サンノゼ徒然草

米国はカリフォルニア在住の主婦の覚え書き。子育て、趣味、サンノゼでの暮らしのことなど。

次男クン 2歳 ~息子クンと次男クンの覚書も含めて

2011-06-28 22:51:16 | 育児日記
お陰さまで、2009生まれの次男クンが本日めでたく満2歳になりました。

ここしばらく全然育児記録をつけていなくて(汗)、「あ、これ書いておこう」と思いながら気付くと忘れていて。

次男クン。いつもご機嫌で笑顔がこぼれ、自己主張と意思の強い、顔は私似ですが、肌は色白、髪の毛は明るい栗毛で、性格はアメリカ人的な男の子に育っています。
日本語の方が英語より断トツに達者ですが、数ヶ月前から言葉によるコミュニケーションが取れるまで表現能力が発達しています。

テレビよりも触れるおもちゃ、絵本が好きで、「読んで」と絵本を持ってきます。
そして、何よりも食べることが好き。特に好物のものは、そんな小さい体のどこに?と思うくらい、なくなるまで食べ続け、総量は4歳のお兄ちゃんより多いくらい。

靴を履くのも大好きで、出かけるときは「Shoe Shoe」と行って靴を持ってきます。「くつ」ということもあります。4月の日本滞在時は、出かけると聞くと玄関で長靴を自分で履いて待っていました。

出かけるときは靴を必ず持ってきて準備しますし、出先から「帰りますよ」というとごねることもなく「バイバイ!」と帰る準備をするのも、息子クンにはなかった部分です。

日本語デイケアで覚えたらしい「アンパンマン」が大好きで、「あんぱん」「あんぱん」と言ってアンパンマンのシャツや靴を着たがります。テレビアニメは直ぐ飽きて、あまり面白くないようですけれど。

お兄ちゃんと一緒にテレビを見ますが、ピタゴラスイッチは大好きで、「スイッチ」「スイッチ」と食い入るように見ています。また、ピタゴラ装置と似たようなシステムが作れる積み木のおもちゃが我が家にはあるのですが、それも「スイッチ」と呼んで大好きです。

レゴならぬデュプロも大好き。お兄ちゃんも、「プレゼントなんだろうね、大好きなレゴかな?」と言うくらい。2歳のお誕生日プレゼントはその推理通りデュプロでしたが、開けた瞬間から大興奮、早速遊んでいました。

1歳半くらいから「変身!」と掛け声をかけると、仮面ライダーの変身ポーズを取るようになりました。今では、仮面ライダー1号のみならず、V3のようなポーズもします。
ウルトラマンシリーズの変身ポーズと比べて、仮面ライダーシリーズはよっぽどインパクトがあるんでしょうね。(笑)

車が好きで、車を見ると「Car」を連発していましたが、ここ数日位から「くるま」というようにもなりました。
日本に行き(4月)電車を良く見るようになると、「Train」を興奮して口にするようになりましたが、日本滞在中に「電車ぽっぽ」と呼ぶようになりました。いくら「汽車ぽっぽ」と教えても、自分でそう思ったら断固として変えません。

言葉も早く(特に息子クンと比べると)2歳前後から2語文を話しています。
「バイバイした」が最初の文章。それから、「○○した」とよく言うようになりました。
とにかく、単語を良く話していて、特にこの二日位、新しい表現がどんどん増えてきて驚きです。明日当たり、一度メモを片手に記録してきたいもの。

お兄ちゃんの2歳時代顔負けに、机の上や台所の上、どこにでも登ります。
スツールを動かして乗る、という智恵をどこかで学ぶと共に、冷蔵庫を開けて自分の好きな食べ物をとって食べる、という行為まで始まりました。
そういう面では、今日、息子クン、はじめてスツールを動かして手の届かないところにあるお茶碗を取り、自分でご飯をよそって、「ふりかけ頂戴」と持ってきました。

…母親の至らなさが恥ずかしいです…が、二人とも、お腹がすくと自分で食べるものを探そうとします。絶対食べ損ねることはない人生に思います。

夜更かしをするとその分、起床が遅くなる息子クンと違い、次男クンはどんなに夜更かししても翌日必ず6時半か7時には起きます。
起きると大抵は彼の部屋から私の部屋に忍び込み、私の布団にもぐりこんできますが、しばらくすると台所かおもちゃ部屋に消えて行き、おもちゃで遊ぶか、手の届く範囲にある食べ物を食べます。息子クンのときはよく林檎の芯や人参のヘタが落ちていましたが、彼の場合は、バナナの皮。でなければ、スティックチーズのプラスチックの皮。

