日々の音楽と学習

ライブやCDの感想と医学関係の話題。

車椅子と病院

2005-07-31 10:48:45 | 医学
車椅子シーティングについての勉強会に参加。

私がいる病院は建物も古く、それと同じ位車椅子も古い。
急性期病院であるため、車椅子も生活のツールと言うよりは、例えばレントゲンを撮りにいく等の移動手段としての位置付けが強い。看護師/看護助手の認識もそんな感じだろう。一人一人分の車椅子はなく、基本的に共用。小さなおばあちゃんも、大きい高校生も。問題点として認識があまりされていない。靴の大きさがあわないのと似たことなのに気がつかない。ブカブカな靴、窮屈な靴。問題が無いわけがない。

ツールの損耗も進んでおり、

タイヤまる坊主
アームレストが無い
介助用のハンドルの持ち手が無い
スリングシートが歪んでいる
等など。頭の痛いことも多い。

今回の勉強会は、現状の医療施設で一人一人にあわせたモジュラー型車椅子の導入が進んでいない点を背景に普通型車椅子にいかに工夫をして、ようやく車椅子座位が可能なレベルの方に適合をしていくかという非常に興味深いもの。

これまでの取り組みはいかに、本人にあった車椅子を提供するかという視点だっただけに、普通型をいかにモジュラーに近付けるかという試みは非常に新鮮だった。参加者も多職種に渡り、様々な視点からお話しが伺えた。

特に今まで自分の視点になく、勉強になったのはスリングシートのたわみにより坐骨にかかる圧が左右で違うという点。圧を測る機械で測定したところまっすぐ座っているつもりでも左右で圧が大きく違ってくる。褥創の予防への取り組みとしても、不良姿勢予防のアプローチとしても非常に参考になった。

勉強会の会場近くでは隅田川の花火があり、終了後は窓から見える花火を見ながらお酒を飲むと言うなかなかシャレた演出もあって吉であった。


人工呼吸器を付けてみる

2005-04-27 23:53:06 | 医学
先日、院内にて医療機器メーカー主催の勉強会があり参加した。
今回のテーマは人工呼吸器。

人工呼吸器はおおまかに2種類あって
侵襲的
非侵襲的
にわけられる。侵襲的と非侵襲的の差は気管内挿管や気管切開を行うかどうか。

今回は非侵襲的陽圧換気療法をもちいた人工呼吸器(NPPV)。
簡単にいうとその人の呼吸にあわせて空気が送り込まれる装置。
息を吸おうとすると空気が結構な量送りこまれる。
自分で肺が広がってるなと分かるくらいに。
メーカーの人いわく、深呼吸を行わせる装置。

ちなみに人工呼吸器=生命維持装置ではない。
NPPVは夜間だけつけるとか、一日の装着時間も10時間程度とか。
身近なところだと睡眠時無呼吸症候群の患者さんにも適応となる。

付けてみて、患者さんに説明するにしろ、リスクを考えるにしろ
装着感や使用感がわからないと話にならないと感じた一幕だった。


今日帰りにようやく
BOOM BOOM SATELLITES:FULL OF ELEVATING PLEASURES
the band apart:K.AND HIS BIKE
を購入。

人工呼吸療法
http://www2s.biglobe.ne.jp/~MINEO/toneyama/hmv/index.html

テールスープと解剖学

2005-01-10 01:31:06 | 医学
お正月にちゃんとした焼肉屋さんに行きました。
そこで私の好物である牛のテールスープ(コムタンスープ)をオーダーしました。牛のしっぽの部分が骨ごと入ってるスープです。スープはもちろんおいしく、満喫したわけですがここで新たな発見が。

一般に良く「ヘルニア」という言葉が知られていると思います。「ヘルニアで腰が痛い」とか言うあれです。ここで言うヘルニアは「腰椎椎間板ヘルニア」にあたります。ヘルニアとは身体の一部が本来あるべき場所から突出してしまった状態を指します。

