鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第八話

2019-10-17 22:25:21 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第八話(最終話)


地球連邦防御軍の追撃を振り切り、ストレイガー都督の操るカラクルム級は、小笠原海峡へダイブ、深く深くと潜る。

カラクルム級がダイブすると同時に砲撃を中止させた真田は、ソナーの代わりに空間レーダーで捉えられるだげ、捉えようと試みた。

「どうだ?カラクルム級を捉えられそうか?」

「……ハイ。何とか深度600メートルまでは、捉えましたが、どうやら更に沈降したもよう。」
「圧壊までは確認出来ませんでしたが、このまま沈降すれば、おそらく深度800~1.000メートル辺りで圧壊でしょう。」

「……うむ。」
「レーダー士。無理を言って済まなかったな。」
「警戒を厳とせよ。」
「急浮上しないとは言い切れんからな。」

「了解。」

真田は指示を飛ばすと、通信士に新見の研究、解析室へホットラインを繋ぐよう命じた。

「大佐。駄目です。」

「駄目?」

「ハイ。幾らコールしても繋がりません。」

「……分かった。切ってよし。」

膠着状態が続き、一時間が過ぎた__。

「浮上した様子も伺えない……。」
真田は顎の下に軽く握った拳をあてがった。
ただ単に、一時的に何かの拍子に回路的なものが繋がり、暴走したのか?
研究、解析中、誤って暴走させてしまったのか?
どちらにしても、暴走した事には代わりはない。

深海をゆくカラクルム級。
一時間で約半分の4.500メートルをダイブした。
残り一時間強で目標の海底だ。
あの世とこの世の境目、高次元と呼ばれる特異点空間。
目標の核(コア)が、その入りであり、出口だ。
今回のミッションで消え去ってしまうかも知れない。
このまま、存在し続けて欲しい気持ちと、消滅して欲しい気持ちが、交互にガーランド大尉の頭の中を駆け巡る。

「ストレイガーだ!聴こえるかガーランド大尉!」
「今、着底した!」
若干のノイズは入るものの、概ね感度は良好だ。

「聴こえる!聴こえるぞ!ストレイガー都督!」

「宇宙より真っ暗な場所に感じるぞ!」
「ただ一部を除いてな。」
「こんなちっぽけな場所だったのか?高次元とやらは。」
「だが、サーベラー様の彷徨う感応波は、かなり増大しているようだ!」
「我れの感応波に共鳴しているのだろう!」

顎の下に軽く握った拳をあてがっいた真田は、月軌道上に人工的に運び込まれ、改造された小惑星基地イカルスに、緊急回線を繋ぐよう、通信士に指示を飛ばした。

「大佐。イカルスの桐生中尉と回線、繋がります。」

「うむ。」

「此方、洋上にて試験航海中の真田だ。」
「桐生中尉。アレを使う。」
「発射体制に入ってくれ!」

「真田大佐。アレはまだ試射もまだ行われていませんが。」

「分かっている。」
「緊急時なのだ。試射を兼ねて今、発射しなければならない事態なのだ。」

「ハッ ハイ!分かりました!」
「サジタリウス起動します!」

「うむ。桐生中尉。今から座標を送る。」
「1mmたりとも間違えるな。」

「……真田大佐!座標までの射程距離が足りません!」

「大丈夫だ!!桐生中尉、サジタリウスのリミッターを解除するんだ!」
「解除すれば、最大射程内に余裕で収まる!」

「ハッ。ハイ!」
笑顔を浮かべ桐生は返事を返した。

「超量子粒子レーザー"サジタリウスの矢"を起動します。」
「超量子粒子チャージ開始!」

小惑星基地イカルスに造られた防御用レーザー砲。
最大射程400.000キロメートルのロングレンジ攻撃が可能な防御兵器である。
只し、連射は可能なのだが、速射が出来ない。
レーザーエネルギーをチャージしなければならない。
その為、桐生は真田の指揮の下、チャージ時間を短縮する為の開発中である。
現在、開発、試験中の為、最大射程をリミッターにより300.000キロメートルに絞っている。
これでは月軌道上に存在する小惑星イカルス基地から、小笠原海峡に潜るカラクルム級までは、およそ384,410 キロメートルである事から射程距離が足らないのだ。
その為、破損する可能があるが、真田はリミッターを解除させたのである。

