須磨観光ハウス~花月と猫の物語

1937年(昭和12年)に神戸市迎賓館として誕生した須磨観光ハウス「花月」と猫ちゃんたちを応援するブログです。

「花月」70年を越える歴史~昭和22年(1947年)から令和2年(2020年)に渡る三代

2020-05-09 22:22:44 | 日記
戦争を経て、昭和22年にマネちゃんのお祖父さま・一代目は創業者として「須磨観光ハウス花月」の経営に漕ぎ出しました。終戦後わずか2年のことです。

今では当たり前に感じる官民一体型の経営事業ですが、当時ではかなり珍しい気がします。須磨観光ハウスという神戸市の建物を借りるかたちで、マネちゃん一族は70年以上、事業を展開しながら歴史的文化財を保護し、見守ってきました。その過程に以前紹介した創業者の架橋などの土木工事もあって、一族は地域のインフラ整備にも貢献しているんです。

お話によるとマネちゃんは子供の頃、近くの沢で魚を飼い、海まで降りて釣りをする行動範囲のかなり広いワイルドな子供だったようで、「じゃ、今の花月猫ちゃんたちと生活範囲や行動範囲がけっこう重なるな」と思ったことがあります。現代っ子ではとても真似できない生活や遊びをしていたマネちゃんのエネルギッシュな明るさは、その頃からのものなんでしょう。

昔の花月レストランにはバルコニーがあり、「月光仮面」や「月形半平太」もかな?撮影に訪れることもしばしばだったとか・・・古き良き時代ですね。

近くに「南洋植物園」や「藤田ガーデン」など、言葉の響きだけでも美しい名所があり、須磨浦はかなり情緒ある場所だったようです。ステキ・・・。


==============================
【公式】神戸須磨の会席料理ランチ・ディナー │ 味と宿 花月
ホームページhttps://www.suma-kagetsu.com
Facebookhttps://www.facebook.com/suma.kagetsu.sakura

昭和12年の須磨観光ハウスメニュー~神戸市公報より

2020-05-09 20:01:54 | 日記
前回ご紹介した神戸市公報、せっかくなので文字起こししてみました(旧字・旧仮名遣い等は改め)。「晝」という字が出てきますが、「昼」の旧字ということを初めて知って驚き。

当時のレストランは「花月」ではなく、「みかど食堂」というようですね。みかど食堂は官営食堂で日本が戦争へ突入したため終了したと聞いています。

料理は洋食中心ですが、親子丼のメニューが浮いてますね、ここだけ空気違います。当時は親子丼はハイカラな食べ物だったのでしょうか?

お酒の種類は今ほど多くないようです。
興味深いメニューは、「ダイヤモンドレモン」という飲物でしょう。これは西宮の地サイダー。今も当時の原料・製法でつくられているとのことですので、「花月」で夏の間、あつかってくれないかなぁ・・・。「ダイヤモンドレモン」はマツコ・デラックスさんが取り上げてくださって有名になったようですね。


タンサン水とソーダ水の違いは何??シュワシュワのノンアルコール飲料は3種類、オレンジジュースとかまだ無い時代なのかなぁ?
座布団は貸し出し料がいるんですね。じゃ、勿体ないから畳にじかに座るのもOK、正座ぐらいで足痺れない人多かったのかなぁ?タイムスリップすると何かと面白いかも。

値段をざっと計算してみると、料理の代金は80年間で2,000倍ぐらいになっているようですね。
文章表現などに古さは感じますが、須磨観光ハウスの役割などは、80年経った今もそのまま引き継がれています。改めて須磨観光ハウス「花月」の伝統を感じさせられる記事ですね。


======================================
新緑に開店する須磨観光ハウス(昭和十二年五月十五日 神戸市公報)

 須磨の浦公園鉢伏山のスロープの中間に海洋美を満喫する観光ハウスは、英国風ハーフチンバーに和式を加味した木造二階建の洋館である。この観光ハウスは絶勝の場所に建てられ四季を通じて観光客に利用されることであろう。いまその内部に付いて述べると階下は食堂であって三十人位はO・K またテレスを加えれば(テレスは食堂を兼ねることが出来る)五十人位は平気である。
 階上は日本間と洋室とあって日本間の大は十五畳、小は六畳各一間、また洋室は十二坪、六坪の各一室である。
 今般観光課に於て、みかど食堂と契約のもとにこの観光ハウスの使用を許可している。
 その大略は次の通りであるが新緑の初夏涼風になぶられつつ伝説並びに須磨の浦曲〔うらわ〕を一望に見て、海洋美を満喫しつつ階下食堂のテラスにて冷い飲物に疲れを憩うのもまた都会人のみのもつ雰囲気ではなかろうか。

