木彫りの鳥の独り言

ちょい悪爺の懺悔録

ビバ!オオタニ

2023年03月26日 | 独善偏見音楽鑑賞記
 "浜千鳥寄りてさえずる彼岸かな   
 "春の雨ぼんぼりのごと街路灯

お久しぶりです、皆さんお元気でお過ごしでしょうか。
春たけなわ出会いと別れの季節です、しかし齢を重ねるとつらい別ればかりがふえてきます。
そんな鬱々とした気持ちをスカッと吹っ飛ばしてくれた大谷君、よかったですね。
決勝戦の最後のシーンは、ラジオにかじりついて聴いたあの天覧試合の村山と長島の対決に匹敵する
名勝負でした、あのときは悔しい思いで終わったけど今回は狂喜乱舞のハッピーエンド、実によかった。
しかし興奮しすぎて具合が悪くなったジジババもいたかもしれませんな。
この際、岸田氏も大谷君を人間国宝に指定したら支持率アップにつながるんやないですかな、知らんけど、、、。

さて映画の話です、「灼熱の魂」 2010年 カナダ、フランス ドゥニ・ヴィルヌーヴ脚本、監督
カナダに暮らすレバノン移民の家族の物語です、母親が急死して双子の姉弟が母の遺言に託された、まだ見ぬ
兄と父を探すストーリーです、見始めてしばらくして物語の発端がレバノン内戦の勃発時らしいのがわかり
私自身その当時のレバノンの情勢をあまり理解していなかったので鑑賞をいったんストップしてwikipedia で
検索した次第、、、
1975年頃から始まったこの紛争はいったん95年頃に国際的な合意で終結したはずなのに、今なお続いています
シリア内戦、ゴラン高原などを巡るイスラエル、パレスチナ、イラン、ヒズボラ、IS国、クルド、トルコ、その背後の
米露、ヨーロッパ旧宗主国の思惑など、裏切り、背信、偽善、何でもありの宗教と領土に端を発した殺し合いの歴史は
到底我々日本人には理解しがたい世界です。
いたいけない子供さえ殺すと言う人間の憎悪の恐ろしさ、そんな不条理としかいいようのない憎悪によって生まれた
新しい命、、、  人としてこの世に生まれた意味を深く考えさせられる重たい重たいお話でした。
翻って我々はこれまで平和を享受してきました、それはおびただしい数の尊い命の代償を払って手にしたものです。
若い世代にはネトウヨと呼ばれる人達が少なからず存在するようですが、憎悪の果ては悲しみしかありません
偏見というフィルターを取っ払って穏やかな社会に一歩ずつ前進していきたいものです。

https://www.youtube.com/watch?v=VqhCQZaH4Vs
ルイ・アームストロング What a wonderful world

 "水仙の恥らうごとく蕾揺れ
         それではこの辺で。

アレサ・フランクリン

2023年01月23日 | 独善偏見音楽鑑賞記
 "白菜は太き尻して厚着して"
こんにちは、寒さ厳しい折ですが、皆さんお変わりないでしょうか。
過日、久々にこのブログを更新したところ、知人から心配していたとのメッセージをいただき
恐縮した次第、まぁ単なる筆無精と言う事です。
とはいうものの昨年は、妻が阪大病院へ転院して治験での遺伝子パネル検査による新治療への模索、
仕事の方ではコロナによる会社業務への影響、デジタルタコグラフ導入、インボイス制度、電子帳票、
2024年対策など、それなりに忙しく過ぎました、要するに貧乏暇なしということですな、へへ。

さて音楽の話です、、、
年頭に映画「リスペクト」を見ました、ソウルの女王アレサ・フランクリンの半生を描いた伝記ドラマです。
主演のジェニファー・ハドソンが歌唱力と演技で、アレサのちょっと形容しがたいような苦悩を突きつけ
60~70年代のアメリカでの公民権運動やベトナム戦争を背景にした黒人社会の宗教と音楽を活写した作品です。

