「niche à chien」=ニーシャシャン=フランス語で犬小屋。入居費用やら食費やら一切不要。そんな名前のホームに入るたった一つの条件は「パートナーと暮らす」事。そのパートナーは人ではなく訳あってやって来た犬たち。そして招かれてくる人々=主に老人たちも訳ありばかり。住人&住犬たちはそれぞれの人生と犬生?を抱えて乗り越えて、新たな生活を見出していく・・・って感じのお話ですかね。連作短編。
人視点で描かれる物語と、犬視点で描かれる物語が違和感なく並んでます。それまでの酷い生活から救われるのはお互いの愛・・・とか書いちゃうとやけに陳腐だな・・・まあ分かり易くいい話なんですけどね、それをきっちり沁みさせて悲惨に終わらせない手腕は流石です。悲壮もあるけど、主に楽しいです。全話沁みますが、メインストーリーと関係ないちょっとしたところでいえば(その前の話の発展回収ではあるけど)、アキラママと教授の対峙シーン~チェスのくだりとか凄く好きだな・・・横須賀と殺し屋(犬)の対面シーンの殺し屋の心情の動き方とかも秀逸。
非常に面白かったです。