息子クンに比べると横着で怖いものなし、やんちゃ度は強く、きゃっきゃっと笑いながら逃げさるのがたまりません。
今日、まさかのまさかで、Valley Fair(屋内の商店街のようなもの)で逃げられました!
一瞬の隙をつかれ、追いつけず、息子クンに「次男クンが逃げた!捉まえて!」と叫び、二人とも見失いました。

どうしようか、と焦り、きっと息子クンが確保してくれただろうから何とかどこかに二人でいるだろう、と期待しつつ、探しまくり。。。でも、見つからない。次男クンが逃げ始めた地点=息子クンたちとはぐれた地点に一度戻ってみたら、二人揃ってそこにいました。

息子クン「ぼく、次男クン捕まえたよ!一緒に待ってたよ!」と自信満々で答える息子クン。

きっと、はぐれた場所に戻れば、私と会えるかも、と思って戻ったのでしょう。
しっかりした長男で本当に救われました。

ここ数ヶ月、息子クンの長男、お兄ちゃんとしての成長振りが著しく、私が居る居ないに関わらず、自分で次男クンの面倒をみないと、という態度を見せているのは驚きです。
普段でも、次男クンがいけないことをしていると注意しています。危ないことをしていると飛んでいって止め、高いところから降りるときは補助に走り、本当に「お兄ちゃん」。

何より、「お兄ちゃん」であることに誇りを感じているようで、そこはまだ4歳の子供、おもちゃの取り合いなどは当然しますが、それ以上に上の子としての姿勢がついているのに驚きます。

ですので、一人で二人の子供を、というよりも、二人で一人の幼児を見ているようなことも少なくありません。特に家の中にいる限りは、息子クンに任せておいても大丈夫、という状況があるので。(といっても過信はいけませんが)

そのおお兄ちゃんは、ウルトラマンメビウスからウルトラマンの大ファンになりましたが、今は仮面ライダーにはまっています。初めてみたライダーはWで、ファングジョーカーとアクセルが大のお気に入りでしたが、今はオーズ(特にガタキリバコンボ)とバースがお気に入り。
日本に居たときに見た40周年映画のお陰で、電王にも目覚め、今、一番欲しいのは電王の変身ベルトのようです。

長くなりましたが、いざ書き始めるとなかなか終らない子供達の覚書。
また近いうちに、書くことを心に近い、今晩はここらで筆をおきたいと思います。

中国・九州地方でも被曝の可能性のある食品検査結果が ~グリーンコープの発表より

2011-06-27 16:08:56 | 東北関東大震災
友人情報です。

中国・九州地方で40万人の組合員を持つ生協「グリーンコープ」、国の暫定基準(世界とどれくらい乖離している数値かはこちらを参照 → http://kingo999.web.fc2.com/kizyun.html)ではなく、独自の基準値で食品検査を実施してきました。

グリーンコープでは、放射性セシウム10ベクレル/kg以下とし、10ベクレル/kg以上の数値が検出された場合は理事会に報告し、取り扱いを検討決定する、としています。

6月16日、 国産牛赤身切り落とし(小分けロール)200g」)で放射性物質セシウム11ベクレルが検出されました。それに伴い、グリーンコープではこの現実に対する姿勢と対応を組合員に報告しています。

http://www.greencoop.or.jp/news/gnn/201106/20110620-1/

そして、上記リンク内にある「グリーンコープ共同体第五期通常総会 特別決議」の文章。
下記に抜粋転載しました。

放射性物質拡散予想図(http://www.witheyesclosed.net/post/4169481471/dwd0329)で、大気や風向きで、ここ各地がその影響かにある図を見てきました。なので、薄々と日本全国に放射性物質が拡散する現実が起こりうることは感じていました。でも、いざ、こういう事態に出くわすと本当に足がすくみます。私達に日本を救うために、日本にいる家族や友人の被害を軽減するために、何ができるんだろう。

