
雪のない時期の国道106号線
土地勘のない人のボランティア活動は甚だ危険である。
様々な報道を見ていると、阪神淡路や中越沖と同様に扱っているように見える。
在宅被災者には支援や情報が届かない、どうにかならないのか、というのは都会人の感覚だ。
決定的に地勢が異なる。
岩手三陸は、海辺の狭い平地に町が開け、広い山間地域に限界集落が点在している。
リアス式地形のため、狭隘な谷筋を川に沿ってうねうねと1本の道路が走り、谷の両側から急峻な山が迫る。
内陸から1時間車を走らせて、峠越えの前に、コンビニやガソリンスタンドが1箇所あるかないか。
「この先コンビニなし」などの広告がある、ここで買わなきゃ難儀しますよ、という意味だが、当然この時期は閉店している。
内陸部から沿岸地方への道中は難視聴地域が大半で、ラジオは道中の半分位は聞こえない。「緊急地震速報」など期待できない。
地震がなくても、時折、小さな
落石が、大きな音を立てて、ボンネットやフロントガラスを直撃する。今は余震が頻発しており、フロントガラスを割られることがないよう、プロテクトしておくべきだろう。
カーナビと道路標識が生きていれば沿岸まであと何キロか判るが、そうでなければ目安はウミネコだ。
川の上をウミネコが飛んでいれば、あと二十キロから十数キロで沿岸だ。
内陸部から2時間ほどでやっと目の前がひらける。沿岸に到達したのだ。
こういう土地柄で、支援の手を隅々まで行き渡らせるのはほとんど困難で、誰の責任でもない。
ガス欠などもってのほかだし、普通タイヤでスリップ事故を起こしても、助けは来ない。救急車は期待すべきでない。
この時期
冬タイヤでないと、雪のないところでも、道路は凍結はしている。
季節もよくないし、混乱しているし、土地勘のない個人や数人のボランティアが支援に入る適当な時期といえない。
(写真は岩手県盛岡市から宮古にいたる国道106号線 撮影時期は春)