今年も振り返ってみると、前年10月から4半期ごとに飼料の値上がりが一年も続いたものの、豚価はSGにそれこそガ-ドされて、それほど苦しさを感じない一年だった。 その影響か、養豚経営を廃業した農家の豚舎を借りるケ-スが増え、あちらこちらで空豚舎のなくなる現象がみられる。国際競争にさらされているわが国内養豚業は2000年時代に向かっての技術革新を確立する準備を迫られている。 省みると、平成7年12月5日の日本農業新聞に大枠の字で、「探れ豚肉輸出国の戦略」とあり、アメリカとデンマ-クの専門家の意見が掲載されていた。技術革新で急成長をしているアメリカの姿と、生産からと畜場まで組織化したデンマ-クの総合力が印象的であった。 全米養豚生産者協会(NPPC)研究部長ロドニ-・グットウィン氏要旨。「過去は何らかの枝肉を生産すれば、誰かが買ってくれたが、今は新しいプレ-ヤ-が参入し、古い生産者は倒産することになる。新しい人は昔と違った方式で養豚に取り組み、市場スペックに対応した新しいマ-ケティングのやり方も出ている。マルチサイド方式で病気をコントロ-ルし、生産コストも大きく減少している。呼吸器病さえ制御できれば、他の病気は問題ない。いろいろな技術が導入され、子豚数を増やすのでなく、育成の方法を変えることが収益を上げている。 向こう10年で世代交代が進み、新しい技術と知識を持った新しい人が担うようになるだろう。」 デンマ-ク改良豚販売・輸出促進協議会(SEA)副会長ベア・キルケテルプ氏の講演要旨。「生産から販売が組合方式であり、農場数は過去20年で大幅に減った。合理化と専門化が進み、大規模で効率的な農家が残っている。 生産コストではアメリカに負けるが、母豚当たり子豚生産頭数、飼料効率、増体重はデンマ-クが非常に良い。引き続き効率を改善し年間生産頭数を増やし、飼料効率を上げる。また、得意とする分野、半加工品の輸出などに力をいれていく・・・」。 日本の養豚経営に対する考え方は、アメリカよりもデンマ-ク式の考え方に近いようである。 活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スは、肺炎をはじめとする豚特有の疾病の予防や免疫賦活作用を高め、とくにワクチン接種の効果は、抗体価の数値が高く上がることでも納得できる。子豚生産頭数も母豚当たり年間20~24を指標として揚げており、育成率も、離乳時頭数でなく、出荷頭数で示すと明言している。 現在、日本の豚は飼料要求率とか増体重と平均化されるまでに品種改良は安定していると推察される。また、飼養管理面でも、養豚農業経営者のほとんどは、レベルの高い人達が残っていると思われます。 欠点は、その技術的な思想がマンネリ化して手抜きが生じ、思わぬ失敗が疾病となって噴出してくることと考えられる。何事も初心を忘れず、基本を積み重ねることだろう。 食品衛生法に基づく規格食品群39品目のなかで、乳酸菌、酵母菌、麹菌の3菌しか使用許可されていない。変な菌に惑わされないのも2000年時代への出発点である。
天高く馬肥ゆる秋となり、柿赤くなって医者青くなると、諺が自然に囲まれ季節のまわるのに順応した表現が、遠くなつかしく感じる。現実はそんなやさしいものではなく、これから寒くなると、豚の伝染性胃腸炎または豚流行性下痢と、いずれも恐ろしい疾病が心配になる。片やTGE、そしてPEDと呼ばれており、その被害は子豚の下痢死亡である。哺乳豚は生後1~7日で一腹全頭が水様性黄白色の下痢のため脱水症状を起こして衰弱し、日齢の早いものは3日以内の発生豚は死亡するか予後不良が多い。母豚の泌乳減少・停止により、下痢をきたすことなく衰弱死する場合もある。 肥育豚では下痢が主徴である。 母豚は農場によっては、分娩後食欲減退・停止を示すものが見られる。子豚の下痢のみで母豚は無症状で経過する農場もある。 PEDによる子豚死亡率は平均50~80%で、その影響力の大きさはTGEとほぼ同程度である。 