この現実に涙が出てきます。「日本の大気と大地と水がこれ以上、とりわけ西日本・九州の大気と水と大地がこれ以上放射性物質で汚染される」ことがないよう、本当に福島原発を何とかして欲しいです。

***

―東日本大震災にともなう東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する特別決議<抜粋>―

 後悔しても間に合わないことですが、放射能に被曝することを覚悟しなければ、食べものを口にできない事態が私たちの目の前に迫りつつあります。この事実を組合員みんなで正確に共有し、その上で渾身の知恵を振り絞りあって、生命(いのち)を守るために助け合っていきましょう。 ─(中略)─ 今から25年前の1986年4月26日、ウクライナ(旧ソ連)のチェルノブイリ原子力発電所4号機がメルトダウン(炉心熔融)した後(のち)に爆発し、広島型原爆500 発分の放射性物質がウクライナを中心に、─(中略)─広く汚染する事故がありました。グリーンコープはその際、「アクション(当該商品の供給の是非を理事会で検討を開始する)レベル」としての自主基準を「10ベクレル」と決定しました。その趣旨は、「10ベクレル」以下であれば安全である、ということではありません。何故なら、放射性物質に「安全な量」などはないからです。

 しかし、環境(大気と大地と水)が放射性物質に汚染されてしまえば、放射性物質に汚染されていない食べものを手に入れることが出来なくなります。─(中略)─ヨーロッパなどは食べずに飢えるか、食べて放射能に被曝するか、という選択肢しか残されていませんでした。しかし当時、日本はウクライナ(旧ソ連)から遠く離れていましたので、努力すれば「10ベクレル」以下の食べものを確保できる見とおしがありました。

 そこで、グリーンコープは「10ベクレル」以下という自主基準を決定し、努力し、この「自主基準」を守りとおすことができました。しかし今回は、東京電力福島第一原子力発電所の─(中略)─原子炉がメルトダウン(炉心熔融)していることが明らかになっています。そして、熔けた核燃料が環境(大気・水・大地)から─(中略)─遮蔽する目途は当面はないことが明らかになっています。したがって、今回は「10ベクレル」という自主基準をグリーンコープは守りとおすことができない、もしくは、守りとおすことがとても困難になっている、という可能性が極めて高いと判断せざるを得ません。何故なら、熔けた核燃料は高濃度の放射性物質を放出し続けているからです。─(中略)─ そして、時間の経過とともに、関西、そして九州に近づいてくるはずです。─(中略)─ 原発事故がこれ以上、日本の大気と水と大地、とりわけ西日本・九州の大気と水と大地を放射性物質で汚染することになれば、自主基準(アクションレベル)としての「10ベクレル」は意味を失い、守れなくなると考えられたからです。

 人間は、それしか食べるものがなければ、食べるほかはありません。汚染の濃度にもよりますが、人間は放射性物質で汚染された食べものを食べても、すぐには死にません。しかし、食べものを口にしなければ、人間は間違いなく飢え、そして死にます。ですから私たちは、日本の大気と大地と水がこれ以上、とりわけ西日本・九州の大気と水と大地がこれ以上放射性物質で汚染されることになれば、「10ベクレル」という自主基準(アクションレベル)は意味を失うことになると考えていました。─(中略)─私たちはしたがって、この事実を組合員みんなで正確にまず共有し、その上で渾身の知恵を振り絞りあって、生命(いのち)を守るために助け合っていくべきであると考えます。グリーンコープ40万人組合員の理解と呼応を心からお願いします。

2011年6月15日
グリーンコープ共同体第五期通常総会

いのちのまつり(大人と子どものためのお話会) with うさとの服展 (7月2日(土)Campbellにて)

2011-06-22 16:36:18 | イベント
友人から素敵なイベントの情報をいただいたので、ご紹介します。(以下抜粋転載)

*******

7月2日(土曜日)、午前10時30分から、サンノゼ Njeri's Morning Glory School and Art Center にて、大人とこどものためのお話し会(トーク)が開催されます。スピーカーは、陶彩画家、絵本作家として幅広くご活躍されている、草場一壽さんです。

http://www.manai.co.jp/kusaba/index.html

ベストセラーとなった「いのちのまつり」シリーズをご存知の方も多いのではないでしょうか。
いのちの大切さ、尊さを伝えたい、という草場さんの熱い想いを直接聞き、感じ、そして、一緒に考えてみませんか。
お子様連れで、ぜひ、ご参加ください。
会費は、大人おひとりにつき、10ドルです。