あの当時のソウルミュージックとして私の記憶に残っているのは、なんといってもオーティス・レディングです
今、「ドックオブザベイ」のsittin' in the morning' sunの歌い出しを聴いただけであの頃のやるせない思い出の
数々がよみがえってきます、そのオーティスの「リスペクト」をアレサがカバーしたものが大ヒットになったそうで、
(私はオーティスのリスペクトのほうが好きですが)その映画の中でも描かれた1972年1月のロスアンジェルスの
パプテスト教会での伝説的なコンサートのドキュメンタリー映画が当時技術的な問題で公開されてなかったのが
技術の進歩により「アメージング・グレイス/アレサ・フランクリン」として公開されていました、早速見ましたが
予告編でティッシュじゃなくタオルとあったのが大げさじゃないほど、感動ものでした。
パプテスト教会の牧師である父親がゲストとしてスピーチを終えたあと、歌う彼女の歌声と表情に泣かされました
父母の離婚、母との死別、父親の暴力、協会関係者の性的いたずらによる12才での妊娠、出産、、、
神から授かった特別な才能はそれらのすべてを乗り越えたように思えます、まさに天才ですね。
アメージング・グレイスについては、きれいなメロディの曲としか認識がなかったけど、アレサの歌を聴くと
この歌詞の意味する事が腑に落ちてきます、それにしてもアレサの歌はすごいですな。
と言うわけでその Amazing Grace: The Complete Recordings (Live)やら、ARETHA等のCDを聴きながら早朝の
ジョギングに励んでいる次第、、、以上、今さらながらの "アレサ・フランクリン" の顛末です。
https://www.youtube.com/watch?v=WZJtU03FAAA ミックジャガーが映ってます!
https://www.youtube.com/watch?v=lGeKXvYzE80
宗教と音楽をテーマにした映画として「天才バイオリニストと消えた旋律」という2019年のカナダ映画も先日
見たのですがこれも秀作でした、原題は「The Song Of Names」でこっちの方が内容に合致してるんだけど
それはおいといて、1951年ロンドンで将来を嘱望されたバイオリニストがデビューコンサート当日に失踪すると
いうお話、ポーランド出身のユダヤ人である主人公がユダヤ教を棄教してバイオリニストとして生きていこうと
するが、両親兄弟がホロコーストで亡くなったのをロンドンの場末のユダヤ教教会でラビが歌う,口述で歌い継がれて
きた犠牲者の名前を聞いて知る場面で、あまりにも美しく悲しいミサ曲の旋律に衝撃を覚えた次第。
話の締めくくりで主人公が償いのコンサートで演奏したブルッフのVn協奏曲とアンコールで演奏したホロコーストの
犠牲者を悼む曲は深く心にしみました。

先日、毎日映画コンクールの受賞作品が発表され外国映画部門で「ベルファースト」が選ばれたそうです。
私も今年に入ってこの映画を見ました、泥沼のアイルランド紛争のさなか、プロテスタント教徒の一家を
描いたもので、対立するカトリックとの争いを少年の目を通して生き生きと活写したもので肩の力を抜いた
後味のよい作品でした。
ではこの辺で、、、
 "尾は長く黒ずくめなる猫寒の夜に

謹賀新年

2023年01月08日 | 独善偏見音楽鑑賞記
"寒き夜の絵に描きたるよな月と雲"

 遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。
無沙汰しておりますが、小生身体だけはすこぶる元気で過ごしております。

昨年は不安や焦燥を感じさせるようなことが次々と起こった年でしたね、一年を表す漢字は「戦」でした。
例年の如く年末恒例のN響の第九を聞きましたが、井上さんの指揮も見事、オケの技術もすごかった、でも
ケチをつける気はさらさらないけど、終楽章の盛り上がりに今までは感じてた明日に対する希望や高揚感が
いまいち湧いてきませんでした、、、やはり「戦」の字が重たかったですね。
年が明けてAmazon Musicでキリル・ペトレンコ指揮ベルリンフィルのチャイコフスキー6番悲愴が目にとまり
好きな指揮者なので聞いたんだけど、まことに端正かつ雄大な演奏、おまけに録音も優秀。   
ウクライナに出自を持つロシア人であるペトレンコのチャイコフスキーは、以前に紹介した鬼才クルレンティス指揮
ムジカエテルナの6番とは対照的な優しさと美しさにあふれた中間の楽章をたっぷりと聞かせてくれました。
でもエンディングは、やはり深い苦悩と絶望のうめきを冷たくつきつけます、今もウクライナなど各地で続く戦いや
抑圧された暮らしを強いられている人々を思うとつくづくとこの世の不条理と人間の業の深さを感じさせられます。

