木彫りの鳥の独り言

ちょい悪爺の懺悔録

アマビエ

2020年04月29日 | 独善偏見音楽鑑賞記
"春嵐が黄砂払いて山青し

 さてさて、皆さんお元気ですか、月に一度の生存確認であります。
私は日課になった検温で36度あたりをキープ、鼻がぐずってくしゃみがでたらその都度パブロンを飲んで
風邪の症状が出たり引っ込んだりの繰り返し、まさに日本政府みたいなその場しのぎの体調管理に励んでおります。
医療関係者の孫は月初からの実習は取りやめでオンラインでの講義になりひとまずは安堵、しかしアルバイトや
ジムトレーニングなどがなく一日中家にいるのでかなりのかさ高さであります。  
オンラインといえば彼はこの所、友人との飲み会をZoom(結構流行ってますね)というアプリを使ってやってるみたい
なんかお通夜みたいな感じやねーと思うけど、当人たちは盛り上がっているんでしょうな「最後の一本締めが合わんかった」
なんて笑わせますな、、、。

さて私もオンラインコンサートです
4/26NHK BSプレミアムシアター ひと月前から楽しみにしていた放送です、録画したやつを昨日見ました。
まずはロサンゼルス・フィルハーモニック創立100年記念演奏会
面白かったのは「 From Space I Saw Earth」~オーケストラと3人の指揮者のための~ビャルナソン作曲(世界初演)
歴代の指揮者(メータ、サロネン、ドゥダメル)がひとつのオーケストラを三人で振るというのがとても斬新だし
曲も結構コンサバな感じで良かった。

次のプログラム
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会
マーラー 交響曲 第2番ハ短調「復活」指揮グスターボ・ドゥダメル
[合唱] カタルーニャ合唱団
カタルーニャ音楽堂室内合唱団
収録:2019年6月27日 カタルーニャ音楽堂(バルセロナ)
ミュンヘンフィルのスペイン公演で、この音楽堂は世界遺産との事、建物の美しさが映像をとおして伝わってきます
その素晴らしいロケーションでドゥダメルがまさに天からの啓示を受けたかのような音楽を奏でてくれました。
特に終楽章で
 「私が勝ち取った翼で私は飛び去っていこう、私は生きるために死のう
 よみがえる、そうだ、おまえはよみがえるだろう、わが心よ、ただちに 
 おまえが鼓動してきたものが 神のもとへとおまえを運んでいくだろう」
と歌われる部分は、私にとって30年以上前に初めてこの曲を聞いた時以上の久々の感動ものでありました。
ドゥダメルも聴衆の拍手に心なしか涙ぐんでいるように見え、実に歴史的な名演だったと思います。
2019年6月27日この演奏をその場で聞いたスペインの人たちの中にも今回のコロナ禍に遭われた方がたくさん
おられるんでしょうな、明日のことは誰にも分りません、、、だけど今どんな形にせよ人間が営々と築き上げてきた
こんな壮大な音楽芸術の最高峰に自分が巡り合えたことの幸せは現場にいた人と自分も共有できたような気がします。
この感動をゆっくりかみしめて、今日はこのあたりで切り上げて最後のプログラムはまた明日にしようかなと、、、
思ったんだけど止まりません。

最後は、テオドール・クルレンツィス指揮 ムジカエテルナ モーツァルトレクイエム ニ短調 K.626
収録:2017年7月23日 フェルゼンライトシューレ(ザルツブルク)
なんせあのクルレンティス&ムジカエテルナです? 2020/4/8にリリースされた彼らのベートヴェン交響曲5番(sony)を
先日聞いてぶっ飛んだばかり、ちなみに私が持っている彼らのモーツァルトレクイエム ニ短調 K.626のCDは2010年収録
のもの、今回放送の2017年のザルツブルク音楽祭の演奏で彼らは世界的に脚光を浴びたとのことで7年間の彼らの違いは
どうなのかという楽しみもありました、と同時に彼らの演奏を高精細画面で見るのも初めてという事で、、、

クルレンティスは黒服のカマキリのような感じで登場、そのカマキリがナイフを振り回すような感じでタクトを振ると
いわゆる古楽器オーケストラの音色とは異質な感じの音の塊が次々と暗い舞台から湧き上がってくる、チェロとティンパニー
以外は立ったまま演奏しているのがわかる、やがて歌いだしたムジカエテルナ合唱団はさっき見たカタルーニャ合唱団
とはヴィジュアル的に対照的な感じ、第2曲目であの印象的な女性コーラスがダバダバダバダバと歌うところで、私の
CDとの違いがはっきりした、以前の演奏と違って明らかにこのフレーズのコントラストが強い、聞いていくにつれて
今回の演奏のほうが圧倒的にメリハリが強く鮮やかに感じられる、クルレンティス&ムジカエテルナのこの7年間の結束
の強さが現れているのか、聞いているうちに頭に浮かんだのはロマ(ジプシー)の音楽、興に乗ってバイオリン奏者が腰を
かがめて演奏する、背後のコーラスの男性の風貌、黒い湿った土と森の香りのするモーツァルト・レクイエムです。
あっという間に全曲が終わり、クルレンティスが昂ぶりを抑えるように瞑想する、永遠とも思えるほどの長い時間ののち
聴衆に向かうとさざ波のようにおこる拍手、それが怒涛のようになりスタンディングオベーションとなっていく、、、
これも歴史的名演奏でした。

という事でNHKがこんな数年に一度の素晴らしい番組を放送してくれたことに感謝です。
しかし文章で音楽は味わえません、とりあえず聞けなかった方はNHKオンデマンドにアクセスしてお聞きください。

"笑うほど揃いて咲けりチューリップ 
近頃はそろわないチューリップもあるようで実に苦々しい事です。


今、世の中がこんなつらいときだからこそ豊かな気持ちを持ち続けていきたいものです、皆さんにこんな曲おすすめします
https://youtu.be/CWzrABouyeE
ルイ・アームストロング What a wonderful world

I see trees of green,
red roses too.
I see them bloom,
for me and you.
And I think to myself,
what a wonderful world、、、

    Yes, I think to myself,
   What a wonderful world.
Oh yeah.

   私には緑の木々が見え、
   赤いバラの花々も
   私と君のために
   咲いているんだ
   そしてひとり思うんだ、
   なんて素晴らしい世界だと、、、

       そうさ、ひとり思うんだ、
       なんて素晴らしい世界だと。

ではこの辺で、、、

 "路地奥に馬面の猫居り春うらら
 "鶯が巧みに鳴きて四月尽く