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遠鉄バスはTOICA・Suicaなどに対応予定なし

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審査が長引いている遠州鉄道バスの運賃値上げの件ですが、運輸審議会は2023/6/13付で申請どおり認可することが適当である旨答申しました。

https://www.mlit.go.jp/report/press/unyu00_hh_000269.html

審議における配付資料及び議事概要はこちら

公聴会の詳細はこちら

それぞれ公開されている資料から、注目の内容をピックアップして紹介します。

<審議での配付資料>

1.第1回(2023/2/16)の資料1

 7ページ目にバス車内運賃表示器の実際の表示例が掲載されていますが、運賃が「120円、130円、150円、180円、210円、230円・・・」となっており、初乗り運賃が低廉かつ上がり方も鈍くなっています。

2.第1回(2023/2/16)の資料3

 パブリックコメントの内容が掲載されていますが、その1番目に以下のような遠州鉄道側の回答が掲載されています。

 =====引用始まり

 ご指摘頂きましたとおり、初乗運賃の値上率は中・長距離区間よりも大きく、初乗
 運賃は120円から150円と1.25倍となります。ただ、ご負担をお掛けいたしますこと
 を大変心苦しく思いますが、当社の初乗運賃は1998年(平成10年)以前は150円
 であったところ、1998年(平成10年)7月1日の運賃値下げにより100円~140円の
 設定に変更をいたしました。これにより利用者は一時増加いたしましたが、増収に
 はつながりませんでした。そのため、2015年10月の運賃改定時にまずは初乗運
 賃を120円まで戻し、今回の改定により1998年当時の150円の設定に戻すという
 認識をしています。

 =====引用終わり

 つまり、初乗り運賃が低廉かつ上がり方も鈍くなっているのは、25年前に同社が利用客を増やすため導入した施策であり、既に効果がなくなっているために今回の値上げで解消することになります。この時期には各地で短距離でもバスに乗ってもらうべく「100円バス」が導入されましたが、今も残るのは僅かです。

 また、4番目に「初乗りを150円まで引き上げるのであれば乗継割引を導入してほしい」との要望がありますが、遠州鉄道側は完全に導入を否定しています。

3.第2回(2023/2/28)の資料

 浜松市における2018年の交通分担率では、バスの占める割合は市全体で2%(1975年は7%)となっています。最も高い中区でも3.6%で、浜北区に至っては0.3%です。

 また、直近3年間で廃止した系統のうち、浜松市の山間地域や磐田市・袋井市・湖西市においては、自主運行バスやデマンドタクシー等の代替交通が確保される一方、市街地や特定の目的地への路線については、利用者への影響等を検討した結果、代替交通は確保されていないとのことです。

<審議会の議事概要>

1.第1回(2023/2/16)の議事概要

 深刻な運転者不足の解消を値上げ申請理由の一つに挙げた理由は、「これまで貸切バスや高速バスの人員を乗合バスに移して路線運行を維持してきたところであり、今後、貸切バスや高速バスを回復させていくためには、運転者不足の解消が必要」だからとのことです。

2.第3回(2023/4/4)の議事概要

 公聴会については、一般利用者から開催請求があり、これを踏まえて委員間相互で討議を行った結果、その利用状況等を踏まえて、公聴会の請求を行った者を利害関係人として認めることとしたそうです。

3.第4回(2023/5/30)の議事概要

 2023/5/25に開催された公聴会において「現在の運賃の支払方法が現金と専用カードだけで不便」という声があったが、遠州鉄道側は「導入時期は未定だが、QRコードの決済等を検討していく」と回答したとのことです。

<公聴会の回答>

https://www.mlit.go.jp/common/001614462.pdf

1.今回の改定に併せて、全線利用可能な土日祝1日フリー券を、デジタル乗車券として新たに販売を行う予定(特に土日の需要の戻りが弱いため)

2.クレジットカードのタッチ決済が全国的に拡がりを見せている中、弊社としてもキャッシュレス決済の手段として、導入の検討を始めていく

3.本来毎年最低でも10台程度車両更新を行う必要があるところ、コロナ禍により2020・21年度は0台、2022年度は2台しか更新ができていないが、今後の投資計画で可能な限り早期に10台の更新ができるよう努力していく

4.今年の浜松まつりにおいて定期路線バスとシャトルバスでは運賃差を設けた(他のシャトルバスでは設けていない)理由は、「他の輸送とは比較にならないほどの大規模輸送となり、会場のコーン・バー設置のためのレンタル費用、乗り場や乗車券売場の設営費用、また当日の社内・社外の要員は各日90名程度を要し、事前の準備・撤去作業にも費用が発生」したため

上記の内容からわかるように、遠州鉄道としては全国相互利用対象ICカードに対応する予定はなく、他地域からの来訪者へのキャッシュレス決済手段は「タッチ決済」「QRコード決済」に徹する予定なわけです。

この答申を受けて国土交通省が近日中に値上げを認可するはずですが、値上げの実施日がいつになるか注目ですね(当初計画が2023/4/16であり、大幅遅れになっているだけに)。

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