近年、オ-エスキ-病、PRRSなどの複合感染で、病態が変わって発症している例もある。罹患してからあわてず防疫衛生の基本対策を徹底してやることが大切である。温度管理、湿度、子豚が水様性下痢で濡れるため乾かしてやるのも効果が大きい。 とくに豚の腸管感染症、TGE、豚ロタウイルス感染症、PEDと似たような感染症がある。今年は人間界でも一連のO157その他の大腸菌感染症が出て、農畜産物の一部流通がダメになるほどの被害が出た。自然環境の変化で今までは存在していても発生できずにいたものが、活動できる環境になったのだと思われる。 要は、腸内細菌叢を強健にすることが第一と考える。 活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スは、腸内細菌を活性化し、消化能力を高め、代謝作用を促し、その結果、免疫賦活作用を強力にしてワクチン接種の効果を高める。 当然、代謝機能を活性化してその他の抗病性はもとより、発情再帰にもはっきりと結果を現す。 環境衛生に問題が多く、悪臭もあるような農場は、病気の発生ばかりでなく、経営も良くないと見られる。 気温が下がり寒くなると、先に述べた胃腸炎が発症しやすくなる。10月は中旬頃、TGEのワクチンを接種する。通常2回実施する。せっかくのワクチン接種も、抗体価が上がらなければ発病する。 以前にも本誌に掲載したが、ワクチン接種の効果が見られなかった農場で、活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スを投与したところ、投与前と投与後の差がはっきり認められたことから普及が始まり、今日に至っている。 今年は健康食品として豚肉がクロ-ズアップされ、各方面にその実績が評価された。とくに、豚肉にはビタミンB1が多く含まれており、長寿地帯と言われる地域の人々は豚肉を好んで食べていると、嬉しい話題だった。 300以上ある銘柄豚も、銘柄のみに終わらず、活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スを利用した年間ワクチネ-ションプログラムとの二本立てとし、環境基盤整備では農場の石灰散布消毒殺菌剤はホルムアルデヒド製剤のクルタグリ-ンの二本立てとし、肺炎などにも万全の態勢を敷いてほしい。 これを繰り返していると、SPFとは別の衛生ド-ムができ上がる。
養豚農業経営にとって、8月~9月は年末と言える。それは、種付けを成功させ、来年1月分娩に向け毎年計画しているからである。肉豚出荷のピ-クを5~6月とすることが、経済技術の基本である。 飼料も昨年10月より4期連続して値上がりし、この先もまだ上がる覚悟が必須の見通しである。全国的に豚の頭数も少なくなり、今こそ繁殖成績を上げて養豚農業経営の底力を示す時だろう。活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スは、発情を鮮明に示すため種付けが容易にでき、また、離乳後の発情再帰も5~6日と、さらに種付け作業の計画を向上させる。発情がはっきり判れば、産子数の増加にもつながる。さらに、妊娠豚の胎児で活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スの感化を受けているため、子豚も非常に強健な状態でうまれる。 分娩時の子豚体重1.5kg以上、分娩3日目にマクロビン、鉄剤を確実に投与。28日離乳時体重7.5kg以上、離乳時子豚生存率96以上、離乳後6日種付け90%以上。60日齢体重22kg以上が標準となる。 親豚の飼料給与は、分娩当日ゼロ、2日目1kg3日目2kg、4日目3kg。経産豚は、5~7日以降7kgを限度として不断給餌でゆく。 繁殖豚の管理面で気をつけることは、交配後2週間以内の飼料給与量を2kgに減らすこと。受精卵の杯の発育中止が産子数に影響する、交配後13~21日の間が受精卵の着床する時期だからである。 妊娠中期になれば、飼料の増飼いをする。