「腰椎椎間板ヘルニア」であれば椎間円盤が突出して、神経を圧迫している状態のことです。椎間板は中心に髄核、周りを線維輪が取り囲んでいます。

しっぽのお肉を食べて、骨が外れるとそこには綺麗な椎間円盤が。非常に分かりやすく中心に丸く髄核が、周囲を線維輪が綺麗な線を描いています。本当に分かりやすくきれいです。私自身こんなに綺麗な状態で椎間円盤を見たのは初めてです。

「腰椎椎間板ヘルニア」はまん中にある髄核が外に飛び出そうとすることで生じます。テールスープをご注文の際、お肉をきれいに食べるときれいに見ることができます。いわゆる「ヘルニア」のもとはコレなんだなと確認するよい機会(?)かと思います。

血管

2004-09-13 01:52:33 | 医学
去年の今頃、慈恵医科大学の解剖学資料室にお邪魔した。
ここには解剖学の資料が多くある。人体の不思議展のデラックス版のような所。

資料室で血管だけを分離した標本が展示してあった。(どうやって分離するかはあえて説明を省かせてもらいます。)紙の上ではわかっていたことだけど、実際再確認して「ほ~」と思ったこと。

血管は手の甲とか、そとから見える部分も多い。血管は非常にうまくできている。手を挙げたり下げたりすれば、そのたびに血管は引っ張られる。でも切れたり突っ張ったりしない。どうしてだろう?

その答えは血管自体の伸縮性による部分も大きい、一方、ほかには血管は場所によっては蛇行して走っているのです。場所によっては日光のいろは坂の様になっています。

予防の方向性

2004-09-09 23:43:12 | 医学
先日、厚生労働省がホームヘルパー制度の廃止を検討、介護福祉士への一本化という話が産經新聞に載っていた。

現在、在宅や施設で26万人程度が高齢者や障害者の介助に従事、国家資格である介護福祉士の占める割合は1割程度。今後、介護職員の要件を介護福祉士とするのであれば、マンパワーが全く足りないと言うことになる。(導入は2009年かららしい)

一方で高齢者人口は右肩上がり。今のままの体制では介護者が圧倒的に不足する。
2000年度ころから旧厚生省は介護予防のための研究に取り組んでいる。90年代から進んできたゴールドプランは既に発生した虚弱高齢者や障害者へのケアの整備を主眼に進められてきたが、次のステップとして予防にシフトして行くということだ。現在ケアに使っているお金を予防にまわして行くということでもある。

背景としては介護保険行政のひっ迫とホームヘルパーの質の問題、急激な高齢化が上げられるが、要介護者を減少させ、元気高齢者を増やすことで医療保険行政の負担も減るという一挙両得な面もある。数年前からリハビリ関係の学部や養成校が急増したが、認可をおろした背景には上記方針に向けた準備の面もあったのかもしれない。

しかし、薬学部の学部急増(倍増?)はどう説明をつけるんだろうか?6年制になるのは非常に納得が行くのだが。

精神疾患の影響

2004-09-06 02:33:14 | 医学
明日は忙しくなりそうなので今のうちに。

土曜の新聞にメンタルチェックを健康診断の項目に加えて行く方針を厚生労働省が打ち出した。所謂、精神病といった大げさなものでなくとも気分障害や抑鬱状態にある人の率は潜在的には非常に多いと言われている。この動きはは昨今の自殺率の上昇等も当然関与していると思われるが、EBMの点からも非常に納得が行くものだ。

よく心臓病にタバコが良くない、コーヒーも良くないといわれるが鬱も非常に大きな阻害因子になると言う報告があり現在研究が進められてる。他にも整形外科疾患であるとか、回復に当たり本人の積極的なリハビリを必要とする分野では非常に大きな問題となりやすい。

眼科や皮膚科等はわからないが、多くの診療科で治療の妨げとなると考えられ、診療報酬を抑制して健康保険の国庫負担をどうにかして下げたい御国としては、非常に大きな課題だろう。

そんな意図が見え隠れする新聞記事だった。