滝のように、降り続けた雨も
終わりが見えてきたかな。
事務所内は、バタバタ。
「なかなか会いに行けなくて、ごめんね。」
久しぶりに見た、厚い雲の切れ目には、
天使の羽のような、雲がひとつ。
ようやく、見えた夕焼けに、
羽は輝いて。
ひととき、眺めていた。
この羽があったら、あなたは、何処へ飛んでいきたい?
飛んでいった先で、どうしたい?
わたしは……。
車に戻った時に、流れていた曲。
聴いたら、絶対泣くよ? って、言われた曲。
聴くたびに浮かぶ風景が、おんなじだった曲。
♪
…
手を振って遠ざかってく君の口が
模った「またね…またね、またね」
記憶で響いて離れない
淋しくて泣いているよ あの時のままの君が
ただ会いたい 会いたい 君に会いたい
あの日に戻りたい
かけ足で過ぎ去る季節を 仕方なく追いかけてくように
別々に伸びていくその道を 僕ら歩いている
…
思い出を消し去る事などできるはずないのに
遠くなるよ その手 君との幸せ
追いかけるほど見えなくなる
嬉しくて笑っていた あの時のままの二人に
今会いたい 君に会いたい 会いたい
あの日に戻れない
あの日に戻りたい
♪
誰もいない台所/高橋優
あの日に戻れないことが、悲しいのではなくて
今、此処で、笑いつづける勇気が少し欠けたことが、悲しい。
わたしが笑っていることで、
あなたが笑ってくれるなら、
わたし、ずっと、ずっと笑っているよ。
だけど…。
ほんの少しの、雲の切れ間に
沈みゆく夕日。
線路に沿って、あの光に向かったなら、
あの、光り輝く場所に、たどり着けるのだろうか。
あの、光り輝く場所に、もし、たどり着いたのなら、
その先は、どんな景色が広がるのだろうか。
先ばかり見ていて、
「此処にあるシアワセ」を見落とさないように。
今、あの光で足元が見えるうちに、
此処を見つめるのも、いいのかもしれない。
なんて、この夕日も見ている間に
厚い雲に覆われた。
あの、空の羽もなくなっていた。
誰か、あの羽を使ったのかな?
あの羽を使って、何処へ行ったのかな?
*
今日、梅雨明けしたんだってね。
いよいよ、本格的な夏がくる。
どうか、カラダを大切に。
短くて、長い夏。
どうか、無事に乗り越えられますように。