傘を持つ女

明日天気になあれ

見知らぬ人にお菓子をもらってはいけません(2)

2006年02月20日 | 傘のまわりで
なんかボーゼンとしたが、どうもこのオバサン久々の遠出(しかも同窓会)だったのに、出掛けにダンナがちょっと機嫌が悪くて心中乱れてしまい、どうしても誰かにぶちまけたかったのかな~?と察した。

私「でも優しいご主人ですね。こんな服着てとか髪型こうしたらとか、奥様思いの旦那様なんですね」

いえ正直な気持ち。この素直なオバサンは旦那さんに支えられてこんなに可愛いんだろうな~と思ったので。ところがこの一言が、オバサンのツボにバッチリはまったらしい。

「そう?そう思います?あなた。実はそうなのかも知れないわ。嬉しいわ、そんなこといわれて。出掛けにいろいろ言われて、せっかく40年ぶりの同窓会なのに、やっと外に出られるようになったでしょ?だから気持ちががーっかり。もう前から準備していたのに、その服はヘンだって言うから。でもあなた存じ上げませんけれど、そう言ってくださって。そうだわ。(がさごそ紙袋の中身を座席に並べ始める)これね、新宿タカノの生ケーキなの。大阪まで新幹線でもって行ってたら悪くなっちゃうから、あなたに差し上げます。今日中に食べてね。」

私「えー?困ります。そんな見ず知らずの方に、頂けませんよ。同窓会で皆さんで召し上がったらいいじゃないですか」

「あら?私のこと怪しい人だと思ってます?無理ないですよね、私怪しいものじゃなりません。(バッグの中から同窓会の案内と思われる封筒を取り出す。住所と名前が書いてある)ほら私こういう者なんです。児童教育の学校を出たからその関係なの」

私「あら?私も保育士なんですよ。今から手作りおもちゃの講習会に行くんです」

「あらー?偶然だわ。そんな感じの方かしら?と思っていたの。じゃ、あなたにこれもあげるわ」

そう言ってもうひとつの紙袋を開けると、何とその大きな紙袋の中身は全部まつぼっくり!

私「え?まつぼっくり!!!」

「これはね、クリスマスにリース作ったり、いろんなもの作れるのよ。あなたいる?キレイでしょ?だって石川県輪島市のまつぼっくりなの。東京のはだめ、こんなきれいなの探してもないから」

私「私、まつぼっくりでいろんなもの作るんです。なかなかたくさん落ちているところがないんですよね」

「東京で探すならね、神宮内苑。一番奥よ。一日に二回掃除するからその直前に拾いに行くの。もう一箇所は後楽園。そこのまつぼっくりもいいから。覚えておいてね」

私「ハイ!」

「突然話しかけてごめんなさいね。でもあなたに会えたのは運命的なものを感じるわ。本当に有難うございます。(と両手を握ってブンブン上下に振られる)私の話を聞いてくださって有難う。まつぼっくりの価値が分かる人に貰ってもらえてよかったわ」

私「いえいえ、こちらこそ。こんなにたくさん頂いて。ちょっとびっくりしましたケド。有難うございます。」

ということで、私が先に電車を降り振り返ってみたら、オバサンは両手を高く振って振ってニコニコ顔で「ありがとー」と叫んでおられた。

結局ケーキとまつぼっくりの他に、何かの種、使い捨てマスク(未使用)、まつぼっくりを講習会の皆で分けるためのスーパーの袋多数、ティッシュなどなど紙袋二つ分もらってしまった。
講習会で仲間とケーキの箱を開けたら、なんとケーキではなくてチョコレートの詰め合わせだった!(大丈夫か?おばさん)みんな大笑い。
まつぼっくりは、みんな喜んで持って帰りました。(さすが!)

家に帰ったら息子達に叱られました。
「ママ、知らない人からチョコレートもらったらいけません。付いていったらだめだからね!」

見知らぬ人にお菓子をもらってはいけません(1)

2006年02月20日 | 傘のまわりで
昨日、おもちゃのイベントの手伝いに行くため電車に乗ろうとしていた時、同じドアに見知らぬおばさんが後ろから走りこんで来た。バッグ斜めがけ両手に振り分け大荷物のド迫力だ。
なんとなくそちらを見たら、バチッと目が合った。
するとそのおばさんが軽く会釈したので、こちらも目礼を返した。
…と、そのとたん、その見知らぬおばさんが猛烈な勢いでしゃべり始めた。

「あら~私もそんな色のコートを着たいと思っていたの。(ちなみに私はサーモンピンクのダウンコートを着ていました)あ、でも私くらいの年だったら、自分が着たいと思っていても派手すぎるかしら?(いえ?そんなことはないんじゃ~?)今日はね、実は同窓会に行くの。いえね、同窓会って言ってもそんなに固い会ではなくて恩師を囲む会で。卒業してもう40年たつでしょ?(し知りませんがっ…)だからやっぱりスーツ着なきゃ、って思ったんだけど、寒いでしょ?下は会場で着替えようと思ってスラックスなの。そしたら主人がね、そんな格好で同窓会なんか行くな、みっともないって…たぶん同窓会で家を空けるのが面白くないのかしら…そんなバッグもやめろって言うから、こっちがね(紙袋の中身を見せてくれる)私の好みのバッグなの。今持ってるのがね、主人の好みで。家を出るときは主人の好みの持ってなきゃね、機嫌が悪いから…でも、スーツは白でしょ?だからやっぱり合わないわよね?」

この時点までは、このおばさんは私を誰か知り合いと間違ってしゃべってるんだな、人違いですよ…と思っていた。ところがすぐに、このおばさんは見知らぬ私に話してるんだ!と気付く。

「ごめんなさいね、突然知らない人に話しかけられたら驚くわよね?でも、あなたのコート素敵だなって思ったの。でね、去年まで私入院してたから髪も短くしていて、主人が病院の看護士さんの中に素敵な髪型で外巻きカールの人がいる、って、オマエもあんな髪型にして来いって言って、パーマにしてみたの。こんなふうに、ちょっとかかりすぎてない?(すてきですよ。似合ってらっしゃいますが)」

この時点でもう駅を4つほど通過していた。
席が空いたのでおばさんが座り、私にも隣に座るよう促す。
(次回に続く)