「超量子粒子レーザーエネルギー、チャージ完了!」
「サジタリウス送射ッ!!」

小惑星イカルス基地から真一文字に蛍光ピンクに輝く、超量子粒子レーザーが小笠原海峡の海底、コスモリバースの核(コア)を目掛け、突き進む。

だが、真田の指定した座標では、阻止する事が出来なかった__。
真田の送った座標は正解なのだが、海流、即ち"潮"の流れを計算に入れ忘れた真田の焦りが、誤差を生じさせてしまったのだ。
僅かに屈折され、着弾してしまったのだ。

「ん!?」
「直撃はしなかったが、この海溝の底まで攻撃出来るとは。」
「近くに敵を感じない。」
「では、何処から?」
ストレイガーは感応波を張り巡らせる。



「ん!?」
「あら、お空の上かぁ。」

「ガーランド大尉。今、お空の上から攻撃されたよ。」
「急いだ方がいい。」
「砲撃の修正がされる前に。」

「砲撃は確かか?」

「確かよ。」
「外れたけどね。」

「分かった。あと四分待て。」



「ストレイガー都督。始める。」
「あの光点目掛け、感応波を。」

ストレイガーの送り出す感応波と物質転送波が混ざり合う。
二つの異なるエネルギーがガーランド大尉と新見少佐を包み込む。





「この次元に自らの意識で来る人間がまだ、いたのですね。」
高次元と言われる空間にその姿は現れた。

ガーランドと薫は高次元に転送された。

ガーランドは辺りを見回した。

薫は辺りを見回した。
二人は同じ場所に転送されたはずだった。
だが、薫とガーランドは別々の場所に転送された。
転送された感覚と言った方が、正解なのだが、薫もガーランドも、どちらも互いを確認出来ていないのだ。

「ガーランドと仰いましたね。」
「あなた方を視させて頂きました。」

「何かを得るには、何かを失うリスクもあるのですよ。」
「ガーランド大尉にその覚悟が、お有りですか?」

「ガトランティスという人種が誕生するならば、自分が、そのリスクを背負ってゆく。」

「それで良いのですね?」
「後悔「あともどり」は出来ませんよ。」



ガーランド大尉は覚悟を決めた__。

このテレサの波動が感じる事の出来る次元に、ガーランドは残る事を決めたのだ。
これがテレサから出された条件であった。

「薫。俺たちの子を頼んだぞ。」
「ストレイガー都督。約束は果たした。」
「君は純粋なガトランティスの人間として、これからは歩み出す。」
「そして、デスラー総統が君の善き理解者と成るだろう。」

イメージ曲宇宙戦艦ヤマト2199ー星巡る方舟ーより。




◆◆◆◆







「これは私からのささやかな、プレゼントだ。」
「白銀の貴女に合わせて造らせた艦(ふね)だ。」
「それと、貴女のガトランティスの技術を応用して造らせた正当なる護衛艦も二隻だが、お供させましょう。」
「貴女を含め、ガトランティスには恩があるのでね。」
「それに貴女は、これから一国一城の主に成られるお方だ。」
「我々、ガミラスは何時でも力をお貸ししますよ。」

「デスラー総統。感謝いたしますと、言いたいのだけど、何故?と疑問が先行してしまう。」

「流石はガトランティスの女王と成られるお方だけの事はある。」
「ならば、こうしよう。」
「我が、新生ガミラスと同じく新生ガトランティスの門出、共に種の繁栄の為の門出。」
「そう。我々の新たな門出のプレゼントだと思って貰いたい。」



「そこまで貴方が仰るのなら。」



「新生ガトランティス。前進!」
その姿はストレイガーではなく、生前のシファル・サーベラーそのものだった__。


◆◆◆◆


金色の輝きを纏うガーランド・ルドルフ。
ガーランドは思う。
"白銀の残影"と名付けられ、事件を引き起こす"引き金"と成ったが、偶発な事が幾つも重なり、事故として処理された事を__。

