須磨観光ハウス~花月と猫の物語

1937年(昭和12年)に神戸市迎賓館として誕生した須磨観光ハウス「花月」と猫ちゃんたちを応援するブログです。

クマちゃん家猫になる(10)

2021-08-28 21:16:40 | 猫の物語
他の猫より多く撫でられ、声をかけられ、かまってもらっている実感からか、クマちゃんは日に日に自信をつけていきました。特別に大事にされること、特別に目をかけてもらうこと、自分が一番に愛された経験が動物にとっても、人にとっても、いかに必要かよく分かりました。



自信をつけて更に厚かましくなっているようにも見えましたが、そこはご愛嬌。体毛や目ヤニも改善、体調も好転しているようでした。移動日も5月1日に決定、友人が日曜ごとに花月に会いに来たり、3月末と4月末にノミ・ダニ・シラミ取りの薬を2回滴下したり、少しづつ家に入れる準備を始めました。そうそう、多頭飼いの滴下薬には気をつけてくださいね。嫌われていたクマちゃんを、「あと1ケ月、寂しいよ~」となめてくれるような猫はいませんので、良いか悪いかそこだけは安心できました(笑)。


お花見の時期には須磨観光ハウス花月に日参しましたので、クマちゃんの日々の様子をどうぞご覧ください。

3月29日

4月1日


4月4日

4月9日

4月14日

4月26日



5月1日お別れの日、クマちゃんは花月の皆さまと東エリア室外機の上で記念写真を撮りました。マネちゃんも若女将も名残惜しそうに「寂しくなる」と言ってくださり、その後マネちゃんが車で家まで送ってくださいました。

5月1日お別れの日 4シーン








猫の袋に入れられたクマちゃん、最初は鳴いてジタバタしていましたが、しばらくすると温かかったのか膝の上に収まり、おとなしく座りました。

さあ、これからクマちゃんのニャン生の再出発です!!私達はいただいた名前をそのまま使います。2年も呼ばれた名前を変える気はないと話すと、若女将は「クマちゃんのままなんや・・・」と喜んでくださいました。

幸せになろうね!クマちゃん・・・💛 🐻 💛

クマちゃんのプチ・シンデレラストーリー、「なる・外飼い猫編」10回にお付き合いくださりありがとうございました。続いて「なった・家猫編」で、トイレの存在すら知らなかった外飼い猫クマちゃんが、家猫になっていく様子を観ていただきたいのですが、その前に少し違う記事を書いておきたいと思います。

「クマちゃんシリーズ」の家猫編は少々お待ちくださいませ!クマちゃんを愛してくださる皆さまに感謝です!

クマちゃん家猫になる(9)

2021-08-26 22:08:10 | 猫の物語
2021年5月には家猫になることが決定したクマちゃん、これが最後の1ケ月とは知らないクマちゃんに、私は「花月」での生活を最後まで楽しみ、愛おしんでほしいと思っていました。



3月末には須磨浦公園の桜が満開、「お花見」の季節を迎えました。関西では奈良の「お水取り」が終わったら、冬が終わり、春が来ると言われています。これ本当です!関西人は「お水取りまではガマン」とか「お水取りまでは寒さがぶり返しても仕方ない」と思っています。お水取りも過ぎ、花月猫ちゃん達にとって最も厳しい季節が終わろうとしていました。クマちゃんの体調も少しずつ改善しているようでした。



以前の記事で「モテないクマちゃん」を紹介したんですが、クマちゃん自身はまだオス猫に興味があって、チロやバンのお尻の匂いを嗅いだり、ラビに鼻をつける挨拶をしたり、オス猫の前でお腹ゴロンしてみたり、色々とアピールしてましたが・・・誰にも相手にされませんでした。たった2歳になったばかりのクマちゃんでしたが、もう妊娠することは不可能だったんです。私は分からなくても、オス猫達には分かっていたんですよね。クマちゃんはモテなかったのではなく、既に病気だったんです。



この頃、一度だけ「あれっ?」と変異を感じたことがありました。クマちゃんのお尻から足にかけて、べったりと濡れていたんです。「どこに座ったんだろう?変な場所に入り込んで、水の上でもに座ったのかな?」と思ったことを、それから一月後に思い出すことになります。

こんな「ちょっとした異変」を見逃すか否かが、人間にとっても猫にとっても「健康の分岐点」になるという経験を、皆さんもお持ちだと思います。

うちの父は痔持ちだったため癌による下血を見逃しました。病院に行ったときには既にステージ4でした。人の下半身の病気は自分で気づいて相談しない限り、残念ながら本人にしか分からないものです。
長女猫にはある夏、多量飲水、オシッコの白色化とべったりした質感、食欲低下の症状が出ました。まだ若い7歳になったばかりの子、家族猫で初めての病気を認めたくなくて、夏から病気でない証拠を探しに探してネットサーフィンばかり、その結果10月までの2ケ月も治療開始を延ばしてしまいました。

その後、父は3年7ケ月、長女猫は7年生きてくれたのですが、罪悪感や自分の愚かさを恥じる想いは今も消えません。コロナ巣籠もりで、コロナ以外の病気に関心が薄い昨今、ご自身もご家族さまも愛猫さん達も、日々の健康管理に気をつけてくださいね。

ここから脱線。

私は35歳からずっと人間ドッグを受けている健康オタクなのですが、さすがに昨年は受診を控えました。お尻がムズムズして、今年夏に松川医院で生活習慣病検査を受けました。松川先生は漢方治療の枠に留まらず、西洋医学の見地からも、身体、メンタル、その他、全てを総合的に診てくださる「スーパーホームドクター」です!