考えてみれば、私は私の生きてきたこの社会がここ70余年の間に少しずつ進歩してきたように思っていました。
根拠のない差別、弱者への思いやり、隠蔽された特権、情報の公開など改善すべきところについて遅遅としたもの
であるにせよそれなりに進んできたなと感じていましたが、昨年の安倍氏襲撃から明らかになった統一教会による
政権与党の取り込みやオリンピック開催にまつわる巨額利権疑獄、誰も責任を取らない組織の腐敗した体質など、、、
いやはや、この国はというよりも私たちはあいも変わらずなんだなと気落ちしてしまいます。

年が明けてから、防衛力強化が声高に論議されています、防衛問題がまっとうに議論されるのはいいことだと思う。
平和というものは、外交努力によってしか得られないと声高に訴える人物が周囲の人々には強圧的な態度で接して
まともな議論もできない、議論の帰結によっては暴力的手段で訴えるなんてことよく見聞きしてきました。
しかしいっぽう、関連予算が実現していけばまたぞろオリンピックみたいにミツに群がる蟻の如く(蟻に失礼やね)
権力やお金が生きがいの輩がワンサカわいてくるんでしょう、、、。

宗教の問題もそうですね、平和や愛を説く宗教家がご本人の家庭内でのトラブルも解決できないのに家庭の幸福を
説く、はたまた法敵を倒せと説くなんてのは普通に考えれば欺瞞そのものなのに信者は素知らぬ顔、なんて言うのは
信仰というものの不思議な面です、でも本当の聖人は至る所にいるんだと思うし、我々の内面にも清らかな面と
どす黒く汚れた面は混在しています(私なんか比率として後者が圧倒的かも、ふふ)
宗教にどのように接していくのか、科学技術がどんなに進んでも答えは出ないでしょうね、私は人それぞれでいいのだ
と思います、ただしあくまでカルト的な馬鹿馬鹿しいものは宗教ではないという前提です。

願わくば孫の時代くらいには世界から経済力や軍事力でなく文化や芸術でそして何よりも幸福度で一目置かれるような
ニッポンになってほしいなと思います、そしていつも自由にものが言える国であり続けてと願います。
うだうだと駄文を書き連ねました、我慢して読んでくださった諸兄、諸姉ありがとうございました。
皆様が息災なく過ごされますようにと祈念して、この辺で失礼いたします。

"はらからはいずくで光る冬銀河"


夏はきぬ

2022年06月18日 | 独善偏見音楽鑑賞記
"あじさいを揺らして雀かくれんぼ"
 お久しぶりです、皆さんお変わりありませんでしょうか。
しかしあれこれと今まで経験した事の無いような不穏な動きの続く今日この頃ではあります。
私どもの会社でも5月はコロナ感染者が3名発生し、ホテルでの隔離生活や自宅で自主隔離など業務の
方にも多大な影響がありました、おまけに決算も重なりこのブログにも5月はとうとう投稿できずじまい。
まぁ適度なストレスは老化予防によろし、なんて言っても所詮穏やかに生きていけるに越したことはなしで、、、
まさにこんな時こそ、唇に歌、心に太陽をです!
と言うわけで5月はじめ後輩である山崎さんのアンサンブルエヴォリュエの演奏会に行ってたっぷりの感動を
もらってきました。  
ひたむきに歌う彼女のぴんと伸ばした背筋にこれまで研鑽してこられた音楽に対する矜恃が見える気がしました、
賞賛と羨望の混じった拍手を送った次第です。

そして来る7月3日にはこれも我が後輩、行譜君のジャズコンサート、これも非常に楽しみであります!
羊の皮を被ったオオカミ、Mr行譜!
白いタキシードで決めて華麗にドラムをたたく彼の超絶変身ぶりは必見
ぜひ大阪市北区兎我野町15-13 ミユキビル1階の"Royal Horse" 7/3 12:00 多数のご参集を!

"入梅や雨にうたれて露天の湯"
先日、和歌山は田辺の山奥の、湯ノ峰温泉に行ってきました。
なかなかいい泉質で、大浴場の入り口に掲げられた温泉の効能に書かれた和歌山県保健所の技官某氏の名前と
ともに記された日付が昭和30年、さすが老舗のいい旅館でした、スタッフも気持ちのいい人ばかりでお薦めです。
ちなみに湯の峯荘というなんとなく昭和チックな名前でした、実はこの温泉に来たのはこの春から孫が研修医
として勤務する田辺市の紀南病院をこっそりと視察がてら?と言う事でした。
しかし看護師学校も併設された大規模な病院を見て、改めて和歌山県の医療体制の充実を感じました、コロナ初期
から和歌山県は死亡率が低かったのもうなずけます、仁坂知事が多選を理由に不出馬宣言を先日されてましたが
優秀な行政手腕の方だったんでしょうな。

