二次創作
宇宙戦艦ヤマトreborn
第四話
大気汚染の状況から、どの科学者や研究者の意見も、地球人類がこのまま生きてゆける時間は、一年間以内との見解を示していた_。
「藤堂長官。もう、ここまで来たら、あのイスカンダルの女性サーシャさんを信じ、彼女をイスカンダルへ送り届ける。これが最善だと、儂は思う。」
「未だに"ワープ航法"の研究はされてはいるが、それを実現した事はない。」
「だが、彼女サーシャさんの乗って来た宇宙船はそれが可能で、我々は彼女を送り届けるという約束で、彼女の宇宙船のエンジンを譲り受けた。」
「だからこそ、儂はコレ(ヤマト)に賭けてみたいのだ。」
「いや、賭けてるしかないと思う。」
「彼女の話では、地球を再生する事が可能なものが、イスカンダルには存在するとも言っている。」
「ならば、儂は、尚更の事…」
「沖田中将。話の腰を折るようで申し訳ありませんが、」そう切り出したのは、技術将校の真田であった。
真田は、完成しただけで、何一つテストもしていない事を理由に、最低でも、あと一ヶ月はイスカンダル行きを待つべきだ。と主張した。
「私も沖田提督。真田少佐の意見に賛成だ。」
「せめて、まだ人類が成し遂げた事のない"ワープ航法"だけでも、テストするべきだ。」
「イスカンダル行きはそれかでも、ギリギリだが間に合うと思うが。」
「長官。それと真田少佐。お二人のご心配に成る事は、十二分に承知している。」
「だが、テストは航海しながらでも可能だと儂は思う。」
「提督。万が一の時、どうなさるおつもりですか?」
「サーシャさんから提供された今の地球では造り出す事が出来ない"波動エンジン"を失うのです。」
「無論、テストが100パーセント成功するとは言えませんが。」
「ならば、テスト初日に波動エンジンを失う可能性も、否定出来ないという事でもある訳だ。」
「航海しながらのテストと変わらんと、儂は解釈出来るが。」
そんな真田と沖田のやり取りに、オブザーバーではあるが、波動エンジンを提供したサーシャが、意見を述べた。
「サナダ。ワタシが提供した波動エンジンはワープに失敗した記録がナイ。」
「サナダは、自分が設計したヤマトに自信ヲ持てない!?」
「自信が無い訳ではない。ただ、」
「もういいわ。ワタシに波動エンジンを返すか。ヤマトで航海にデルか。トウドウさん。決めてクダサイ。」
「…サーシャさん。」
「真田君、ここは一つ、ヤマトを預ける沖田提督に協力をして欲しい。」
「一日も早く、イスカンダルへの航海は私も望んでいる。」
「……解りました。」
「サーシャさん。ご協力に感謝致します。」
「ですが、あと2日、ヤマトの抜錨は2日後という事で、どうだろうか。」
「最終準備の時間に2日必要なのだ。」
「ワカリマシタ。あと2日待ちます。」
「沖田提督も了承して貰えるかな?」
「分かりました。」
こうして、宇宙戦艦ヤマトは2日後、年明けの西暦2199年1月1日に抜錨する事に成った。
藤堂が2日後にしたのには、訳がある。
即戦力として投入出来る帰還した残存艦艇を護衛にと考えたからだ。
その艦艇の準備に2日必要なのだ。
護衛艦艇としては、ミサイル駆逐艦六隻と高速巡洋艦二隻の計八隻を護衛として、火星軌道まで随行させるとした。
ー西暦2199年1月1日ー
この日、華々しいパレードも、見送る家族もなく選抜されたクルーたちは乗艦を済ませ、抜錨のときを待った。
だが、先の冥王星沖会戦で基地の一部を破壊されたシュルツは、怒りの矛先を地球へ向けた。
新開発された惑星間弾道ミサイルを報復として、地球へ射ち放っていた。
「沖田艦長。ガミラスの超大型ミサイルを偵察衛星がキャッチした。」
「おそらく奴らの報復だろうとの見方が強い。」
「抜錨を急いでくれ。」
「此方では火星軌道までの護衛にと、八隻の艦艇を出撃させたが、衝撃砲搭載艦艇は無い。」
「超大型ミサイルを破壊出来るかは不透明な状況下だ。」
「了承しました。」