ここでは質も考える。4週間目、休息豚舎では充分日光を入れるか、16~18時間の点灯をする。数頭の繁殖母豚を同時離乳、オ-ルアウトを実施し群飼する。離乳当日24時間は飼料と水を停止する。離乳後は思いきって増飼いし、フラッシングを行う。 以上が、活性酵素食品ゴ-ルデンエ-ス使用に伴う飼養管理の方法であり、とくに大型種の豚、ハイブリッド豚を考えた目安として普及してきた。 配合飼料の値上がりで、各地で自家配を使っているが、とうもろこしの割合は65%以内とすること。多いと亜鉛欠乏となる。 活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スは、大豆で作ってあるため、アミノ酸も18種揃っており、ビタミン類もB1としてサイアミン、B2としてリボフラビン、B6とあり、その他、微生物として酵母菌、ビフィズス菌、乳酸かん菌、乳酸球菌と充実している。これらが動物の体内に摂り入れられ、動物の生理的機能によって、生産性を高め、更には抗病力が強く、とくに免疫賦活作用の働きを活性化し、肺炎はもとより、以前にも述べたように周辺にオ-エスキ-病の発生をみても発病しないことなどの効果が認められる。また、ヘルペスも怖くないとのタイトルで発表したくらいだ。 自然の良いものの組み合わせが、これらの厳しい日本養豚の高度発展には必要である。昭和30年代から、家畜の大型化が進んだ。 乳牛はトル-タイプ600kg、豚はランドレス、大ヨ-ク等、大型生物はエネルギ-を求める。 日本の畜産は、タンパク飼料を理想としてきた。今からは、中ヨ-クも考えてよい時代が来る予感もする。
畜産経営環境の保全に対して、その現状分析と対策が必要な季節となった。本来年間を通して実施する必須条項だが、夏となると毎年急に目立って問題となる。 とくに、養豚が37%で最も多く、次に乳用牛が32%、鶏が19%、肉用牛が11%の順・・。これは畜産経営に起因する水質汚濁、悪臭などに対する地域住宅からの苦情件数で、平成7年における2520件の内訳である。各畜産とも悪臭関連が最も多く、全体の約60%に達していると言われている。養豚場の近くで悪臭があるところは経営も悪く借金に苦しんでいると想像しても過言ではない。また、豚の事故率や斃死も多いと言える。苦情のある豚の病気も年ごとにモデルチェンジしてその対応が大変である。やはり、疫学的考察で実行しなければ、悪臭問題、水質汚濁、豚の疾病との関係は断ち切れないものと決めていただきたい。4月には豚流行性下痢(PED)が関東に北上し、千葉県、茨城県とその発生の噂が聞こえた。今までの発生と違って、複合症状あるいは混合感染と言うのが、単純ではない症例が多くあるように感じる。表にでないまま水面下で拡がっている気がするのも私ひとりではないと思うのだが・・? SPF豚肉は5つの疾病から隔離した原種豚を土台に生産したもので、①マイコプラズマ肺炎、②豚赤痢、③AR、④オ-エスキ-病、⑤トキソプラズマ病が対象疾病であり、いずれも臨床症状がないことが条件の一つである。「清浄豚」「無菌豚」などと表示し販売されているが、全く病原がないわけではない。 活性酵素食品ゴ-ルデンエ-ス添加によって、豚の腸内細菌叢が変化し、ふんの色が変わり、悪臭がほとんどなくなる。その状態が認められると、豚の生理的働きに変化が起き、発情再帰が観察され、種付けができるようになる。そして免疫賦活作用が活発になり、肺炎様疾病がなくなり、抗生物質の使用が不要となり、ワクチンプログラム実施の成果が確実になる。産子数も増え、一腹10頭以上で、育成率もよく、当然、肉質も上物率が高く、枝肉共進会でも上位入賞となる。周囲にオ-エスキ-病などが発生しても発病しない等、これが15年以上も利用されている理由である。 活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スは、大豆本体を原料とし、食品衛生法に基づく菌種として、麹菌、乳酸かん菌、乳酸球菌、パン酵母菌で作られており、(財)日本健康栄養食品協会から認定されている。