また、お話し会と同時に、「うさとの服展」も開催されます。
綿、ヘンプ(大麻)、絹など、自然素材を使い、草木で染め、素朴な織機で布を織り、うさぶろうさんによってデザインされた服は、まとうだけで気持ちのよい、優しい服です。京都と横浜にある店舗をはじめ、日本全国各地で展示販売会をされていますが、アメリカではまだまだ入手できる機会は多くありません。今回、サンノゼでの販売会が実現され、密かに喜んでいる隠れファンもたくさんいることと思います。

http://www.usaato.com/top.html

また、もう一つ特別パフォーマンスがあります。
特別ゲストとして、講師・振付家・ダンサーとしてご活躍中の、魂宮時(おやまだ たくじ)さんが来てくださり、素晴らしい踊りを披露してくださいます。

スケジュールとしましては、お話し会(トーク)が1時間、ダンス30分、その後、うさとの服展、となっております(変更する場合がございます。ご了承くださいませ。)。

独立記念日の直前の週末、ご家族皆様で、また、ご友人もお誘いの上、ぜひ、お越し下さいませ。

なお、定員が40名となっておりますので、事前のご予約をお願いいたします。
大人、子供それぞれの参加人数を明記の上、macronokai at gmail.com まで、メールにてお申し込みくださいませ。


「原発事故を心配している人に知っておいてもらいたいこと」

2011-06-03 14:20:09 | 東北関東大震災
原発について勉強を重ねている友人から、メッセージをもらいました。

「政府・地方自治体の認識不足、マスコミの勉強不足のせいで、噂や間違った知識、甘い考えばかりが広まっています。
理解できたら自衛できますが、ただなんとなく怖がっているだけだと、健康は守れません。」

彼女自身がブログを持っていないため、よければメッセージを紹介してほしい、ということで、転載します。

***

「心配はしているけど、情報を自分で集めていない人に、とりあえず知っておいてもらいたいこと」 本多ゆか

(マクロビオティック・クラブ サンタクララ ニュースレターNO.16 (2011年6月1日)に「福島第一原発事故と放射能汚染」のタイトルで掲載)

3月11日の東北地方太平洋沖地震によって福島県双葉郡にある東京電力福島第一原子力発電所の1~3号機の原子炉が緊急停止、地震と津波によって発電所の電力が失われました。

原子力発電所は、ウランまたはウランとプルトニウムを混ぜたもの(3号機で使われていたMOX燃料)を使った核燃料からの熱で水を沸騰させ、水蒸気の力で蒸気タービンを回し電力を作り出します。火力発電所は、石炭や石油、天然ガスを燃やした熱で水蒸気を作り、発電します。どちらも原理は同じです。

ウランは天然に存在する放射能を持つ鉱物です。不安定なウラン原子は、安定しようと核分裂し、熱を発しながら別の元素(核分裂生成物)を作り出します。原子力発電は、ウランが連続して核分裂を起こす時に発せられる大量の熱を利用しています。

原子炉では、核分裂のスピードと発熱量をコントロールするために、水を循環させて核燃料を冷やします。福島第一原発では、停電で冷却水を循環させるポンプが動かなくなったため、核燃料を冷やせなくなりました。連鎖的に核分裂が起こり炉内は高温となり、水は蒸発し、核燃料が溶け、水蒸気が原子炉の圧力を上げ、漏れ出した放射能や水素が建物内に充満しました。そして、3月12日に1号機、14日に3号機の建物が爆発を起こし、15日には4号機も爆発か火災で建物が大破しました。

原子力発電所は、火を燃やさないためCO2が発生しないことから、クリーンエネルギーと呼ぶ人もいます。しかし、ウランが核分裂する時に、放射能を持ったプルトニウム、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどの核分裂生成物ができます。これらの放射性物質は、通常運転でも環境中に漏れ出ていますし、事故が起これば大量に撒き散ります。放射能は生物に有害なので、原発をクリーンと呼ぶのは間違っています。

