多くの養豚農業経営は、家族労働経営です。その基本になるのは、一腹年間20頭以上の肉豚を出荷することで、これが一つの指標になります。 そのために必要なのが、環境を疫学的に整えることです。豚舎周辺には一坪当たり五kgの石灰を散布し、また、豚舎内は水洗い後、石灰乳を床全面と高さ1m60cmにわたり塗布します。これを6ヶ月に一回励行することが、疫病減少の効果が認められます。 反対に豚舎の周辺が臭うのは論外で、何をやっても効果はないことを覚悟しなければなりません。これができないようでは、悪臭公害の巣と言われても仕方がないでしょうし、ひいては、経営においても赤字転落の兆しと見るべきです。 さて、豚舎の環境整備も大切ですが、豚の体内の整備も非常に重要な問題です。 豚には、高度な栄養価を持つ配合飼料を給与しますが、これはいわゆる高タンパク質、高カロリ-に設計されています。これら、特にタンパク質は、豚の消化能力をフル活動しても消化しきれず、腸管内でアンモニアや態窒素となり、排泄されるふんが臭う原因となります。 体内でアンモニアや態窒素が発生すると、体が酸性(アヂド-ジス)となり、唾液の不足や、腸内細菌叢の非正常化を引き起こします。その結果、消化機能が弱まり、免疫作用も弱くなってしまいます。これではせっかくワクチン接種をしても効果が現れず、疫病が発生するのも当然です。「豚舎が臭いということは、病気の巣と思うこと」。そこで、腸内細菌叢を健全に増進させるために、活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スが必要となるのです。 食品衛生法に基づく規格食品群39品目の中で実際に使用が許可されているのは乳酸菌、酵母菌、麹菌の三菌のみです。三菌以外の菌に惑わされないことも、二一世紀に向けての出発点なのではないでしょうか。 活性酵素食品ゴ-ルデンエ-スは、豚の生理機能を活性化させ、特に肺炎がなくなります。また、発情再帰が早く、しかもしっかりとわかるようになり、分娩子豚数が増え、育成率が上がるなどの効果がみられ、肉豚出荷が安定し、ひいては経営を安定させる基礎となります。 現在はあまりにも情報や選択肢が多過ぎます。いざ選択しなければならない時に、ついあれもこれもと手を出し、結局は元の木阿弥となってしまうこともあります。しかし養豚農業経営は、計画を建てたなら、一歩一歩積み重ねることが大切なのです。 養豚経営歴が長いからといって、ベテランとは言えません。自分の信念もなく、他人の見よう見まねや、よいところだけを猿まねしようとしても、結果は今までと少しも変わらないとの声を聞きますが、先輩諸兄がちゃんとした経営を見せれば、いくらでも後継者は続くものではないでしょうか。 養豚の世界は、豚価がよくなったといっては喜び、低価格になったといってはがっかりして、豚の数もそれにつれて増えたり減ったりと同じことを繰り返しているように思われます。こうしたことは大体、半年周期で推移しているようです。 私は、これからの養豚農業経営は、飼料作物のことなども考えて、自然方式、特に弥生式養豚などもいいのではないかと考えているこの頃です。
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