Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 神楽はぼくの恋人 第6回

2011-02-26 08:27:28 | 日記
 雄一は広島市での生活にも慣れたある週末に、広島県安芸太田町の三段峡に出かけた。
(大自然が作り出した絶景である。ネット検索で広島県山県郡安芸太田町三段峡の写真を見ていただきたい。写真で見るだけでその美しさがよく分かる)
 雄一はあまりの美しさに声も出なかった。しばらくして、
「すごい、広島に来た甲斐があった。なんという絶景だ」
 こう呟くと、
「そうです、この三段峡は四季折々の美しさがあるのです。無限ですよ」
 地元の人が誇らしそうにこう言った。
「本当だ。この風景を見ると心を洗われる。この世に生きていてよかったと思う」
 雄一は自分の人生を振り返っていた。
そして、ロックギタリストとしての地位を捨てた事より、今から神楽を自分の恋人として生きる決意を固めたのだった。
「神は私に素晴らしい場所を紹介してくれた。本当に有難い」
 雄一は生きている喜びをかみ締めていたのである。
「山県郡安芸太田町は神楽の本場だ。更なる素敵な出会いがあるだろう。まず今日はこの三段峡の美しい風景を楽しもう」
 雄一の足取りは軽かった。

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