須磨観光ハウス~花月と猫の物語

1937年(昭和12年)に神戸市迎賓館として誕生した須磨観光ハウス「花月」と猫ちゃんたちを応援するブログです。

昭和12年の須磨観光ハウスメニュー~神戸市公報より

2020-05-09 20:01:54 | 日記
前回ご紹介した神戸市公報、せっかくなので文字起こししてみました(旧字・旧仮名遣い等は改め)。「晝」という字が出てきますが、「昼」の旧字ということを初めて知って驚き。

当時のレストランは「花月」ではなく、「みかど食堂」というようですね。みかど食堂は官営食堂で日本が戦争へ突入したため終了したと聞いています。

料理は洋食中心ですが、親子丼のメニューが浮いてますね、ここだけ空気違います。当時は親子丼はハイカラな食べ物だったのでしょうか?

お酒の種類は今ほど多くないようです。
興味深いメニューは、「ダイヤモンドレモン」という飲物でしょう。これは西宮の地サイダー。今も当時の原料・製法でつくられているとのことですので、「花月」で夏の間、あつかってくれないかなぁ・・・。「ダイヤモンドレモン」はマツコ・デラックスさんが取り上げてくださって有名になったようですね。


タンサン水とソーダ水の違いは何??シュワシュワのノンアルコール飲料は3種類、オレンジジュースとかまだ無い時代なのかなぁ?
座布団は貸し出し料がいるんですね。じゃ、勿体ないから畳にじかに座るのもOK、正座ぐらいで足痺れない人多かったのかなぁ?タイムスリップすると何かと面白いかも。

値段をざっと計算してみると、料理の代金は80年間で2,000倍ぐらいになっているようですね。
文章表現などに古さは感じますが、須磨観光ハウスの役割などは、80年経った今もそのまま引き継がれています。改めて須磨観光ハウス「花月」の伝統を感じさせられる記事ですね。


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新緑に開店する須磨観光ハウス(昭和十二年五月十五日 神戸市公報)

 須磨の浦公園鉢伏山のスロープの中間に海洋美を満喫する観光ハウスは、英国風ハーフチンバーに和式を加味した木造二階建の洋館である。この観光ハウスは絶勝の場所に建てられ四季を通じて観光客に利用されることであろう。いまその内部に付いて述べると階下は食堂であって三十人位はO・K またテレスを加えれば(テレスは食堂を兼ねることが出来る)五十人位は平気である。
 階上は日本間と洋室とあって日本間の大は十五畳、小は六畳各一間、また洋室は十二坪、六坪の各一室である。
 今般観光課に於て、みかど食堂と契約のもとにこの観光ハウスの使用を許可している。
 その大略は次の通りであるが新緑の初夏涼風になぶられつつ伝説並びに須磨の浦曲〔うらわ〕を一望に見て、海洋美を満喫しつつ階下食堂のテラスにて冷い飲物に疲れを憩うのもまた都会人のみのもつ雰囲気ではなかろうか。

   貸室料
日本間、洋室の大間
 一時間 一円
 午前九時より午後三時まで 三円
 午後三時より同十時まで 各六円
 昼夜 各八円
日本間、洋室の小間
 一時間 五十銭
 午前九時より午後三時まで 二円
 午後三時より同十時まで 四円
 昼夜 各五円
日本間全部
 午前九時より午後三時まで 四円五十銭
 午後三時より同十時まで 九円
 昼夜 十二円
洋室全部
 日本間全部に同じ
座蒲団賃貸料
 一枚に付 五銭

   料理飲料
朝定食(料理二皿、パン、紅茶付) 金一円
昼定食(スープ料理二皿、フルーツ、パン、コーヒー付) 金一円二十銭
夕定食(スープ料理二皿、ヤサイ一皿、 フルーツ、パン、コーヒー付) 金一円五十銭
一品料理 一皿 金五十銭
パン、紅茶、コーヒー、ケーキ 各金十銭
観光ランチ 金五十銭
親子丼 金四十銭
御宴会料理は御下命により調進いたします
日本酒(二合瓶) 金五十五銭
ビール(大) 金五十五銭
日本酒(一合瓶) 金二十八銭
ビール(小) 金二十八銭
ダイヤモンドレモン 金三十五銭
タンサン水(小) 金十五銭
ソーダ水(小) 金十五銭
洋酒 時価

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須磨観光ハウス80年を越える歴史~昭和12年か昭和13年かの謎

2020-05-09 16:12:46 | 日記
トップページの紹介文で、須磨観光ハウスは「昭和12年(1937年)に誕生」と書きました。これは当時の神戸市公報によるものです。
官報ですので誕生そのものは正しいのですが、当時の写真を見ると、現在の建物のうち、向かって左半分が完成していません。
ということで「須磨観光ハウス花月」のパンフレットにある「昭和13年(1938年)」は、観光ハウスの完成年だと推定されます。名建築は一日にしてならず・・・つまりどちらも正しいのです。

(花月公式Facebookより。転載承諾済)

私はクラッシックホテルが大好きです。
雰囲気が落ち着いていて、訪れる人をゆったりとした気分や、穏やかで豊かな気持ちにさせてくれます。建物の内外に、様々な人が培った、幾重もの長い時間を感じます。「歴史と時間が積み重なって目に見える場所」それがクラッシックホテルだと思うのです。

須磨観光ハウスの一番好きな場所は、エントランスと、ロビーを左に階段を上がった応接スペースです。調度には素晴らしい作品がさりげなく飾られていて味わい深いです。

今まで泊まったクラッシックホテルは、
・箱根宮ノ下「富士屋ホテル花御殿」(一番好き!ダイニングもステキ)
・日光「金谷ホテル」
・軽井沢「万平ホテル」
・上高地「帝国ホテル」
・横浜「ホテルニューグランド」
・蒲郡「蒲郡クラッシックホテル」
・雲仙「雲仙観光ホテル」  
・奈良「奈良ホテル」(見学だけ)など。

