Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 神楽はぼくの恋人 第5回

2011-02-25 04:18:43 | 日記
 雄一は広島に住み着いて、神楽との出会いを待った。
「人生に光が差した」
 心の底で雄一はこう思った。
「今までも表面上はスポットライトを浴びて華やかな人生を歩んで来たが、
「俺の人生はこれでいいのだろうか」
 と自問自答しながら生きてきたのだ。
「今からは自分の人生に納得して生きてゆける」
 こう思うのだった。
雄一は毎日お好み焼きの店に通って地元の人達と交流するのが日課となっていた。
 やがて広島の人々は、
「ロックギターの大スター、ユウイチは広島の女と恋に落ちて広島に住み着いたらしい」
 と噂するようになったが、雄一を見てどうこう言う事はなかった。
「みんな見て見ぬふりをしてくれていた」
 お好み焼きを食べさせる店で、
「神楽好き」
「大好き」
「どこで見るの」
「お祭りの時」
 こんな会話をする時、雄一は無常の幸せを感じるのだった。

コメントを投稿