海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)が、コンピューター上でオーロラを再現することに世界で初めて成功した。
世界最高レベルの性能を持つスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を使い、新たな手法で膨大な数値計算を処理した。
災害予測などにも応用できるという。
オーロラは太陽から飛んでくる電気を帯びた粒子が、北極や南極上空の大気と衝突して発光する現象。
飛来する電子を地球の磁力線がとらえる10万キロ単位の計算と、粒子が大気と衝突する様子を再現する数センチ単位の計算が必要。
新たな手法は「連結階層シミュレータ」と呼ばれる。
コンピューターを、大きな単位の計算を担当する「マクロ層」と、小さな単位の計算を担当する「ミクロ層」に分け、相互の情報をやりとりする装置で結ぶ。
具体的には、太陽からの粒子が加速して大気中の酸素分子や窒素分子に衝突する過程を忠実に計算、緑や赤の発光色の違いを再現した。
同機構地球シミュレータセンターの佐藤哲也センター長は「従来の方法では、オーロラ再現の計算には何十年もかかるが、今回は1時間でできた。地球環境のシミュレーションでは、精度を現在の1億倍に上げることも可能なので、気象や災害などの予測で、より現実に近いシミュレーションができるようになる」と話す。
(毎日新聞 記事参考)