あのヤマトが、宇宙戦艦ヤマトが帰還し、"打出の小槌"と言われた時間断層は、宇宙戦艦ヤマトの帰還と引き換えに消滅した__。

確かに消滅した。

だが、時間断層工場の中核とも言えるコスモリバースシステムの"核"だけは、消滅していなかった事を__。

その核(コア)の周りだけ、例えるなら透明な円柱に包まれている感じの空間だ。
元々は海溝だった場所に、あの時間断層が形成された。
本来の深海に戻る事も無く、核(コア)のある半径50Cm直径100Cmの円柱だ。
手を伸ばせば届く距離にそれは存在する。
海面から海底まで約9.780mにもなる。
縦に長い超巨大な円柱空間である。

今現在、その核(コア)に触れた者はいないと__。

「俺は、パンドラの匣を開けてしまったのかも知れんな。」


~fin~





◆◆◆◆



【ガミラス・デスラー専用座乗艦:戦闘空母(改)】
※新生ガトランティス・サーベラー座乗艦:ガトランティア
(デスラー座乗艦と同型で基本、同性能だが、改良点として感応波対応である。)

全長:540m
全幅:64m
自重:126.000t

武装

三連装陽電子衝撃砲塔×4基(ブリッジ前部2基、後部2基)

連装無砲身陽電子ビーム砲塔×4基

三連装陽電子ビーム砲塔×14基

八連装輪胴速射砲塔×4基

6連装ミサイル発射管×2基(12門)

量子機雷発射口×12門

亜空間魚雷発射管×12門(艦首×6門、艦尾×6門)

物質転送波システム機×2基(機)

分離式デスラー砲×1門(デスラー砲艦×1艦)
※超波動粒子収束直撃砲=ガトランティス式波動砲(波動砲艦)

脱出用トップ・ブリッジ×1艇
※四連装ビームバルカン×2基

搭載数
※機体により異なる。
:48機(ツヴァルケ)
:42機(甲殻攻撃機デスバテーターⅡ)

甲殻攻撃機デスバテーターⅡ(改良機)

全長:16.2m

搭乗員:3名→1名

武装

速射輪胴銃座×1基

前方機関銃×8門

空対空ミサイル×6基(発)

対艦用大型ミサイル×1基(発)



【分離式デスラー砲=デスラー砲艦】※波動砲艦

全長:250m

武装

デスラー砲(波動砲)×1門

亜空間魚雷発射管×6門

小型八連装輪胴速射砲×6基



【ラスコー級 雷撃型巡洋艦】

全長:240m

武装

大型八連装速射輪胴砲塔×6基

小型八連装速射輪胴砲塔×6基

艦首大型対艦空間魚雷×2本(発)

八連装速射対空輪胴砲×6基

ミサイルランチャー×8基

量子魚雷発射管×2門


◆◆◆◆


あとがき

2202版ヤマトで"人間"としてではなく物として扱われた感が、私の中では堪らなく嫌だった。 せめて二人のサーベラーは生き残って欲しかった。 そんな思いから、この物語りを書きました。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。

(゜▽゜)ヤマト2202総集編上映決定と2205情報!!

2019-10-14 21:22:33 | 宇宙戦艦ヤマト2202
本日10月14日(月・祝)、Bunkamuraオーチャードホールで開催された「宇宙戦艦ヤマト2202」のコンサートイベントにて、『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』のシリーズ構成/脚本を担当する福井晴敏より、新シリーズのメインスタッフと上映時期が発表されました。

さらに、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』TVシリーズ全26話を再構成した『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 総集篇(仮)』の制作も決定、2020年に劇場上映が決定したことも発表となりました。


