金茶が入っていて秋には特に重宝します。帯締はakeさまに連れていただいたゑり善さんの大蔵ざらえで分けていただいたものです。
休日にゆっくり、できればどこかLAらしいところに出かけて・・と考えていたのですが、今週末から夫のポートランド出張についていくこともあり、どうも難しい様子。というわけで、平日の夜に自宅で撮影してもらいました。

久しぶりの袷はK祖母のもの

2006年10月12日 | あわせ
昨秋亡くなったK祖母の着物は、夫が夏に一時帰国したときに運んでくれたものです。濃い緑色と黒のぼかしで、最近晴れがましい色ばかり着ている私には、相当地味な色合いに思えます。LAに着てから色に対する感覚が変わったような気がしてなりません。M伯母からいただいた臙脂地に蘭が染められている名古屋帯、それに鱗柄の薄い緑の帯揚と桜色の帯締を合わせて。
暖かいロサンゼルス、10月に入っても十分単衣で大丈夫なほど日中の気温は上がります。そうはいっても9月の下旬からじわじわと朝夕が冷え込んで、意外と涼しい今日この頃、思い切って袷に袖を通してみました。週末に執り行なわれる祖母の一周忌法要には出席できませんので、私なりの供養ともなったでしょうか。

林真理子さんの『着物の悦び』

2006年10月10日 | ほん
着物好き、特に志ま亀好きで有名な林真理子さんが、着物初心者の頃の失敗談なども披露しながら綴る「七転び八起き」、遅ればせながら読みました。都会で一人暮らしの、着物にあかるくない女性が、自力で切り開いていく着物道にわくわくどきどきします。
着物を着こなすヒントがたくさん散りばめられていて、なるほど~、と何度も目から鱗。着姿の最重要ポイントとなりうる足袋を足にぴったりさせる秘訣は、お風呂に一緒に入ってそっと脱ぎそのまま乾かすとよい、なんて知りませんでした。もちろん、これは林さん御用達の誂え足袋にだけ有効なのかもしれませんので、私の既成足袋でもいつか試してみなくては。その他にも、柄行や色で季節感を表すのはもちろんのこと、綸子は春、ちりめんは秋というように素材で表現することにも触れられていて、改めて日本人の感性の鋭さを思います。柄行の部分の引用は、あかねさんのところでも書かれていた有吉佐和子さんの『乱舞』での七夕の帯合わせで、同じく紹介されていた『真砂屋お峰』とともに今後必読です。
最後の「着物は楽しい、むずかしい」の項は、かつて勤めていたアパレル会社が所属した京都織物商業組合での講演会を基にしたもの。呉服業界のおじさまたちを相手に、林さんが着物の将来を憂えておっしゃった数々、半分胸がすき、残りの半分でどこまで林さんのおっしゃりたいことをおじさまたちが理解されたことか、と思います。ともあれ、講演会での苦言から14年経った現在、気軽に着物の袖を通す人口が増えてきたように見受けられますし、私自身も楽しんで身につけるように変化してきました。何より、現実世界であれネット世界であれ、一緒に着物を楽しんでくださる先達・お友だちの存在がとても大きく、ありがたいことだと思います。
それにしても、ぐいぐいと持論を展開していくさまは、さすが一世を風靡した人らしく、力強いことでした。恥ずかしながらまだ見ぬ林さんのお着物姿、いつか拝見したいものです。
注: 現在市場に出回っている同名のものより以前の1992年発行本で、装丁だけではなく内容も少し違うのかもしれません。