福島第一原発では、原子炉建屋の中に、核燃料が入っている圧力容器とそれを覆う格納容器と、使用済み核燃料を入れるプールがあります。地震発生時に稼動中だった1~3号機の圧力容器と格納容器は損傷しており、1号機と3号機は爆発で建屋屋根が、2号機も壁の一部が壊れているので、プルトニウムやセシウムなどの放射性物質が漏れています。また、1~4号機の使用済み核燃料プールには核燃料棒が入っており、プールには放射能汚染水が溜まっています。

原子炉を冷やすために放水した大量の水が放射能で汚染され、建物内に溜まって作業の妨げになっているため、一部が海に流されました。格納容器の気圧が上がりすぎると原子炉が爆発するので、気圧を下げるために放射性物質を含んだ空気が排気されました。こうした海中や大気中への放射性物質の排出は、これからも行われるでしょう。

今回の事故では、本来なら原子炉建屋の外に大量に出てくることのない放射性物質が大気中に出てしまい、今も出続けています。

11 日の地震発生から4月上旬までに出た放射性物質は、63京ベクレル(安全委員会試算)と言われており、特に3月15日に各地で異常に高い数値が計測されました。この日、福島原発から北西方向の福島市や飯館村などの市町村は風下に当たったため、20キロ圏より遠いにも関わらず、放射性物質が大量に降りました。2ヶ月以上経った現在でも、この地域の放射能測定値は、県内他の地区より突出して高くなっています。

放射能とは、放射線を出す能力のことです。核燃料の原料であるウラン、ウランが崩壊してできるプルトニウム、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなども放射能を持っています。福島第一原発から飛び散った放射性物質からは、ガンマ線、アルファ線、ベータ線、中性子線という放射線が出ています。放射線を短期間に大量に浴びると死に至る急性障害が起こりますが、今回の事故で急性障害になる危険性があるのは、福島第一原発で作業に当たっている作業員の方々です。一般の市民には、その危険性は少ないです。

放射線が細胞に当たると、細胞内の活性酸素を増やします。放射線が直接DNAを傷つける場合もありますが、増えすぎた活性酸素が DNAやミトコンドリアなど細胞内を傷つける影響の方が大きいようです。生物にはDNAが傷ついてもそれを修復する能力があります。しかし修復できない場合には、DNAが壊れたまま分裂し、その細胞は老化または癌化するか、死んでしまいます。細胞内でエネルギーを作り出したり、有害細胞を排出する役割を果たすミトコンドリアが減れば、体は疲れやすくなるし、免疫力も下がります。

放射線量が多ければ、1つの細胞に何度も当たりますし、当たる細胞も増えます。そうなると、いくらDNAを修復したり、老化・癌化した細胞を減らしても、異常な細胞が増えるスピードが体の回復力より早くなり、体全体に異常細胞が増えていきます。これが放射線が細胞レベルで体に影響を与える仕組みです。特に細胞分裂を繰り返しながら成長している子供たちは、異常細胞の広がるスピードが早いため、放射線を受けた影響が早く体に現れます。

体が受ける放射線量を測る単位がシーベルトで、年間何ミリシーベルト、毎時間何マイクロシーベルトと単位時間当たりで表されます。環境中の放射性物質の量が増えれば、数値も増えます。放射線に晒される時間が長ければ、数値が足されてシーベルト数が増えていきます。放射線源からの距離が遠ければ数値が下がり、近くなると増えます。

実は私達は普段の生活でも、自然に放射線を浴びています。宇宙や大地からの放射線に加え、自然に存在する大気中のラドンや体内のカリウム、核実験で撒き散らされたセシウムなどの放射性物質からも放射線が出ています。その総量は、大地からの線量が違うので場所によって開きがありますが、福島第一原発から放射性物質が飛び散る前の日本の平均は、およそ年間1ミリシーベルトでした。

ところが、今回の原発事故で放射性物質が降ったため、特に関東東北地方で環境中の放射線量が増えました。原発から飛んできた放射性物質は、花粉と同じように振舞います。風に飛ばされ、初めは大気中に漂っていますが、だんだんと降下してきて体や建物、地面に付着します。雨が降ると、雨粒と一緒にまとめてたくさん落ちてきます。大気中の放射線量を測っている東京都のモニタリングポストの数値を見ると、今年の5月末では2008年度の約2倍になっています。爆発があった3月12日~16日や雨が降った3月22日には、どの地域でも測定値が非常に高くなっています。