『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』

 原作:西﨑義展

 製作総指揮/著作総監修:西﨑彰司

 監督:安田賢司

 シリーズ構成/脚本:福井晴敏

 脚本:岡秀樹

 キャラクター原案:結城信輝

 メカデザイン:玉盛順一朗/明貴美加/石津泰志

 音楽:宮川彬良


2020年 秋 上映予定



『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 総集篇(仮)』

 <メインスタッフ>

 原作:西﨑義展

 構成/監修:福井晴敏

 脚本:皆川ゆか

 脚本協力:岡秀樹

 設定アドバイザー:玉盛順一朗

 ディレクター:佐藤敦紀

 制作:studio MOTHER


 <TVシリーズスタッフ>

 原作:西﨑義展

 製作総指揮/著作総監修:西﨑彰司

 監督:羽原信義

 シリーズ構成/脚本:福井晴敏

 キャラクターデザイン:結城信輝

 アニメーション制作:XEBEC


2020年 劇場上映予定



詳細はコチラ公式サイト

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第七話

2019-10-14 14:09:13 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第七話


地球軌道上の防御衛星群を突破された連邦防御軍は、直ぐに迎撃が可能な艦艇を模索した。

「エンジンに火が入っている艦(ふね)は無いのか?」
「落下するカラクルム級の落下予測地点は?」
拳でデスクを叩きながら芹沢は、オペレーターたちに問た。

ヤマトや銀河は改修やメンテナンスの為、ドック入り他、アンドロメダ級やドレッド・ノート級は早くてエンジン始動まで2時間は掛かる。
だが、全く希望が無かった訳では無かった。
太平洋洋上硫黄島沖で開発途中でテスト中の最新鋭強襲揚陸艦:開発コードLHAー111が開発テストを行っていた。

「軍務局長!一隻、一隻だけ有ります!」
「ただ、開発途中でテスト航海中ですが!」

「……テスト航海中か。」

「うぐぐっ。」
歯ぎしりを鳴らしながら芹沢は命じた。

「誰が指揮を取っている!」

「ハッ。真田技術大佐です。」

「構わん!その開発テスト航海中の強襲揚陸艦をカラクルム級迎撃に回せ!」
「で、落下予測しては、どうなった?」

「ハイ!」
「落下予測地点は、小笠原近海です!」

「小笠原近海!?」
「まさか!!」
「時間断層跡地か!?」

だが、あそこは直径1メートル程の円柱の空間。
海面から手を伸ばせば、その空間に手を入れる事も可能な空間なのだが、誰一人として、空間内に手を入れられた者は居ない。
手だけではない。
物でも同様だ。
自然に降る雨ですら、結界が張られているように弾かれてしまうのだ。

「とにかく落下予測地点にテスト艦を急行させろ!」
「迎撃させるんだ!」

最新鋭強襲揚陸艦=開発テスト艦。
それは正規空母程の艦載能力は無いものの、機動力は正規空母より勝る。
艦型は、例えるなら艦首は"いそかぜ型"に似ている。全通甲板が有り、艦尾寄りにブリッジが建つ。
そのブリッジの真下はトンネル状で飛行甲板が通る。
艦体後部両脇にエンジンが有る。
エンジンの大きさは、いそかぜクラスだ。
メインウエポンとして、単身の速射波動カートリッジ砲がブリッジを挟んで前部に二基、後部に一基の三基。
サブウエポンとして、現段階ではエンジン上に四連装パルスレーサー砲塔が二基づつ四基、装備(マウント)されている。
他はまだ、装備されていない。
全長は280mあとは不明だ。

大気熱摩擦で真っ赤に染まったカラクルム級だが、熱が冷めるにつれ、本来のグレー掛かったブルーの艦体カラーに戻って行った。
あと10分もしない内に海面に到達する。

都市部への落下が無いと解ると、芹沢は間髪入れずに、地上からコスモタイガー隊をスクランブルさせた。

イメージ曲宇宙戦艦ヤマトー新たなる旅立ちーより。



どうやらスクランブルして来たのは、宇宙戦艦ヤマトに配属される隊のようだ。
垂直尾翼に"Yamato"の文字が分かる。
ヤマト自体が動けなくとも、少しでも練度の高いパイロットを当たらせようと、軍部も必死なのだろう。





一方、ガーランド大尉の研究室では、物質転送システムの準備を整えた薫たちが、ストレイガー都督や地球軍の動向をモニター越しに観ていた。

「大尉!アレを観て!」
「地球は航空隊をスクランブルさせたわ!」
「しかも、今の地球軍では精鋭と呼ぶに相応しい、ヤマトの配属機よ!」
「ヤマトが映っていない事から、やはりヤマトはまだ改修が終わってないと推測出来るわ!」
「でも、油断は禁物ね。」
「以前も、改修中に開発中の試作波動カートリッジ弾を一斉射撃したし。」

「薫。心配は要らない。」
「想定内だ。」
ガーランド大尉の新見に対する態度が、明らかに変わっていた。
苗字で呼ぶでもなく、階級で呼ぶでもない名前でしかも呼び捨てたのだ。
新見も嫌な顔を覗かせてはいなかった。
カラクルム級を離脱して24時間の間に、一気にお互いの距離が縮んだのだろう。

