2nd Stageトラバース

50代で転職し、第二の人生スタート。
もがいて、笑って頑張るおやじをお届けします。

受験生への親心 いいなトン勝つ

2020-01-04 08:13:19 | 日記
「君たちは高校受験という大きな節目を経験しました。その日を作文にしなさい」

受験が終わった中学3年の3学期に、授業もお座なりの状況下
国語の先生が課題を出した。


「何だか受験の国語と比べれば簡単な問題、いや課題か。
サッサと書き上げますよ」
受験も終わったのでここぞとばかりに、文章だけ長い薄っぺらな作文を
提出した。
「提出しても誰に評価されるでないし、3学期の評点なんか関係ないよ
こんな作文、何で今頃出すんだろう」


数日後の国語の時間、その国語の先生が作文の寸評を下した。


「君たちは人生の大きな節目を経験したのに、こんな事しか書けないのか。
朝何時に起きましただの、誰と待ち合わせただの、受験勉強したのに情けない」



皆、神妙に聞いていた。


「〇〇さんの、この作文が一番です。すばらしいです」
先生が絶賛した作品は、クラスの中でも目立たない、静かな女の子の
作品だった。


先生が朗読したその作品は、受験の日の朝の緊張感を綴った作品だった。
作品最後の締めくくり。

「お母さんは「はい、お弁当。お握りと、受験に勝つようにおかずはトン勝つだよ」と言って私に渡してくれました」


はぁ、こういう事を書くのが大事なのか。
「自分の受験の時、弁当にトン勝つ入っていただろうか」

自分の作文とは全然違うな。


あんなに目立たない静かな女性が優等生を差し置いて、学年で一番取った。
やった、やったぜ、すごい、すごい。
今で言う「ジャイアント キリング」だ。


国語の先生は大絶賛していた。




数十年後、家のカミさんに聞いてみた。
「受験の時はやっぱりトン勝つ入れるのか」
「入れるよ。でも子供は何にも言わないよ、分かってないね。ハハハ・・・」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