
源氏物語千年紀展
場所 京都文化博物館
期間 平成20年4月26日~6月8日
瀬戸内寂聴さんの講演会やNHK公開セミナーでの
【源氏物語の絵画】の聴講によつて招待券3枚を取得
したのでゴルフ仲間を誘って見に行ってきました。
国宝や重要文化財、重要美術品40点を含む計160点
が展示されていました。
源氏物語の文章と絵を貼ったアルバムである画帖や
各巻ごとに名場面を絵にしたもの、源氏物語の写本、
源氏物語のスポンサーである藤原道長の栄光に満ちた
人生を綴った国宝【栄花物語】、紫式部日記絵巻など
また外国語に訳された書籍も多数展示されていました。
館内は太陽が当たって絵画を変色させないため暗く
スポット照明がされていたため大勢の人が鑑賞され
ていましたが、2時間以上時間が掛かりました。
出口近くで看板の前で写真を撮ることもダメでした。
源氏物語は宮中で評判を取り、盛んに書写されたが、
平安時代に書かれた本文は、国宝【源氏物語絵巻】
にしか残っていない。現在の我々が目にする源氏物語
の多くは、藤原定家の写しを基にした【青表紙本】の
系統で、昭和初期に見つかった【大島本】が底辺に
使われている。
日経新聞に千年紀展に因んで【王朝の誘惑】という
コラムが1週間掲載されていました。著名人が【私の
一点】として選んでいました。抜粋しました。
作家田辺聖子さんが選んだ一点
【源氏物語図屏風 若菜上】
御簾のかげにいた女人の姿が現れる。若く美しい
女三の宮。蹴鞠に興じていた青年貴公子たち。
庭から見上げる青年は、柏木の衛門督(エモンノスケ)。
この画面はあまりにも美しいので、まさに迫る人生
暗渠(アンキョ)の示唆がひとしお、まがまがしい。

京都造形芸術大学名誉学長芳賀徹氏の一点
【源氏物語図屏風 須磨】
濃紺の夜空に昇った仲秋の月は、金の砂子の雲
を照らしてまばゆいばかりに明るい。その雲の間
を雁の群れが啼きながら高く飛んで行く。光源氏
26歳の年の春だつた。源氏は【こよいは十五夜
なりけり】と気ずく。遠い都でそれぞれに、この月
を仰いでいる紫の上をはじめ幾人もの恋しい女宮
たちのことを思い出す。

女優大地真央さんの一点
【紫式部像】
大阪松竹座での公演【紫式部ものがたり】で
紫式部と劇中劇の光源氏の二役を演ずる私は
紫式部にちなんだ紫の花々を携えて、京都市
にある【紫式部墓所】を訪ねて、公演の成功を
祈願しました。

私の選んだ2点
【源氏物語図屏風】
光源氏が少女時代の紫の上を垣間見る場面。
病気治療のため北山の高僧を訪れた若き源氏が
女たちがいる僧坊に興味を抱き、腹心の部下で
ある惟光とともに覗き込むと、一人の美しい少女
が走り出て、【雀の子を、犬君が逃がしちゃった】
と訴える。源氏はその少女に心惹かれる。
源氏が少女時代の紫の上を垣間見る場面です。

【車争い図屏風】
光源氏の正妻・葵の上と恋人・六条御息所の
不幸な確執をドラマチックに描く。
車争いは六条御息所を怨霊と化かし、ついには
葵の上を死に至らしめます。御息所は苦しい恋
の果てに源氏との仲をあきらめ、斎宮に選ばれた
娘の伊勢下向に同行することを決意した。

画帖(がじょう)
色紙大の絵を貼った、いわばアルバムです。
絵だけでなくて文章の一節を抜粋した詞書
(ことばがき)もともなつています。展示では
毎日1ページめくられているとか。詞書は
和歌が大きな位置を占めています。
室町時代から江戸時代前期まで数多く制作
されたとのこと。


感想
瀬戸内寂聴さんの訳10巻を昨年12月から読み始め
て、まだ8巻の終盤です。当初、源氏物語千年紀に
今年に当たるということは、知りませんでした。
最初、近くの神戸学院大学の図書館で1枚の源氏
物語の絵画を見に行ったのが始まりでした。
ここで千年紀にあたり、京都博物館の開館20
周年記念特別展として源氏物語千年紀展の開催
を知り、今回出会えました。
絵画は背景の金箔、女人の十二単の赤色や緑
色の鮮やかさには驚きました。絵画の構図の大半
は、上部から見るという形式が採られていました。
源氏物語は長年読まれ描かれ愛されてきた、世界
に誇れる素晴らしい文化遺産であると実感しました。