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大崎善生「優しい子よ」

2007-05-07 | レビュー
大崎善生「優しい子よ」を読みました。

不治の病と闘う男の子が、尊敬する将棋のプロの女性に手紙を出すところから始まる。
本文から引用すると
「まれに見るほどの優しい心と、光り輝くような勇気に満ちあふれた
茂樹という名の少年」と女流棋士の心の交流がストーリー。

ホントに心の清らかな男の子。
小さいときからの入院生活が彼を大人にさせてしまったのか、
子供とは思えないような心遣いをするのが痛々しい。
そのことについて、筆者はこう言ってます。

「茂樹はこう考えていたのだろうか。
自分のこの痛みを少しでも和らげる方法、
もしそれがあるとすれば
人を思いやることしかない」

これを読んで、「分かるなー」と思いました。

病気と闘う人の胸の内とは比べものにならないけど、
自分が大きな悲しみに遭った時、心に刃が刺さった時、
はじめは「なんでこんなことが?」と運命を呪います。

でも落ち込み尽くした後、人に優しくすることで、その苦しみが癒されると気づきます。

人への思いやりは、こんな偽善的なものではなく
自発的であるべきとは分かってますが
悲しみの底からはい上がるには、人に優しくするのが唯一の方法なのではないかと思うのです。
救われるような気がするからかもしれません。。


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