   貸室料
日本間、洋室の大間
 一時間 一円
 午前九時より午後三時まで 三円
 午後三時より同十時まで 各六円
 昼夜 各八円
日本間、洋室の小間
 一時間 五十銭
 午前九時より午後三時まで 二円
 午後三時より同十時まで 四円
 昼夜 各五円
日本間全部
 午前九時より午後三時まで 四円五十銭
 午後三時より同十時まで 九円
 昼夜 十二円
洋室全部
 日本間全部に同じ
座蒲団賃貸料
 一枚に付 五銭

   料理飲料
朝定食(料理二皿、パン、紅茶付) 金一円
昼定食(スープ料理二皿、フルーツ、パン、コーヒー付) 金一円二十銭
夕定食(スープ料理二皿、ヤサイ一皿、 フルーツ、パン、コーヒー付) 金一円五十銭
一品料理 一皿 金五十銭
パン、紅茶、コーヒー、ケーキ 各金十銭
観光ランチ 金五十銭
親子丼 金四十銭
御宴会料理は御下命により調進いたします
日本酒(二合瓶) 金五十五銭
ビール(大) 金五十五銭
日本酒(一合瓶) 金二十八銭
ビール(小) 金二十八銭
ダイヤモンドレモン 金三十五銭
タンサン水(小) 金十五銭
ソーダ水(小) 金十五銭
洋酒 時価

==============================
【公式】神戸須磨の会席料理ランチ・ディナー │ 味と宿 花月
ホームページhttps://www.suma-kagetsu.com
Facebookhttps://www.facebook.com/suma.kagetsu.sakura

須磨観光ハウス80年を越える歴史~昭和12年か昭和13年かの謎

2020-05-09 16:12:46 | 日記
トップページの紹介文で、須磨観光ハウスは「昭和12年(1937年)に誕生」と書きました。これは当時の神戸市公報によるものです。
官報ですので誕生そのものは正しいのですが、当時の写真を見ると、現在の建物のうち、向かって左半分が完成していません。
ということで「須磨観光ハウス花月」のパンフレットにある「昭和13年(1938年)」は、観光ハウスの完成年だと推定されます。名建築は一日にしてならず・・・つまりどちらも正しいのです。

(花月公式Facebookより。転載承諾済)

私はクラッシックホテルが大好きです。
雰囲気が落ち着いていて、訪れる人をゆったりとした気分や、穏やかで豊かな気持ちにさせてくれます。建物の内外に、様々な人が培った、幾重もの長い時間を感じます。「歴史と時間が積み重なって目に見える場所」それがクラッシックホテルだと思うのです。

須磨観光ハウスの一番好きな場所は、エントランスと、ロビーを左に階段を上がった応接スペースです。調度には素晴らしい作品がさりげなく飾られていて味わい深いです。

今まで泊まったクラッシックホテルは、
・箱根宮ノ下「富士屋ホテル花御殿」(一番好き!ダイニングもステキ)
・日光「金谷ホテル」
・軽井沢「万平ホテル」
・上高地「帝国ホテル」
・横浜「ホテルニューグランド」
・蒲郡「蒲郡クラッシックホテル」
・雲仙「雲仙観光ホテル」  
・奈良「奈良ホテル」(見学だけ)など。

外国で印象的だったは、
・イスタンブール「ぺラパレス ホテル」(改装前)
・モスクワ「ヒルトン モスクワ レニングラードスカヤ」
・サンクトペテルブルグ「ベルモンド グランド ホテル ヨーロッパ」
・バンコク「オリエンタルホテル」(食事とスパと見学だけ)
・ホアヒン「センタラ グランド ビーチリゾート&ヴィラズ ホアヒン 」
・ホーチミン「グランドホテル サイゴン」(1991年もちろん旧館)
・シェムリアップ(アンコール遺跡)
「ラッフルズ グランドホテル アンコール」(同じく1991年で水シャワー)
・シンガポール「ラッフルズホテル」(お茶だけ)

兵庫では、
・塩田温泉「上山旅館」(旅館ですが超お気に入り)

そして、そして、
・須磨「須磨観光ハウス」です。
歴史ある建築物や手の込んだ内装、家具、調度品、見るだけで安らぎます。
(こちらのブログ「近代建築Watch」にも須磨観光ハウスが取り上げられていました。写真が素晴らしいです。)

他に、お勧めのホテルがあればぜひ教えてくださいね。

==============================
【公式】神戸須磨の会席料理ランチ・ディナー │ 味と宿 花月
ホームページhttps://www.suma-kagetsu.com
Facebookhttps://www.facebook.com/suma.kagetsu.sakura