加えて歯の治療と予防をお忘れなく。なんでも美味しく食べられるのも、23歳からずっと定期健診を受け、信頼する歯科衛生士さんから厳しいチェックとアドバイスを受けてきたおかげです。ホームドクターと定期健診、ホント大事です!!

そんな健康オタクの私でさえ、希望的観測をもって病気を見逃してしまうのです。猫のお世話は自分の鏡・・・クマちゃんの異変を見逃したミスは、その後、猫の主治医「動物病院のスーパーホームドクター」が解決してくださいましたが、いつもラッキーとは限らない・・・愛するものの管理、お互いに頑張りましょうね。でもね、自分の管理も怠らずに、自分自身も大切に・・・ねっ。

頑張りすぎないけれども、手を抜かない。そして決めつけず、いつも柔軟に心身の変化を受け止める・・・「普通に、いつも通りに暮らすことは、とっても有り難い」んだと実感するこの頃です。



クマちゃん家猫になる(8)

2021-08-25 20:12:19 | 猫の物語
クマちゃんの状態が悪いのを目の当たりに、私は二ヶ月間悩みに悩み、隣に住んでいる長年の友人に相談しました。

どうしよう。。今は飼い主にはなれない。。。けど、このまま放ってはおけない。。。。。クマちゃんは他の誰よりも身体が悪いのです。毛並みはバサバサ、子供の頃から絶えず出ている黄色い目ヤニ、くしゃみをすると飛び出る鼻汁、酷い猫風邪、2キロほどしかない小さく痩せた身体・・・その他、全ての悪条件が揃っていて、このままの外飼いは絶対によくないと分かっています。そして、絶対に見殺しにはしたくなかったのです。



友人は「そんな猫ほど飼いたい」と、喜んで引き受けてくれることになりました。3月中旬に里親話がまとまり、年度末年度初め、仕事の繁忙期が終わったら引き取るという約束をしました。マネちゃんご夫妻には事後承諾になりますが、「これ以上外に置いたら危険だ」と私の予感が告げていました。

もし友人が引きとってくれなかったとしたら・・・それでも私はクマちゃんを連れて帰ったと思います。ま、私が主で、友人が従になっただけで、隣同士、結果は今とそんなに変わらなかったでしょうけど(笑)。

クマちゃんを連れて帰ると打ち明けた時、料理長は一瞬絶句しましたが「見てられないということですね・・・クマちゃんのためには家猫になった方がいいと思います」と承諾してくださいました。料理長は寂しかったかもしれませんが、クマちゃんの幸せを最優先に、私の決断を支持してくださいました。マネちゃんも「明るいクマちゃんがいなくなったら寂しくなるけど・・・」と言いながらOKをくれました。その後の体調変化を考えると、ギリギリの全くの正しい決断でした。



クマちゃんをいただいて帰る日、マネちゃんから「クマちゃんはよく喋るし、愛想がいいので退屈しませんよ!」とはなむけの言葉をいただきました。誰もが本当にそう思っていました。しかし、5月1日に家猫になったとたん、クマちゃんはほとんど鳴かなくなりました。少なくとも3ケ月は鳴きませんでした。

4ケ月目に入り、ご飯を食べる量も安定してきて、大量食い、一気食いがなくなりました。クマちゃんはパテが大好き・・・これはたぶん一生続くマネちゃん効果ですね。花月では毎日カリカリにパテを混ぜてもらってたんです。少し声を出して鳴き始めましたが、何故かご飯のことでは鳴かないんです。

毎日、台所まで迎えに来て、ご飯の用意ができたら自分の部屋に一緒に走って帰ります。用意しながら名前を呼べば答えますが、「ほしい、食べたい~」と鳴くことはほとんどありません。可愛い声で鳴くのは、人が帰ってきた時、かまってほしい時、おしっこウンチをしたから片づけての合図?等です。いまだに玄関まで来ることは出来ませんので、ドアの開く音を聞きつけたら、自室で「エッ!、エッ!!」と鳴いています。なかなか可愛いですよ!