「ストレイガー都督なら必ず振り切るよ。」
「彼女には俺たち同様に信念が有る!」





「目標を捉えた!アルファは自分に、ブラボーは山本につづけ!」

「ラジャー!!」



「五月蝿い奴らのお出ましか!?」
「うふふ。」
「纏めてあの世へのチケットをやるよ!!」
ストレイガーは感応波を集中させた。
カラクルムの艦首部に、蛍光グリーンの光弾の環が形成されてゆく。

だが、思ってもいない方向からカラクルムは直撃弾を喰らう。
大きく揺れるカラクルム。

「なっ!何?」
「直撃だと!」
ストレイガーは眼を上下左右、斜めと視線を飛ばした。
5時の方向40キロメートル沖合いに、小さく艦影を捉えた。
ストレイガーの記憶(データー)にはない艦影だ。

「あんなところに隠れていたか。」

二発、三発と立て続けに光弾が飛来する。
右に左にと避けるストレイガーだが、避ける方向からは、コスモタイガー隊の攻撃が間髪入れずに襲い掛かる。

「ガガガガガーーーッ!!」と連なる弾痕が巨大な艦体に幾つも現れた。

「チッ!」
「堕ちろっ!」
ストレイガーの操る雷撃旋回砲の環が右に左にと縦横無尽に飛び回る。

「四番機、七番機、八番機と追撃(やられた)!」
1番機のインカムに飛び込む追撃の報告。
下唇を噛み締めるコスモタイガー隊隊長。

「ストレイガー都督!聴こえるか?」
「雑魚に構うな!」
「ダイブに集中せよ!」
「君の願いを叶えられなくなるぞ!」

獲物を狩る事で忘れかけていた任務を思い出すストレイガーは、その言葉に冷静さを取り戻し、攻撃ではなく雷撃旋回砲を盾の代わりにし、防御しながら小笠原海峡へダイブした。

「撃ち方やめーーーッ!!」
「砲撃中止!」
「現時点をもって当作戦を一時、中断する。」
テスト航海に動向した真田大佐が指示を飛ばした。
「あのカラクルム級は直接、新見君が管理しているもの。」
「変な勘ぐりは、したくはないが……。」
心に思う真田であった。


第八話(最終話)へ
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第六話

2019-10-13 14:49:53 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第六話


ー地球軌道上・連邦科学局管理エリアー


「さあ。着いたわ。」
「ストレイガー都督。私が入管手続きを済ませる間、何もしちゃダメよ。」

「分かっている。」

薫の操縦する高速シャトルは科学局管理エリア簡易宇宙船発着場に接岸させた。
薫たちが乗る高速シャトルは例えるなら、海洋生物のエイである。
エイの尾を取り除いたような形状の最大8名が乗れる小型シャトルだ。
接岸を終えた薫たちは、管制室で入管手続きに入った。

「新見教授(少佐)を確認。」
「続いて、ん!?教授。今日は助手の桐生中尉は?」

「ああ。彼女は急用で来れなくて、もう一人の助手で鬼塚中尉。」
「宜しくね。」

「そうですか。」
「一応、IDを確認します。」

「確認OKです。」

二人は入管をパスすると、薫の管理しているカラクルム級へと足を運んだ。



「コレは我、カラクルムではないか!」
驚いた顔を覗かせてストレイガーが口を開いた。

「そうだったのね。」

「ああ。間違いない!」

「あと少しで地球は我らガトランティスによって陥落、跪くはずだった……。」
無敵を誇っていた地球主力艦隊だったが、撃破しても撃破しても援軍による反復攻撃に、次第に疲弊してゆく地球主力艦隊。





次第に地球主力艦隊の指揮は乱れ、統制は無きに等しかった。
地球主力艦隊は壊滅、地球上空までもが、ガトランティスの制宙権に堕ち、僅かに残る残存艦隊による必死の抵抗が続いた。
そして、我がガトランティス、ゲーニッヒ総長官による勝利宣言ととも取れる地球人に対する慈悲の言葉が掛けられる中、あのヤマトが現れた。



「救世主に地球人は思ったに違いない!」
「時、既に遅しだったが。」
「だが、それは我々にとって間違いであった……。」
「ヤマトは……ヤマトは我らを機能停止に落とし入れた……。」

