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はじめての哲学

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抜粋  岩井克人「デジタル通貨の行方」 2018.1.18朝日新聞朝刊

2018年01月19日 | 読書

 デジタル通貨にとって課題であった偽造や二重払いの防止を、ブロックチェーンと呼ばれる革新的な技術でクリアしており、機能的には貨幣に求められるものをすべて備えています。しかも、紙幣や硬貨より送金コストが低く、預金の管理費用も低くなった。それでも私は、貨幣価値の安定には中央銀行のような公的な存在が必要であり、中央銀行を不要とすることを目的としたビットコインは、万一貨幣になっても長期的には滅びると考えています。


 だからこそ、有事に経済を制御する中央銀行のような公共機関が絶対に必要なのです。しかし、そもそもビットコインの基本思想は自由放任主義で、だからこそ個人の匿名性を保護できるネット上での分散管理技術(ブロックチェーン)を導入したのです。


 『中央』を排除するために生まれたビットコインは、まさに『中央』を持たないがために、仮に貨幣として流通したとしても必ず滅びます。もちろん貨幣になる前に滅びる可能性がはるかに高いですが。私はビットコインの設計者としてのナカモトサトシは尊敬していますが、残念ながら貨幣の本質を十分に理解していなかった。


 その緊急事態の中で新たな基軸通貨が生まれるとしたら、世界銀行的な『中央』によって管理されるデジタル通貨である可能性が高い。紙幣を新たに刷る時間がないからです。だから、ビットコインの技術を生かしつつ自由放任主義的な思想は補正して、より効率的に『中央』が管理するデジタル通貨の研究は、次の時代の予行演習になっていると思います。


 そのためには例えば複数の機関が役割分担して分権的な形をとりつつ、かつ全体の供給量は調節する、そんな匿名性と安定性を両立できる仕組みが望ましい。


 貨幣を使う経済は本質的に不安定で、安定性のために公共機関を絶対に必要とします。




*平成三十年一月十九日抜粋終了。