外国で印象的だったは、
・イスタンブール「ぺラパレス ホテル」(改装前)
・モスクワ「ヒルトン モスクワ レニングラードスカヤ」
・サンクトペテルブルグ「ベルモンド グランド ホテル ヨーロッパ」
・バンコク「オリエンタルホテル」(食事とスパと見学だけ)
・ホアヒン「センタラ グランド ビーチリゾート&ヴィラズ ホアヒン 」
・ホーチミン「グランドホテル サイゴン」(1991年もちろん旧館)
・シェムリアップ(アンコール遺跡)
「ラッフルズ グランドホテル アンコール」(同じく1991年で水シャワー)
・シンガポール「ラッフルズホテル」(お茶だけ)

兵庫では、
・塩田温泉「上山旅館」(旅館ですが超お気に入り)

そして、そして、
・須磨「須磨観光ハウス」です。
歴史ある建築物や手の込んだ内装、家具、調度品、見るだけで安らぎます。
(こちらのブログ「近代建築Watch」にも須磨観光ハウスが取り上げられていました。写真が素晴らしいです。)

他に、お勧めのホテルがあればぜひ教えてくださいね。

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猫も歩けば木に登る(2)~ブラックとムカデ

2020-05-07 23:10:29 | 猫の物語

ブラックという若い猫がいます。花月の猫は兄弟姉妹も多く、必然的に「白黒猫」が多いのですが、顔や身体の柄はそれぞれです。
ブラックは顔に黒色がガチャガチャしていて、毛並みもモフモフではなくて、見かけはあまり可愛くありません。また、性格も怖がりで用心深く、他の白黒猫に比べて人に懐こうとしません。
しかし、若おかみとマネちゃんによると、本当は甘えん坊で、かまってもらいたい性格だそうです。この性格の矛盾こそが、ある意味猫の魅力の一つでもあります。

私たちもずっと、何度声をかけても、ブラックにお尻を向けられていたのです。
他の積極的な猫ちゃんたちが、一緒に遊ぼうとして間に入ってくることも多いので、それっきりになってしまうのですが、何回目かの訪問時、猫じゃらしで一緒に遊んでくれて距離が縮まりました。

今回は最初から近寄ってきました。猫は人の顔と性格を結構、覚えていると思います。だからって、いつも愛想が良いわけではありませんが(笑)、今回はちょっと辛いことがあったようです。
先日ムカデに咬まれて前足がグローブのように腫れていたのが、やっと治ったところでした。すでに腫れは引いていましたが、ショックが大きかったのか、ブラックは甘えたい、癒されたいと思ったのかも知れません。


猫を知らない人は、「猫は猫だ」と思う方も多いでしょうか、猫の性格はみんな違うし、時々の気分も変わるんですよね。花月の猫は半分は野性で生きている分、過酷な体験にも遭います。野性を持ちながら共生できるって、ほんと凄い!ことです。

では、前回に続き、野性の呼び声「木登り」をどうぞ!!


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猫も歩けば木に登る(1)~福は内!猫は外!

2020-05-07 23:08:39 | 猫の物語
これは大切なことなんですが、花月の猫ちゃんたちが建物の中に入ることは絶対に許されていません。けじめがきちんとついています。お客様を守り、須磨観光ハウスという文化財を守るマネちゃんの決意の固さが表れています。

ですから、全てのお客様に安心してくつろいでいただけるお宿ですので、猫アレルギー、「料理は食べてみたいけど猫はちょっと苦手・・・」という皆さまも、安心してお越しください。

広いガラス張りのレストランホールからは、御馴染みの猫ちゃんたちが香箱を組んでウトウトしたり、横になって昼寝をしたり、石垣の間をさっと歩くのが見え隠れします。猫を見つけながらお食事やお茶を楽しむ・・・全く楽しいだけの時間です。
えらいもので、猫はな~んにもしないのに、いるだけで家族や夫婦、恋人同士、友達同士の仲を楽しく近づけてくれます。全く知り合いでなかったお客さま同士も、レストランから見える猫の話題で、けっこう盛り上がることがあります。

玄関近くには「春眠暁を覚えず」どころか、春風に誘われて爆睡中の子もいます。猫は絶対に中に入れないけれど、お客様との外でのふれあいは自由です。撫でられても起きないぐらい安心して眠っている子もいたりして・・・微笑ましい限りです。

お昼寝も終わり、そろそろ運動の時間です。猫のお宿~須磨観光ハウス花月では運が良ければ、珍しい猫の木登りが見られます。どうぞご覧ください!!


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花月のお料理(9)~卵豆腐海老すりおろし

2020-05-06 20:32:28 | 花月のお料理
花月で卵豆腐をいただいたことは少なかったと思います。自宅では、スーパーで買った3つセットの卵豆腐を器に出して、添付の小さい袋を切って出汁をかけ、冷たいままいただくことが多いのでは。

今回の逸品は「卵豆腐海老すりおろし」、温かいお料理です。卵豆腐はそのままに温め、そこに、生姜でキリっと整えたあんかけうま味出汁。熱すぎないのがまたいいのです。適温の卵豆腐、温めた黄金色の出汁には、海老のすり身がチラリと赤く色を添えています。出汁、生姜、海老の味付けとくれば、美味しいに決まってます!!

本日の漆器がまた格別です。漆の黒に細い金線を使った柄が舞います。卵豆腐は金色、出汁も金色。出汁の中にチラリと海老の赤が見え隠れする、「黒・金・赤」色合いも豪華に、なんておしゃれな料理でしょう。


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