今回の報道の後、JOCも日本体育協会も、そして日本バスケットボール協会もコメントを発表した。一様に「体罰の根絶」をうたうものだが、実は現場の指導者である私たちには直接的に伝わっては来ない。
「一般論」としての話だが、こういった組織は末端への指導や伝達が苦手だ。
事があれば「中央」で決定した方針を文書として発する。末端で遵守されなければペナルティーを科し、下部組織に対してあらためて指導の運びとなる。管理のためのアイテムが下部組織の指導力とペナルティーということだから、最上部組織の管理者は頭が痛いことだろう…。
規則には「ローカル・ルール」というやつがある。本筋を保ちながら、現場の状況に合わせて規則に融通をきかせたものだ。ゴルフ場のローカル・ルールなどではなく、ちょっとした部分の拡大適用で対象の全員に不利にならずに楽しめる条件をつくる。
埼玉県内には「埼玉県ミニバスケットボール連盟」(以下、埼玉ミニ連)があって、上には日本ミニ連やJBA、日体協…と続く。その埼玉県内には埼玉ミニ連に直接的にはつながりを持たないローカルな組織(小グループ)がある。小さな範囲で大会を開いたり、講習会を企画したり、その地域の仲間とは競争相手にもなれば互いの心配もし合う。活動の中にはローカル・ルールが大活躍する。
こういった小グループの多くは罰則を持たずに活動を共にする。組織内の直接的な関係は、さまざまな、そして大いなる可能性を持つと考えられる。
おそらく「埼玉ミニ連」のような大きな組織よりも地域のグループの方が仲間に対して働きかける力は強いだろう。その小グループの中の誰かが声を上げることの重要性を意識することは、規模ではなく、質としての次元の高さを得られることにつながる。
前提として「仲間ありき」で、問題が起きたときには枠の中で解決していかなければならない。複数が集合するからこそ可能な活動に参加できなくなるということで、意見の相違があっても、即「分裂」にはつながりにくい。
罰を科すことなく改善する。小グループを運営する中での鉄則だ。この規模のグループに目が向けられないことは残念な現実で、宝の持ち腐れとはこれを指して言うのかもしれない。
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