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ジーンズリペア&リメイク工房 hands-on 日記(旧ブログ)

デニムの産地、岡山から発信するジーンズ日記(2010年12月~2016年1月)

リーバイス501XX 1902年モデル オリジナル ビンテージ (JUKEBOXにて撮影)

2013年09月17日 | まめ知識

こんにちはジーンズリペア&リメイクのhands-onです。


今回紹介するのは 501XX 1902年モデルです。

大阪府堺市のJUKEBOXさん で撮影させて頂きました(感謝)

今回は相当長いブログになるので

ゆっくりご覧ください。


こちらです。




















ベルトループがありません、、、

今では当たり前に付けているベルトは

昔々は付けていなかったのですね、、、


1902年、、、

明治35年です。

日本では日露戦争をやっていた頃、、、

今から111年前

だからこのジーンズは111歳ということか、、、






















このモヤモヤした色落ち

凄いですね、、、

恐らく炭鉱で見つかった物だと思います。


リーバイス社が本社の金庫で厳重保管している

伝説の ネバダモデル と似たような色落ちをしています。



この色抜けはどうして起こるのでしょうか?

所有者の角井(カクイ)さんの話によると

当時のデニムはアモスケイグ社という会社から

デニム生地を仕入れていたそうです。


1910年代になると

リーバイスオリジナルのデニムをコーンミルズ社で作るようになり

その品質は格段に上がったようです。

リーバイスデニムの証として生地端に赤糸が織り込まれるようになります。

(これが赤耳の始まりだと思います)

原反を見たときに識別しやすいのもあると思います。


アモスケイグ社のデニム生地は染めが浅く

色が抜けやすかったのは?という推測です。

業界では堅牢度(けんろうど)という言葉を使いますが

この堅牢度が低かったのでしょうね、、、


このモヤモヤした原因は日焼けかな?と私は感じました。

特に 耐光堅牢度が弱かったような気がします。

実際に生地を触らせて頂いたのですが

色が抜けている割には生地自体は弱っている印象がありませんでした。




日本にはJIS規格があり 生地の染めは色んな 堅牢度テストによって品質保証がされているようです。

洗濯にどれだけ耐えうるかの 洗濯堅牢度が一番重要視されているようですね。






ちょっと話がそれてしまったのですが、、、

次はディテールを見ていきましょう。













サビサビになったトップボタン

炭鉱の土が残っているのでしょうか?










フライボタンもサビサビになっています。

こちらも1922年モデルと同じ既製品のようです。













リベットも錆びています。

アンティーク品の雰囲気があって凄いですね、、、











こちらは綺麗な状態でした。

リベットの頭が独特な潰れ方をしています。

当時はリベットをハンマーで叩いて

一つずつ手打ちしていたのがわかると思います。

雑誌の資料でその当時の手打ち機を見た事があります。














サスペンダーボタンです。

フロントのトップボタンと同じ物を使っています。

当時はセンターが凹んだ物が多かったようです。




























シンチバック付近

ウエストベルトに継ぎ目があるのも特徴です。

これも私の勝手な予測ですが、、、

当時、テーラーメイドのパンツだとしたら

穿いていてウエストの調整を後で出来る様に

継ぎ目を入れていたのでは?

もしくは、試着した時にサイズ調整をして

この部分をカットして縮めたのでは?

と思っています。












サビサビのシンチ金具です。

セットすると針が折れそうなので

そのままにしているそうです。

このクラスになると

穿くというよりも見て楽しむものでしょうね。













何と革パッチが残っています。

奇跡です。

100年以上前の革パッチです。

さすがに文字は読み取れません、、、



















左右のバックポケット

ポケット口は1本ステッチですが

ピッチが細かいので解れずに綺麗な状態で残っています。

1922年モデルはここが2本ステッチになっていました。

(ピッチは広くなっていましたね)














ウエストの裏側です。

まだチェーンステッチになっていません。

全てシングルステッチです。














ステッチのピッチが非常に細かいのが特徴です。

専用ミシンが無かったので

強度を保つ為の知恵だと思います。












持ち出し部分

ロック処理無しの

切りっぱなし、、、









比翼部分も

ロック処理無しの

切りっぱなし、、、












小股の裏側です。

同じく切りっぱなし、、、












内股も切りっぱなし、、、




この部分は雑誌等の資料では

見る事が出来なかったので

見れて大変嬉しかったです。


ロック処理がしていないのですが

これ以上解れる様子がありませんでした。

細かいピッチの縫製は非常に強度があったというのが

証明されているような気がします。














アウトシームの縫い合わせです。

やはり曲がっています。

(ビンテージジーンズのお約束かな?)











裾の三つ折りももちろんシングルステッチ

パッカリングは余り出ていません。

耳部分は真っ白です。















最後に hands-on オリジナルジーンズ 2ndモデルと並べてみました。




中々、近い雰囲気は出ていると思っています。

やっぱシンチバックの位置は上げた方がより雰囲気が良さそうな気がします、、、


最近のオーダーでは

ほとんどが、ベルトループ無しでシンチバック位置も上なので

それを求める方が多いのが現実です。




今回 当時の本物をじっくり見させて頂き、

JUKEBOXさん所有 1902年モデルの復刻を作りたい! という気持ちになりました。


そうゆうわけで、多忙な毎日なのですが

このモデルを作ってみたいと思います。

まずは生地探しから始ります。


試作品(サンプル)は2本作って

1本は 大変貴重な資料を見せてくださった

角井さんへ差し上げるつもりです。

(持ち主の評価も気になる所ではあります)


完成予定はまったくの未定ですが

出来上がったら、ブログで報告しますので

お楽しみにお待ちくださいませ。

・ご依頼の流れは以下のページで説明しております。
 ↓ 

 https://hands-on-jeans.com/nagare.html

 

・ビンテージ(アンティーク)ミシンで作った製品も販売しております。
 ↓
https://handsonjeans.thebase.in/

(BASE検索 hands-on-jeans)


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