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自由気ままなな文学活動
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江戸の誘惑~The Allure of Edo

2006-11-22 | 博物館
先述の日記にも書いたのですけれども、ボストン美術館所蔵肉筆浮世絵展 江戸の誘惑~The Allure of Edoへ行って来たのです

学芸員の課程を履修する者、まして伝統あるK学院の博物館課程であり、日本近世史を専攻していて何らかの専門領域を持つのは必須だろうという考えも有ってか
去年から僕の中では浮世絵ブームでして、『北斎展』にはじまり『浮世絵美人画の魅力、『北斎と広重展』、『風神・雷神』、『伴大納言絵巻』と今年度に行った博物館や美術館はこういう部類を中心に鑑賞しに行きましたね

この展覧会は春先から日曜美術館等で注目されていた事も有り、浮世絵が1世紀ぶりにボストンから日本へ里帰りするという効果も有ってか平日にも関わらず混んでいたw
このような作品を一同に鑑賞できるのはボストン美術館とビゲローに感謝しなきゃならんですよ
ボストンと言えば、松坂・レッドソックス・フェンウェイパーク・ハマグリ入りのクラムチャウダー・大学が多い街ですが、それ以上にボストン美術館です!

浮世絵の国際性という面から考えると・・・
国際浮世絵学会 機関誌『浮世絵美術』
アメリカ浮世絵協会
浮世絵の海外への流出→19世紀後半から20世紀初頭の欧米におけるジャポニズム
マネ、モネ、ドガ、ロートレック、ゴッホ、ホイッスラーら多数の画家に影響
諸外国の主要な美術館・博物館・図書館に膨大な数の浮世絵が収蔵される。ボストン美術館には5万点の版画と700点の肉筆画
「美」による外交官的役割
海外における浮世絵の研究や浮世絵展、浮世絵関係図書の出版は今なお盛ん

鑑賞していて『北斎展』みたいに人の頭を見る事態にはなってほしくないという僕の願いはあっさりと吹き飛んでくが・・

人の頭が云々と言うよりも鑑賞していて感じたのは浮世絵もさることながら、欧米の博物館の学芸員のレベルの高さでした
北斎の提灯絵 龍虎・龍蛇を200年前の姿に修復する工程を写真という虚像からの情報で見ていても、歴史の重みや深みがそこから伝わってきたと言うのだろう
実に「博物館という機関は資料の展示・収集・研究をする場所である!」というパウエル教授の講義が頭の中に浮かんでくるのであるのでありました 当然の様にパウエル節が炸裂

本当は浮世絵に酔いつぶれて来ようと思っていたのですが、欧米の学芸員の姿を見てしまい、鑑賞後は入り口に逆戻りして展示の導線の持って行きかた、展示場所、浮世絵展示の光のルクスは本当にこれで良かったのか、まだ暗くしても良いだろうとか考え事をしながら歩いてみました
僕が思うには、展示品目は少ないけど場所を取るのが多いから少々狭く感じたという事でしょう
あれなら東博で広い展示場を使ってやるべきですね、と勝手にコメントしてみたり

そんでも、武者修行で外国の博物館で実習をしてみたいものです。日本では需要が少ない学芸員ですが外国の学芸員は需要が日本よりは多いし、博物館自体も財閥や地域から寄付を得るなどして基盤は充実しているから、学部を卒業したら武者修行に出かけるのも1つの手段だなぁと

話が本線から脱線しまくりでしたが、今回の展覧会は僕的には今年度の浮世絵の展覧会の中では1番だと思います人によって見方や鑑賞の仕方も色々有ると思いますが、行って鑑賞すれば色の彩美や美人画に魅了されるのは間違いないと言いたい

鳥山石燕の「百鬼夜行図巻」の現在確認されている1本を観たときには「この巻物に閉じ込められても良い!」と妖怪好きの僕にとっては感激モノでしたね

今日は非常に有意義な1日でした、明日はラフマニノフとベートーベンを聴きに出かけてくるとします


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