クマちゃんの鳴き声・・・可愛い声、高くて透き通る声は花月時代と同じですが、今では喜んでいる時も、甘える時も、小さく「エッ」と鳴くだけです。この変化は・・・「もう愛想を振りまいて、ご機嫌をとる必要がなくなった」からなんだと思います。手を抜いているのか(笑)声を出さない「エアー鳴き」もよく聞くようになりました。

野良猫、大人の成猫は鳴かないと言われています。気をひくための無理をしない、そんな必要がなくなった・・・この変化こそ、クマちゃんが猫らしく元気になった証なのかもしれません。



クマちゃん家猫になる(7)

2021-08-24 22:49:06 | 猫の物語
花月猫には黒猫が多いです。時には胸の前や足がちょっとだけ白かったりします。真っ黒猫はクマ母のジジとビビの子クロ、クマちゃんにはちょっとだけ茶が入っているように見えましたが毛が傷んでいただけ、本当のクマちゃんの毛質は真っ黒、そして少しだけ長毛です。顔は小さく鼻が短いので、目が大きく見えます。東の番頭さんクマちゃんの目を、料理長は「黄色いドングリまなこ」と呼び、可愛いとがって贔屓にしてくれたのはとても幸運なことでした。

人には戦略的?にアピールして可愛がってもらっていましたが、他の猫ちゃん達には嫌われていました。そりゃそうでしょう、近づけば頭グリグリでご飯を横取りする、身体がくっつけばシラミがうつる。。。

動物や魚を飼ったことのある方なら経験がおありでしょうが、動物や魚の危機管理はシビアです。病気の個体にはあまり近づきません。そして死んでしまったら、数分前まで近くで心配したり励ましたりしていても、冷めたようにそっぽを向いてしまいます。死んだ人の側にずっと座っていた犬の話は聞きますが、側ではなく近くなんだと思います。人間だけが「過去の思い出」を慈しみ、往ってしまった命の証を抱きかかえ、涙を流すことができるのです。

2021年冬、花月での仕事もコロナ禍・緊急事態宣言のあおりを受けました。冬の寒さを見かねた料理長は東エリア階段下や倉庫壁面を利用して、猫小屋とキャットウォークを作ってくれました。最も劣悪だった東エリアの居住区問題は一気に解消されました。手先の器用な料理長には感謝では足りません。猫ちゃん達も喜んでいました。



しかし、相変わらずのクマちゃんはあまり誰にも相手されません。猫小屋に入って皆と猫玉になり暖をとりながら眠ることも叶わぬ夢、いつも一匹でキャットウォーク最下部に置いてもらった小さな段ボール箱に入り、震えながら寝ていたのです。一度だけですが、クマちゃんを猫小屋に無理やり入れると、みんなの困った顔から「エッー」という戸惑いの声が聞こえました(笑)。クマちゃんも居心地が悪かったのか、すぐに出てきました。



勝手な希望ですけど・・次の冬にむけて西エリアの猫小屋を整備していただけたらなぁと思っています。もちろん南エリアもできたらいいなぁ・・・(笑)


 廃材、剪定後の桜、あるものを使ってこんなにステキなキャットタワーを作ってくださいました!・・・ありがとう料理長💛byみなさんず

2021年初夏、梅雨の時期からまたムカデが出始めました。ここでは例年のことです。去年はブラック、今年はコハルが刺され手や顔が腫れあがりました。
盛夏の長雨が上がったらそろそろ秋の気配がやってきそうです。たくさん食べて日光浴して、蚊、毒虫、ダニ、ノミ、シラミ・・・そして来るべき冬の寒さに勝てる免疫力を、みんなにつけてほしいものです。

クマちゃん家猫になる(6)

2021-08-23 16:05:27 | 猫の物語
猫は無臭だと言われていますが、花月猫ちゃん達の中には、お花のような、石けんのような、陽だまりや干し草や木の葉のような、時には香水のようないい香りがする子がたくさんいます。不思議ですが本当なんですよ!!



しかし、当時のクマちゃんからは、甘酸っぱい熟れたような匂いがしていて、「来たらすぐに分かる。臭い、臭い、遠くからでもゴミの匂いがする」と度々言われていました。外向きには一生懸命に愛嬌を振りまき、元気そうに見えたので、身体の内部にある病変には、なかなか気づいてもらえなかったのです。



衛生上の観点からも一度も抱っこしてもらったことはなかったと思います。花月での冬、たった一度でしたが、私は膝の上に抱きあげたことがあります。最初は「何、なにっ?、これ!???」と戸惑い驚いていましたが、温かくて気持ちよかったのでしょう、うっとりして丸くなりました。丸い身体のなんと小さかったこと・・・お世話が山積していて、短い時間の抱っこでしたが、思いだすと今でも切なくなります。



本格的な冬を迎え、ようやくクマちゃんの異変に気がついた私は悩み始めました。(1)に書いた理由で、自分の家に迎え入れることに躊躇いがあったからです。猫を迎えることとは・・・猫は家族、10年~20年に渡り、保護者として責任を持って体調や生活を管理し、幸せを約束することです。無責任な決断は出来ませんでした。

私のできること・・・当時はクマちゃんの体調不良の理由は全く分からないままでしたが、「できるだけたくさん食べさせること」、「肌や毛質をよくするためにダニ・ノミ・シラミ落としのブラッシングを念入りにすること」、「できるだけ暖かい場所で寝かせること」、この三つを心がけようと決めたんです。