自然放射線や医療で放射線を浴びる場合、その放射線を出している放射性物質と実際に触れることは滅多にありません。しかし、原発から飛んできた放射性物質は、そこらじゅうに降り積もっているので、直接体に触れてしまいます。雨に濡れれば体に付着します。息を吸えば肺に入ってきます。野菜に落ちれば食べてしまいます。風に吹かれたり雨水に流されて低いところや隅の方に集まります。

土ぼこりと一緒に地面から舞い上がって、また移動して行きます。

放射性物質は目に見えないほど小さく色も匂いもないので、大量に落ちていることや、空気中に漂っていることを、実感できません。

福島第一原発から3月中に飛び散った60京ベクレルという放射性物質を、チョークの粉だと想像してみましょう。普通に黒板を使っている時には、白い粉が多少散っても気になりません。しかし、粉がたくさんついた黒板けしで黒板をはたくと、たくさんのチョークの粉が飛びます。手や洋服につくと白く汚れるし、吸い込めば咳き込みます。床にも積もるし、その上を歩けば上履きの底に付いて教室の他の場所に白い足跡を残します。濡れ雑巾で拭けばすぐにきれいになります。でも、拭かないとそのうち薄れてきます。黒板の下はきれいになったように見えますが、実は教室全体が広く薄く汚れただけです。

その教室に赤ん坊が来てハイハイをしたら、手足や服にチョークが付きます。その手を洗わないで舐めたら、体に入ります。子供たちが黒板の下で跳ねたら、粉がまた舞い上がります。背の高い大人には気にならなくても、、背の低い子どもは吸い込んでしまいます。

体に入った放射性物質から放射線を浴びることを内部被曝と呼びます。チョークの粉と違って、放射性物質が体の中に入ると、その近くの細胞が激しく大量に傷つきます。内部被曝の影響は、放射線を浴びるだけの外部被曝よりも、とても大きいのです。中でも、体からすぐに出て行かない放射性物質は厄介です。放射性ヨウ素は甲状腺に集まります。放射性ストロンチウムは骨に取り込まれます。放射性セシウムは全身に行き渡ります。

たとえば、放射性ヨウ素の場合、甲状腺に留まっている間に、甲状腺の細胞を傷つけるので、甲状腺炎や甲状腺機能低下などの症状が現れ始めます。傷ついた細胞を回復する力が弱かったり、細胞分裂のスピードが早いと、数年後に、癌化した細胞が成長して甲状腺癌を発病したり、機能低下状態が続いて橋本病を発症したりする人も出てきます。

ヨウ素以外の放射性物質も、同じような仕組みで、白血病やその他の癌を引き起こします。また、特定の病気を発症しないけれども、元気がなく体調を崩しやすい状態が続く場合もあります。

チェルノブイリ・エイズやブラブラ病と呼ばれる症状です。

一方で、同じ線量の放射線を浴びても、病気や癌にならない人もいます。

放射線の影響を説明するのに「xxミリシーベルトでは○○人に1人癌になります」という言い方をしますが、これは被曝量が増えれば癌死亡が増えるという事実を元に、広島・長崎のデータから計算した数字で、計算する団体によって数値が異なります。

この確率で被曝の健康への影響を説明するのには、2つ問題があります。1つは、まるで癌以外の健康問題が起こらないように錯覚してしまうことです。もう1つは、大抵の人は、自分は癌になるxx人の中の1人だとは考えないことです。現実には年齢や性別、体型、遺伝、居住地、生活習慣などで癌になるリスクが高い人たちも、確率が低いから大丈夫と思い込んで、リスクを減らす努力をしなくなります。

結局、放射線による健康被害を防ぐには、放射線をできるだけ浴びず、細胞修復力つまり免疫を強くするのが最善となります。いくつかの方法をご紹介します。放射線量が少ない場所を選ぶ。雨に濡れないようにする。放射性物質を吸い込んだり、食べたり、飲んだりしないように気をつける。放射線を浴びない時間を作り細胞の回復を促す。免疫力を高める食事を食べる。ストレスを減らす。化学物質の摂取を控える。十分な睡眠をとる。などが考えられます。