当然、人間にも食べられている。 薬品ではなく、食品でありながら、その効果に、目を開く結果ができるのが、科学の奥の深さと言うべきか。活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スは、これが万能ではなく、養豚農業経営に利用する時は、毎回のように訴えているように、豚舎内外の石灰や仮性ソ-ダによる環境整備が基本となる。さらには、現在のような得体の知れない疾病の予防を考えると、消毒薬も研究すべきだ。時代に合った殺菌消毒薬グルタクリ-ンは、とくに豚由来ウイルス効果が認められる。北里大学衛生学教室と私のところで試験もしてあり、獣医学会にも発表している。ヤシマ産業(株)製造で、販売は日本全薬工業(株)扱いとなっている。 養豚農業経営を成功させるには、無駄のないきちんとしたものと、環境衛生に対する思想の「双刃の剣」が必要である。
日本の養豚は国際競争にさらされているが、国産豚肉が輸入物と質が違う点を示すことが生き抜く経営の必須条件である。当然、消費者が納得できる豚肉特有の食味を忘れず、あくまで商品用の豚肉を低コストで作らなければならない。養豚経営の技術は、近年かなり改善され、繁殖回転率、飼料要求率、上物率等の改善が認められる。しかし、疾病事故が増えていることも見逃せない。子豚は、数も生まれるが途中でダメになるとの声も、あちら、こちらで耳にする。とくに、設備が充実し、ガスヒ-タ-を使うようになってから、夜中の分娩豚舎の巡回をしなくなったことをその一因と指摘する向きもある。保温箱の時代から、温度の測定の習慣もなく新しい設備に安心して任せる時代となっても、管理を怠っては失敗する。 生まれた子豚の求める温度は35℃で、翌日以降2℃ずつ下がり、生後8日目で21℃が適温で、これが体重30~60kgまでは18℃が必要である。60kgから出荷までは13℃が豚の求める温度である。生まれた子豚は、人間の赤ちゃんと比較すると未熟児の状態である。 豚特有の生理的な変化がある。その一つとして、生時500万の赤血球数が350万に減少する生理的貧血がある。また、抗体も移行抗体として初乳から獲得するが、もらいものなので次第に失われ、25~30日齢あたりで僅少となり、あとは自力で抗体を蓄えなければならない。 貧血予防に鉄剤を利用するが、その生理値は変わらないといわれている。むしろマクロビンを使うと、子豚のバラツキがなくなり、早発性下痢症の予防にはっきりと差が現れる。マクロビンはタンパク同化作用を有するものとして臨床的に効果が認められており、子豚育成の必須条件である。移行抗体消長から考えて、免疫賦活作用を高め、疾病の予防を豚が自力で行える体質を作っておくことが大切であろう。 活性酵素食品ゴルデンエ-スを母豚を通して感化させ、生後は子豚に投与することにより、ワクチン接種後の抗体が上がり、その効果がはっきりわかる。 豚舎を巡視して、人の動きで豚が起き、あちら、こちらで咳があれば、肺炎を疑う。また、鼻の穴がホコリで黒くなっているか、アイバッチがないか、体表に発疹やスス病がないかと観察することも大切である。 一日の管理作業が終わり、豚舎を一巡して注射しながら歩くようなことでは、良い経営とは言えない。噂によると、豚丹毒で育成豚が数百頭も斃死した生産者も、一戸や二戸ではないようだ。また、肝臓廃棄全頭など、自衛手段のないような事例もたくさんあるようだ。 要点は、豚の赤信号を早期に発見することである。また、体温計を活用することである。そして、必要な薬剤を常備し、消毒は徹底的に実行する。坪当たり、石灰5kg散布。豚舎周辺、舎内は石灰乳または3%の苛性ソ-ダ液使用。もちろん、一般の消毒剤も有効に活用できる。 疫学とは、主に統計調査に立脚し推理を交えて公害病などの原因と結果の因果関係を突きとめようとする学問で、足を使って調査する仕事である。疫学=エビデミオロジ-をキ-ワ-ドに。