乗艦した薫は先ずは彼、ガーランド大尉に連絡を入れた。
六時間後に薫だけ地球へ帰投するように指示を受けた。
ストレイガー都督は乗艦するなり、薫から借りた連邦の制服を脱ぎ捨て、ウィッグを取るとメイクを落としはじめた。

「やはりコッチの戦闘服が楽だな。」
地球の中世時代の鎧のようなデザインと忍者=くノ一の服を合わせ、身体にピッタリ感があり、どちらかと言うと防御よりも格闘を重視したようなデザインだ。
肩、膝には角を思わせる鋭く尖ったものが装着され、更にはブーツはガトランティス人特有の爪先が少し斜め上に尖っている。
兜は首の辺りに感応波を増幅させる為のコネクターらしき装置が装着されている。
それと好みなのか左の耳の辺りには、平仮名の"つ"の字が正面に向かって細く成り尖っている角が装着されている。
おそらく、角などはこのカラクルムの殻(甲羅)の素材と同等のもの。
もしかしら同じかも知れない。

「ストレイガー都督。私は六時間後に一度、地球へ帰投します。」
「貴女はそれまで体力の温存を。」
「私が帰投して24時間後、作戦の第二弾のスタートよ。」



「あら。そう。」
「なら、少し休ませて貰う。」


◆◆◆◆


薫が地球へ帰投して24時間が経過した。

「ストレイガー都督。時間だ。」

「了解。」

「うふふ。」
「待ちくたびれたところよ。」

「狼煙(のろし)を揚げよ!」
「我、カラクルム起動!!」
「目標。地球、小笠原海峡海底!!」

「ストレイガー出陣する!!」
イメージ曲宇宙戦艦ヤマト2199ー星巡る方舟ーより。



「おい。アレを……。」
科学局管理エリア簡易宇宙船発着場・管制室が騒がしく成っていた。
それもそのはず、全く動かなく成って半年以上のカラクルム級が、ましてや無人で動き出したのだから。
管制室スタッフは矢継ぎ早に連邦政府及び軍に、緊急連絡を飛ばした。
係留の為、牽引ワイヤーで固定したが、カラクルムは生き物のように引きちぎり、起動、加速した。

【地球連邦防御軍・地球軌道防御衛星】

「なっ!何だと!?」
「係留中のカラクルムが突然、動き出しただと!」

「だからガトランティスの兵器など、複数残さず、さっさと処分しろと言ったのだ!」
「たくっ!」
防御軍軍務局長の芹沢は唾を撒き散らしなが、怒号を飛ばした。

「新型の防御衛星で撃ち落とせっ!!」
新型防御衛星は先のガトランティス戦役時の失態、教訓から戦闘A.Iによる個別の衛星で有る。
旧式戦闘衛星と異なる点の一つでもある。
旧式の欠点としては、攻撃力を優先する余り、複数の戦闘衛星を合体させた為、大型で攻撃力は増したが、機動力を失っていた。
カラクルム級のハイパードライブ(亜光速)の加速力と装甲材(当時はそう考えていた。)によるものが、戦闘衛星の敗因と結論付けたのだ。



「そんな石ころ弾などっ!」
「武装解除も出来なかった己を呪うがいい!」

「爆焔のストレイガーと二つ名を持つ我の敵ではないわーーーーーーッ!!」
「雷撃旋回砲を喰らわせてやるよ!」



「ん!?」
「後ろに三基回り込んだか。」
「ならば、仲良く堕としてやんよ!」
ストレイガーの眼が朱く光る。
そのストレイガーは、後頭部付近に装着されている感応波増幅コントロールシステム機の端末ケーブルを接続、感応波を送った。
雷撃旋回砲の光弾が、もう一環、形成され後方へ急行した。

「アハハハハハッ!!」
「堕ちろッ!!堕ちろッ!!」

ストレイガーは、感応波使い幾つもの雷撃旋回砲の環を形成、手足の如く攻守に使用、僅か三分と経たずして12基の防御衛星を撃破した。

「よう~し。この勢いで地球の海、小笠原海峡へダイブする!」
「ガーランド大尉!聴こえているか?」
「包囲網は突破した。」
「これから小笠原海峡へダイブする!」


第七話
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。