「直ちに抜錨に入ります。」
映像通信を終えた沖田はレクチャーを中断し、宇宙戦艦ヤマトを抜錨させた。
「徳川機関長。エンジン始動だ。」
「島航海長。船体を起こせ。」
「古代戦術長。第一から第三主砲の射撃準備を急がせろ。」
「了解。」
艦長に就任した沖田の命令が下され、艦内は慌ただしく動きはじめた。
機関区では補助エンジン始動マニュアルを手に手順を追うクルーたち。
第一主砲塔、第二主砲塔、第三主砲塔内では、初弾発射準備に入った。
陽電子エネルギーと波動エンジン内で精製される波動エネルギーが融合して、初めて"ショックカノン"として撃つ事が出来る。
だが、まだ補助エンジンに火が入ったばかり、波動エンジン始動までは、もう少し待たねば成らない。
「陽電子エネルギー!波動エンジンへ注入開始!」
「エネルギー充填12パーセント!更に上昇!」
「補助エンジン、回転数6.200から8.000へ!」
「波動エンジン内、エネルギー充填40パーセント!」
「補助エンジン回転数8.000から12.000へ!」
補助エンジンに火が入ってから二分が経過した。
◆
【太陽系連邦艦隊高速巡洋艦プリンツ・オイゲン】
※宇宙戦艦ヤマト護衛艦隊旗艦
「射線上に超大型ミサイルを捉えた!」
「護衛艦隊全艦に告ぐ!目標を捉えた!一斉射撃準備!」
「二番艦、準備よし!」
「三番艦、準備よし!」
「・・・七番艦準備よし!」
「司令!全艦、射撃準備完了!」
「うむ。」
「全艦!一斉射撃てぃーーーッ!!」
「…3.2.1初弾全弾及び対艦ミサイル、着弾!!」
「……目標の超大型ミサイル、健在!」
「……18本の対艦ミサイルとプラズマ粒子圧縮ビーム弾10発がまるで効かない…だと。」
「…全艦!超大型ミサイルとの距離を詰めろ!至近距離が撃ち込む!」
「全艦!二射目準備ッ!!」
「司令!超大型ミサイル加速!」
「砲撃、間に合いません!」
「目標の超大型ミサイル大気圏に突入した!」
「くっ!ヤマトに連絡を!」
◆
「波動エンジン内、エネルギー充填112パーセント!」
「波動エンジン始動まで、あと20秒!」
「…波動エンジン内、エネルギー充填120パーセント!」
「波動コアの起動を確認!」
「うむ。」
「波動エンジン始動!!」
「艦長!護衛艦隊旗艦プリンツ・オイゲンより、入電!」
「我、超大型ミサイルの破壊に失敗。ヤマトの健闘を祈る。」
「古代!ショックカノン撃ち方よーい!」
「目標!落下して来る超大型ミサイル!」
「目標!射線上に乗った!」
「全主砲、一斉射射撃=ショックカノンてぃーーーッ!!」
ヤマトは間一髪のところで惑星間弾道ミサイル=超大型ミサイルを撃破する事に成功した。
「これが…これがショックカノンの威力なのか…。」
呟くように古代は言った。
「そうだ。これがヤマトだ宇宙戦艦ヤマトだ。」
「イスカンダルから技術供与された事で、今までの宇宙戦艦とは桁違いの艦(ふね)それが、宇宙戦艦ヤマトだ。」
イメージ曲【space.battleship.yamato】より、引用。
宇宙戦艦ヤマトは抜錨した_。
人類滅亡まで、あと360日。
◆
第五話へ
つづく。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。石津嵐氏小説版や松本零士氏のコミック版、2199等を私的に再構築した《宇宙戦艦ヤマトreborn》です。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト》の二次創作です。
つづく。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。石津嵐氏小説版や松本零士氏のコミック版、2199等を私的に再構築した《宇宙戦艦ヤマトreborn》です。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト》の二次創作です。