日々の寝言~Daily Nonsense~

すゑこざさ-「らんまん」が感動的に終わる

「らんまん」が最終回だった。

途中からだったが、
近年の朝ドラの中では
かなりよく見たほうだと思う。

それは、主人公の半分を演じた
浜辺美波さんが良かったのもあるが、
なにより、脚本が良かったからだ。

この回だけを見ても、
素人めにも、脚本が、
よくできていることが
すぐにわかる。

わかりすぎて、プロ的には
あざといくらいだろうが、
しかし、無理に感動を盛っている
という感じは全くしなかった。

そもそも最終週の始まりが未来で、
そこにナレーション担当の
宮崎あおいや、母親役だった松坂慶子が
出てくるというのもすごい。

壽恵子が亡くなる前に、
二人の「盟約」である図鑑が完成し
(このあたりのタイミングは史実とは違うようだが)
そこに最後に追加されたのは
「すゑこざさ」・・・

さらに、図鑑の謝辞には、これまで
万太郎を支えた人々の名前が並び、
最後に園子ちゃんの名前も。

歴史を描く群像ドラマとして、
これ以上ないエンドロール。

名前を見ると、登場シーンが思い浮かぶ
というのは、それぞれのキャラクターが
丁寧に描かれていたことを示すだろう。

そして、その図鑑を見た壽恵子が、
「「らんまん」ですね」
と全体のタイトルが回収される。

戦いのない "One Peace"・・・

うーん・・・
できすぎだ。

「わしを信じてくれて、ありがとう」
という万太郎のセリフも泣かされた。

何かをしてくれて、ではなく、
「信じてくれて」というところに
作者の強いメッセージが感じられる。

愛するとは、具体的に世話をするとか、
何かをしてあげること、ではなくて
(もちろん、それがあるのは当然だが)、
まずなによりも「信じること」なのだ。

バックには「愛の花」の
フルバージョンが流れている・・・

あいみょん – 愛の花【OFFICIAL MUSIC VIDEO】


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まず、壽恵子の気持ちが描かれて、
次に、万太郎の気持ちが描かれて、
脚本との相乗効果がすごい。


ラストはまた未来に戻って終わるのか?
と思ったが、さすがにそうではなく、
壽恵子亡き後の万太郎(と壽恵子)
の姿を描いておわった。

壽恵子の死は、直截的には描かれない。
ここも徹底している。

ラストシーンの「おまん、だれじゃ?」
と万太郎が視聴者に問いかけて終わる、
というアイデアも
わかりやすくすごい・・・

万太郎にこう言われたら、
思わず、胸に手を当てて考えてしまう。

これもまた、
すべての草花を平等に扱うように、
すべての人間を平等に扱う、という
作者のメッセージだ。

このほかにも、「継承」、自分の愛するものを
次の世代、未来に伝え、残してゆく義務、
もドラマ全体を通して強く主張されていた。

次は「ブギウギ」。

視聴者は、しばらくは、
万太郎+壽恵子ロスだろうし、
前作が良いのはプレッシャーだが、
予告を見た感じでは
わりと期待できそうな感じで、
楽しみにしている。

追記1:
長田育恵さんのインタビューが
Web上にたくさん掲載されている。

井上ひさしさんのお弟子さん
だったのか・・・

人物の描き方のきめ細かさや
丁寧さは師匠譲り
という感じがする。
(締切を守らないところは
継承していないようで良かった)

ずいぶん久しぶりに
お芝居が見たくなった・・・

追記2:
堀井憲一郎さんが
最終回について書いている。

おっしゃるとおり、
ドラマの主人公は
万太郎ではなくて、
壽恵子との夫婦関係の
仲睦まじさではあるのだが
(個人的には壽恵子が主人公と思っているが)、
全編を通してそれよりももっと重要なことは、
夫婦も含めた、人と人との平等なつながり、
ネットワーク、だろう。

高知の家長制的な人間関係から
はみだした万太郎は、
東京で、そして、各地の森で
活き活きと生きる。

長屋の人間関係、つながり、もそうだし、
大学のつながりもそうだし、
各地の植物研究者とのつながり、もそうだ。

壽恵子のおばさんの
料亭のシーンでは、
「ここは、人と人がつながる場所」
というようなセリフもあったと思う。

人間関係は、うまく働けば最高だが、
こじれれば悲惨なので、
こんなにうまくゆくはずはない、
とは思っていても、楽しめて、
感動してしまう。

このあたりも、師匠ゆずり
だと思う。
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