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竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

除染して「汚染土」をどこに持って行くのか

2011年08月12日 | 原発
最近はツイッターばかりで、久々のブログです。この2週間の間に、世の中いろいろなことが進展しました。いちばん残念なことは「東電救済法」が成立してしまったこと。少し希望は「再生可能エネルギー促進法」が、自民党から「よりまし」な修正をつけられて成立しそうであること。個人的には、この8月4日に60回目の誕生日をむかえてしまったこと・・。
政治の動きは相変わらず混沌としています。菅総理はついに退陣することになりましたが、最後に頑張った「脱原発依存」、自然エネルギーの促進という道を引き継ぐ人が総理になる可能性は低そうです。ただ再生可能エネルギー促進法にまともな修正を加えルタメに動き回った与野党の国会議員が存在したことは、今後への大きな希望です。

市民側ではいろいろな動きがあります。eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)では、政府のエネルギー基本計画への対案の作成にとりかかります。現計画は原子力推進を全面に出したもので、菅総理が白紙にすることを指示したものです。政府側の新政策は国家戦略室のエネルギー・環境会議がつくる「革新的エネルギー・環境政策」がベースとなることになっていますが、作業はまだ緒に就いたばかり。総理が変わると、これもどうなるかわかりません。場合によってはエネルギー環境会議も、国家戦略室さえも有名無実となるかも知れないからです。
http://e-shift.org/?cat=28

市民側では、政治の動きに関係なく、淡々とまとめることをまとめ、できることは実施すべしと訴えたいと思います。自然エネルギーの現実的促進計画がカギだろうと思います。
このほかに、
7月末にスタートした「みんなのエネルギー環境会議」
http://www.meec.jp/
1000万人署名開始の「エネルギー政策の転換を求める1000万人アクション」
http://sayonara-nukes.org/
などがあります。

さてしかし、今日の本題は「除染」です。政府は福島第一原発の事故で高濃度に汚染された福島県浜通りの立ち入り禁止地域を、表土を取り除いて除染し、そこに避難している人々を戻すというトンデモナイことを考えているようです。それが本気なのか、福島原発事故に対する政府の無策を追及する被災者の人たちへの「ポーズ」なのかわからないが、明確に「やってはならないこと」であることを指摘しておきたい。

政府の意識は、被災し故郷を追われた人々を元に戻そうという一点に固執しているように見えます。しかし原発事故に対処するときの世界のルールは「被曝を最小限に抑えること」が第一義です。政府が行っていることは、あらゆる点でこれに逆行しています。
被曝限度を20ミリシーベルトに上げて(正式には上げず、窓口運用で実質は上げている)、多くの人々を被曝地帯に封じ込めています。それでもすでに2万人近くは脱出をしています。仕事や介護など逃げ出すことのできないしがらみを持っている人たちは、「制度としての避難」がつくられなければ逃げ出せないのです。これによる総被爆線量は莫大な数字になっているはずです。年間10ミリシーベルトを超えるところに100万人の人々がいるとしたら・・。総被爆線量は1万人シーベルトになります。4月24日のブログでゴフマン博士の1万人シーベルトで4000人のがん死という数字を紹介しました。放射能との闘いは、あらゆる場面で「総被爆線量を減らす」というのが最も大事な指針なのです。

さて汚染した表土を取り除いて、そこに人々を戻す。この作業は誰がやるのでしょう?人間です。その人たちは被曝します。取り除いた表土はどこに持って行くのでしょうか?放射能は消えるわけではないのですよ。膨大な量の土です。イヤなうわさがあります。福島県は密かに山の中の産廃処分場に持って行って埋めると・・。「山の中!」汚れたものを山の上に上に持って行ったら、汚染はまた下に下りてくるのですよ!その川下の「汚れてない人たち」が汚染されるのですよ。
表土を取り除くということは、別の言葉でいえば、汚染を別のところに持って行くということ。つまり汚染の拡大以外の何者でもありません。その汚染拡大の作業を担う人たちも被曝します。汚染を持ち込まれたところの人たちも被曝します。一説には、この無意味な拡大作業は何兆円もの仕事になるとか。何兆円をかけて汚染を拡大し、その汚染をなんとかするためにまた何兆円をかける。なるほど「雇用の確保」ですか?放射能まみれになって。
なぜ、この簡単な想像ができないのでしょう?最も安全で、安上がりで、被曝を抑える方法は、被爆地から人を遠ざけることです。どんなに郷愁のある場所であろうと「危険な場所」になってしまったのだということを正しく理解するしかありません。それが原子力という技術の帰結なのです。そして、それも想像ができたはずです。

すでに福島市などでは、子供たちを疎開させるのではなく汚染地帯に強制居住させるために「除染」を開始しています。もちろん汚染は完全になくなりませんから、子供たちの被曝状況は続きます。しかも大量の汚染土は学校の校庭などに積上げられています。この汚染土はどこに持って行かれるのでしょうか。
福島県から遠い地域の人たちも、人ごとと思わないでください。この土はいつの間にか、あなたの街の埋め立て地に捨てられるかもしれません。色もにおいもない「ただの土」です。放射能を測らない限りわかりません。いろいろな汚染していない土と混ぜて、放射能を低く見せるかもしれません。それでも放射性核種は物質です。消えるわけではありません。
全国の人たちが、この動きを監視しないと、この次はまた大変なことが起こるという気がします。「フクシマの土だから、愛を持って受け入れましょう!」などとノンキなことを言ってる場合ではないのです。


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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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なるほど (高木 宣郎)
2011-08-20 15:45:59
汚染の移動・・・なるほど
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