灯台守の恋

こんな　情感のあるしみじみとした映画は　久しぶりに観たような気がします。
観終わって　涙がこぼれる・・というものではなく
じ～～～ん　と　深く　ゆっくりと　胸に響き　染み込んでいったのです。
さすが　フランス映画・・
フランス映画を観ていて　よく思うのだけれど
すごく　簡単に・・いえ　とても自分の心に素直に　
　　　　　　　　　　「恋に落ちる」なぁ・・・と
その素直さ　或いは　恋への激しさが　少し　うらやましい・・・


どこで　彼らが恋に落ちたか？　それは　とても微妙だけれど
家庭を抱えた　彼女と
よそ者の彼が
たった一度だけの　「確認」をする・・
とても　激しく　　とても　切なく　　とても　いとおしい・・

二人の恋が描かれているだけではない
よそ者の　彼と　くしくも　彼女の夫の　友情も描かれている・・

あの夜
妻の不倫を　吹き込まれた　夫は　灯台で　傷つき　悩み　苦しみ　そして　受け入れる・・
その　葛藤が　雨風の強さ・・と並行して描かれ　とても素晴らしい。

結局・・　彼は　町を去り
彼女は　　日常に戻る
「恋の落し物」を授かり　夫はそれを　受け入れ　愛す・・・・
これが人間愛でなくて　なんだろう？？？
たぶん　妻は　彼を忘れなかっただろうし
夫も　彼と　妻の恋を　忘れなかっただろう
そして　もちろん妻と
彼を　人間的に　信頼し愛していたからこそ　彼らの子供も受け入れ　愛した・・・

恋は　複雑だ
誰が悪いわけでもなくても　　しのびより　人の心に火をつける
そして
　　　愛が　はぐくまれる


映画は
娘が　どう育ったのか　どう愛されたのか
あの夫婦が　その後　その町でどう暮らしたのか
町を去った　彼が　その後　どのように暮らしたのか
何も　言わない
すべては　ラストの娘の行動で　語らせている・・

真実を知った娘は
父と　もう一人の父が　出会い　一緒に働き　友情をつちかった　
灯台に行く・・
それだけで　すべてがみえ　すべてが　わかる・・

　　　　　　三人の深い愛情に　胸が詰まった・・・・・・


　　　　　　　今年のベストテンに残りそうな　映画です・・


　　２００６．０１．２２　　「灯台守の恋」　　名演小劇場にて鑑賞　　★★★★☆