"ひよどりがせわしく鳴きて夏日かな"
音楽の話です、、、
前にも書きましたが、私の大好きな国フィンランド、一度は行ってみたいと切望してますが果たして叶うかどうか。
さてそのフィンランドのアカペラコーラスグループの「ラヤトン」男女3人ずつの構成で実にセンスのいい音楽を
聴かせてくれます同じ北欧の「ABBA」の都会的かつ商業主義的な音楽スタイルではなく、聖歌や各国の伝承曲なども
生真面目に取り上げています、これが現代フィンランドの気質なんでしょう、アルバム「Sanat」なんか聴いてると
たっぷり森林浴したような気になります、と言う事で以下にYouTubeのリンクを張っときます。 
https://www.youtube.com/watch?v=WEcQscemZIE
https://chillout-harmony-fields.ssl-lolipop.jp/a-rajaton/index.html

このところ私の音楽専用に使っていたノートPCが不調になっていたので、今日思い切って新しいのに買い換え、
と言う事は必然的にWindows11を使わにゃならんわけで、前途多難であります、、、。
ではこの辺で失礼いたします。 

涙腺

2022年04月23日 | 独善偏見音楽鑑賞記
"朝まだき水仙の白ひかりたる

こんにちは、当地ではハナミズキも散り始め追い立てられるように花の4月が終わろうとしています。
さてさて当ブログを覗かれた善男善女の皆さんつつがなくお過ごしでしょうか、、、
幸い小生は雨にも風にもその他諸々の艱難辛苦にも負けずしぶとく生きています、これも平素からの
トレーニングのたまもの、体重計にのると体年齢は51才だそうでほんまかいなオムロンさんであります。
しかし足腰は運動で鍛えられても、脳の方はそうはいきません近頃はとみに涙腺のしまりが悪くなって
来ているようで、このところウクライナのニュース映像で泣かされることが多くなりました。

昨日、新聞を読んでいたら「肥料原料 露産ゼロ 他国産へ切り替え進む」という記事が目にとまり
読み進むとJAや商社が肥料の原料の塩化カルシウムの輸入をロシア、ベラルーシから他国産に切り替え
ていくとのこと、塩化カリウム鉱山の写真が載っていて説明にロシア中部ベルミ地方のソリカマスク市
とあります、、、ロシア、ベルミと言えばテオドール・クルレンティス&ムジカエテルナです、確か
彼らの原点はベルミ国立歌劇場の座付きオケだったんですね、ソ連崩壊から紆余曲折、曲がりなりにも
先進国になりつつあったロシアだったのに、スターリンの呪縛どころかもっと以前の帝制ロシアの復活の
感もあるプーチンの思考スタイルと政治手法、音楽は政治とは無縁のものであり人が人である事の証です
クルレンティスやムジカエテルナの音楽芸術が政治に色づけされることなどないようにと願っています。

ロシア関連でいえば、今回のウクライナ侵攻でフィンランドの首相がNATO加盟を検討していくと表明し
ロシアがそれに過剰に反応していました、先の大戦で荒廃した国土を復興し一致団結して豊かで美しく
そして経済的にも政治的にも我々が目指すべき先進的な国を作り上げた尊敬すべきフィンランドの人たち、
そんな国がおぞましい砲弾の餌食にならないようにと思います。
さてそんなフィンランド出身のクラウス・マケラ(1996~)
チェロ奏者でも有り、指揮者としても脚光をあびています、現在ノルウェーのオスロフィルハーモニー
の若き音楽監督、指揮者としてタクトを振っています、2022年3月発売のずばり「Sibelius」と言うタイトル
のアルバム 交響曲1~7番 タピオラ他のずっしりしたやつをAmazon Musicで発見 なかなかいいですね
コリンデービス_ロンドン響の抑制の効いた端正な演奏に似た感じでこれからますます活躍する予感がします
レーベルがBISではなくDeccaなんだけど録音も悪くない、じっくり聞き込んでいきたいアルバムです。

5/7 後輩が所属のアンサンブル エヴォリュエの演奏会が伊丹アイフォニックホールで14:00から開催とのこと
エヴォリュエの演奏の質の高さは知っているので楽しみにしています。
ではこの辺で、、、

 "'笑うほど揃いて咲けりチューリップ